From Kentaro Matsuo

THE RAKE JAPAN 編集長、松尾健太郎が取材した、ベスト・ドレッサーたちの肖像。”お洒落な男”とは何か、を追求しています!

ネクタイと”ニクタイ”にこだわる
並木孝之さん

Friday, March 10th, 2017

並木孝之さん

アイネックス 商品戦略部 部長

text kentaro matsuo  photography tatsuya ozawa

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ネクタイメーカー、アイネックスにおいて、商品企画の要となっているのが、今回ご登場の並木孝之さんです。

「かつてネクタイの企画といえば、生地を“選ぶ”のが仕事でした。しかしそうすると、他と同じようなものばかりになる。そこでわれわれは生地を“作る”ことにしました。イタリアやイギリスの機屋と、年に何回も打ち合わせをして、オリジナルの生地を充実させています」

そんな並木さんの情熱が、同社をネクタイ業界ナンバーワンの座に押し上げました。

 

「とにかくネクタイが、好きで好きで仕方ないのです。私のキャリアのスタートは、フェアファクス コレクティブでした。学生時代から、ここのネクタイの大ファンだったのです。社長の慶伊道彦さんは、今でも日本一カッコいい人だと思っています。フェアファクスに入社したくて、募集もしていないのにいきなり電話をして、会社へ押しかけたこともあります。便箋4枚にびっちり自分の思いを綴って、社長宛に手紙を出したこともあります。そんな熱意を汲んでくれて、最終的には働かせてもらえることになりました」

 

並木さんは、ガッツの人です。

「ネクタイに関しては、誰にも負けたくありません」

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スリーピース・スーツはソブリンハウスのオリジナル。

「このテラコッタ調の差し色が入ったグレンチェックが、実に今の気分です」

 

タイはアイネックスのオリジナル、ロバート フレイザー。

シャツは私も愛用しているアヴィーノ。

カラーピンはエリザベス パーカー。

「カラーピンはよくしますね。今シーズンらしさを演出するのにぴったりです」

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ゴールドのブレスレットは、サン ローランとボッテガ ヴェネタ。

私が「意外ですね」というと、

「洋服やカバン、革小物などは眺める程度ですが、ハイブランドのアクセサリーには、好みに合うものが多いんです」と。なるほど、ブランドに対する視点が、普通の人とは違いますね。

 

リングは、ロンドンのアンティーク屋で買った24金製。

 

時計は、60年代のヴァシュロン コンスタンタン。ゴールドの文字盤とアンティークならではの薄さが、購入の決めてです。

 

「今とにかく、ゴールド×ブラウンの組み合わせに惹かれています。従来はアクセサリーといえばシルバーでしたが、この秋冬はゴールドばかりでした。コーディネイトも以前は、ネイビーやグレイが多かったのですが、今季はブラウンをベースに、ボルドーなどを差し色にしています」

シューズはエンツォ・ボナフェ。

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本日のタイは大柄のペイズリーですが、並木さん曰く、究極のタイは無地だといいます。

「無地のタイって、最も男らしいタイだと思うのです。ウチでは、織りや組織の違いで、数多くのバリエーションを用意しています。無地タイを、どれだけカッコよく締められるかが勝負です」

 

そんな並木さんには、ネクタイ以外にもう一つ夢中になっているものがあります。それは“ニクタイ”です。

「月曜日の朝は、必ず5時に起きて、ランニングをします。月に150〜200kmくらいは走りますね。年に3、4回はマラソン大会に出ます。体脂肪率は、今でも10%以下ですよ。ファッションと肉体は、切っても切れないものだと思います。吊るしの洋服を、きちんと着られることが重要です」

ああ、2年連続で、すべてのパンツをお直しに出した私にとっては、なんとも耳の痛いお言葉です。

 

まさにストイックな情熱の人、並木さんですが、ひとつ不思議なのは、ウチのチャランポランで怠惰な人、ユーコー藤田ととても仲がいいことです。正反対のほうがウマが合うのかな? ユーコーには、彼の爪の垢を煎じて飲んで欲しいものだと、心から思います。