A LIFE in STYLE

デヴィッド・ボウイ、その自在なスタイル

March 2023

2016年、惜しくもこの世を去った伝説のロックスター、デヴィッド・ボウイ。彼はさまざまなキャラクターを演じ、音楽界はもちろん、ファッション界にも多大な影響を与え続けた。
text christian barker

David Bowie / デヴィッド・ボウイ1947年、ロンドン生まれ。1967年、アルバム『デヴィッド・ボウイ』でソロデビュー。1972年のアルバム『ジギー・スターダスト』で架空のロックスターを演じて独自の美学を追究。グラム・ロックの代表的ミュージシャンとしての地位を確立。その後も「レッツ・ダンス」などのヒット曲を発表し、後世のアーティストに影響を与えた。1976年の映画『地球に落ちて来た男』に出演して以降、俳優としても活躍。

 デヴィッド・ボウイにとっての「イメージ」は、彼の天才的な曲作りと同じくらい重要な「プロダクト」の一部だった。彼の音楽的規範における深い考察については音楽専門誌に任せることにし、THE RAKEは代わりに、彼のヒット曲と同じくらい記憶に残る、多大な影響力や常に進化し続ける美学、そして衣装、キャラクター、分身を通じたクリエイションについてフォーカスしたい。ステージ上の華やかさや強烈なルックスも、そもそもそれを支える才能がなければ意味がないが、ボウイは「clothes maketh man(身なりが人を作る)」という格言を見事に体現してみせたのだ。

 1964年、デイヴィー・ジョーンズ名義のデビューシングルで音楽家としてのキャリアをスタートさせたボウイは、端正なクイッフヘアと細いタイ&ラペルのスタイルだった。しかし1965年にはすっかりモッズスタイルに変わっていた。

 その当時、オーディション番組から誕生した注目のバンド「ザ・モンキーズ」のボーカリストに、同姓同名のデイヴィー・ジョーンズがいたため、彼は「デヴィッド・ボウイ」に改名することになった。1967年にデビューアルバム『デヴィッド・ボウイ』がリリースされてからは、長髪で花柄の服を着た両性具有的な時代があったが、1969年のセカンドアルバム『スペイス・オディティ』で、ラメを多用した煌びやかでSF的な人物像が現れるようになった。

 その後1971年の『世界を売った男』と『ハンキー・ドリー』という2枚のアルバムを経て、1972年にアルバム『ジギー・スターダスト』をリリースした。このアルバムは、ボウイ自身が人類滅亡の危機に救世主として異星から来たバイセクシャルのロックスター「ジギー・スターダスト」となり、成功から没落までを描くストーリー仕立てになっている。

新作映画:『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』
世界的ロックスターの人生と才能に焦点を当てた、初の公式認定ドキュメンタリー映画が誕生


『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』監督・脚本・編集・製作:ブレット・モーゲン
出演:デヴィッド・ボウイ
配給:パルコ ユニバーサル映画
IMAX® / Dolby Atmos
同時上映で全国公開中
©2022 STARMAN PRODUCTIONS, LLC.
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 51

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