OBJ Osaka
Takashi Ryushima Interview

柳島崇志氏が語る
OBJの現在

August 2021

 1991年に京都で創業し、アイウェアをファッションや嗜好品として提案する「OBJ(オブジェ)」。現在も“アイウェアのセレクトショップ”の草分け的存在として、京都、大阪、東京の3都市で店舗を構えている。

 

 今回、オブジェ大阪・店長である柳島崇志氏に、オブジェの現在そして未来について伺う機会を得た。

 

 

Takashi Ryushima 柳島崇志氏(オブジェ大阪)

 

 

——“アイウェアのセレクトショップ”として業界を牽引してきたオブジェですが、そのコンセプトは創業当初から変化していますか。

 

 時代に合わせた変化、お客様の進化、私共の進化、そして退化もあるやもしれません。されどキープスタンスを貫く。貫く、というと少し強いですね。“大事にしてきた”と言うべきでしょうか。柔らかくも折れない心得、コンセプトのもとにOBJは成り立っています。

 

 京都本店がオープンした1991年、インディペンデントなインポート物からドメスティックの商品まで独自に収集していた“アイウェアのセレクトショップ”は、皆無だったと聞いています。それが今や潤沢と呼べる数が存在します。オンラインにも品物と情報が溢れていて、誰もが知識や情報を共有しプロフェッショナルの近くに身を置くような感覚です。その中で変化せざるを得ない部分は当然出てきます。しかし、だからこそ大事にしているところもあります。それは“現場”であり、お客様とアイウェア、お客様と私共、アイウェアと私共、もしくは双方と私共の間に生まれる“ストーリー”です。

 

 というと、格好をつけ過ぎかもしれませんね。接客業、小売業では当たり前のことですが、簡単にいうと“コミュニケーション”。それに尽きるんです。これは東京でも大阪でも同じで、土地柄で変わりません。もちろん、それぞれの店舗にヴィジュアル面やアンビエンス等のコンセプトがあります。ぜひご来店いただき、実際に体感していただければ幸いです。

 

 

——京都店・東京店・大阪店の3店舗の中でも、オブジェ大阪が特に力を入れている店づくりや特徴についてお聞かせください。

 

 大阪店は堀江の中心からほんの少し離れたところにあります。街の喧騒から距離を置いた、ゆったりとした場所です。店舗ではムードも含めサロンのように寛いでいただければと思います。それでいて気さくで、カジュアルなお付き合いができれば最高です。自然と笑みが生まれる空間になるよう努めています。

 

 とはいえ堀江は、トレンドを捉える事に長けた方達の集まるエリアだとも存じ上げております。目の肥えたお客様にもご満足いただける、フレッシュなプロダクトもご用意したいと心がけています。インポートの素晴らしい商品や極めて少量の限定商品、コラボレーション商品、アヴァンギャルドなもの、そしてもちろん、最も大事なのはベーシックなもの。どのジャンルでも等しく本質が試されるものですから。

 

 オリジナルの商品というものは大抵流行を追ってしまい、期間限定的なコピー商品のようなものになりがちです。よく言えばコストパフォーマンスに優れているのですが、ネガティブに言えば質の薄まった物になっています。そうでは無く、シンプルで本質を楽しめる物。国産のクラフツマンシップを堪能できるオリジナルアイウェアもご用意しています。OBJは、いわばアイウェアミュージアム。そんな風に楽しんでいただければ本望です。

 

 

——柳島さんの経歴や、大切にされている事などについてお聞かせください。

 

 私には大した経歴はございませんが、海外の音楽、アート、ストリートカルチャーが好きで色々な国で文化に触れたことは良い経験になっています。前職でも仕事で海外によく出向いておりました。少し長くなりますが、経歴代わりにひとつストーリーをお話しします。

 

 前職の退職後にロサンゼルスを訪れた際、バイナル好きな私はレコードショップを巡ったり、父親がオプティシャンということもあって興味があったロスのアイウェアショップを巡っていました。ベニス近くのアボットキニーSt.でたまたま入ったアイウェアショップ、そこでバートン ペレイラのメガネを購入した時のお話です。

 

 ショップスタッフの女性から、お店の近くにバートン ペレイラのデザイナーのパティ・ペレイラ氏が住んでいると伺いました。彼女は元オリバーピープルズのトップデザイナーで、当時のオリバーピープルズの社長ビル・バートン氏とともにバートン ペレイラを立ち上げた女性です。

 

 

アメリカンヴィンテージをミニマルに昇華した一本。49mm径のやや大ぶりのパントシェイプは程良いインパクトで、上品な目元の印象付けに最適。茶色味の鮮やかな鼈甲柄に下弦はクリア生地を合わせ、抜群の顔馴染みの良さを生み出した。ハーフカラーは無駄なコントラストが生まれ無い為、マスクとの相性も良く、非常にオススメ。アジアンフィットのみノーズアームが付いているので掛け心地も調整可能。「ROURKE (Asian Fit)」¥ 42,900 Barton Perreira

 

 

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