THE RAKE DISPATCH: LONDON'S FINEST AUTUMNAL EATERIES

秋のロンドン、注目のレストラン巡り

November 2022

日増しに陽が落ちるのが早くなり、ロンドンの街には枯れ葉が舞うようになってきた。レストランではテラス席を陣取っていた客たちが、室内に戻ってきた。この機会に、この街の素晴らしいダイニング・スポットを旅程に加えよう。

 

 

by CHRIS COTONOU

 

 

Perilla, 1-3 Green Lanes, Newington Green, London N16 9BS.

 

 

 

 ロンドンには、世界で最も多彩なフードシーンのひとつがある。アフリカ料理、アジア料理、あるいはフュージョンなど、世界中の美味しいものが集まっている。幅広いジャンルの料理に、舌鼓を打つことができるのだ。今年はミシュランの星付きレストランやマーケットが次々とオープンした。美食の都としての魅力は増すばかりだ。

 

 食事やデートでぜひ訪れたい、洗練された店がたくさんあるが、あまりの選択肢の多さにどこから手をつけていいのかわからない読者も多いだろう。ここではかねてより人気の店から新しくオープンした店まで、この秋訪れたいおすすめのレストランを紹介する。

 

 

 

 

 

Louie London(ルイ・ロンドン)

 

 フランス生まれのレストラン経営者兼ソムリエのギヨーム・グリパは、ロンドンに最もエレガントで流行の先端を行くレストランをオープンさせている。彼はパリ、ニューヨーク、ニューオーリンズのエスプリをロンドンに持ち込み、そのすべてをひとつの店としてまとめた。

 

 かつてジョエル・ロブションのロンドン支店だったこのレストランは、ジャズ・ミュージシャンのルイ・アームストロングにちなんで名づけられた。店のアイデアは、ギヨームがニューオリンズで最も人気があるシェフ、スレイド・ラッシングと過ごしたときに生まれた(ラッシングは料理界のアカデミー賞といわれるジェームス・ビアード賞を5回も受賞している)。

 

 1階はニューオーリンズ・ソウルを感じさせるクラシックなフレンチ・ブラッスリーで、スペシャリテはオイスターだ。2階はギャツビー風のニューヨーク・バー、3階の中庭では毎週火曜日にジャズのライブが行われ、ニューオーリンズ風の秘密のもぐり酒場の雰囲気が味わえる。

 

13-15 West Street, London WC2H 9NE

 

 

 

 

 

 

Perilla(パリラ)

 

 The Squareのシェフ、ベン・マークスとPolpoのシェフ、マット・エマーソンによって設立されたパリラは、ロンドンのトレンディなエリア、ニューイントン・グリーンに位置している。彼ら曰く、古典的なヨーロッパの味を現代的に解釈した料理を提供している。

 

 その評判は、新鮮な食材を使ったシンプルな料理と、親しみやすい“アンチ・ファイン・ダイニング・ファイン”のモットーによって高まった。店内は明るく清潔で、他のレストランに見られるような気取った雰囲気はなく、ゆったりとした時間が流れている。

 

 セットメニューには、“熟成キノコと大麦のコロッケ”、“野鳥のローストと鴨レバーのラグー”などの料理が並ぶ。アラカルトも用意されている。個人的には、“鯛の丸焼き、赤唐辛子、赤ブドウ、ブラウンバター添え”がお気に入りだ。

 

1-3 Green Lanes, Newington Green, London N16 9BS

 

 

 

 

 

Silo(サイロ)

 

 この洗練された居心地の良いレストランのテーマは、サステナビリティである。廃棄物ゼロを実現した最初のレストランだ。つまり料理はゼロ・ウェイスト(一切のゴミを出さない)で作られるのだ。家具は(グラスやバーも)、すべてが再生可能な自然素材かリサイクル素材でできている。

 

 サイロでは、シェフのダグラス・マックマスターが厳選した、季節の食材を使用した植物由来のメニューを提供している。ベジタリアンには特におすすめできる。個人的なお気に入りは、Quaver, Vegetable Treacle and Dorstoneという料理である。

 

Unit 7, The White Building, London E9 5EN

 

 

 

 

 

Dorian(ドリアン)

 

 強力なシェフや料理人が揃ったため、ドリアンのオープン日(2022年10月18日)には、多くの期待が寄せられた。ヘッドシェフはIkoyiやKitchen tableで活躍したマックス・コーエン、その他のメンバーはCoreやRiver Cafeで経験を積んできた。

 

 ノッティングヒルのスタイリッシュでダークな雰囲気の中で、薪で焼いたマトウダイやビーフ料理を提供するモダンなブリティッシュ・ビストロという位置付けだ。昇進祝いやカジュアルなビジネスミーティングなどに最適である。

 

105, 107 Talbot Rd, London W11 2AT

 

 

 

 

 

Saint Jacques(サン・ジャック)

 

 サン・ジャックは、“生きる歓びの家”を自称するレストランだ。少々大げさに聞こえるかもしれないが、創業者でありアイコニックなソムリエであるリチャード・ワイスによる素晴らしいワインリストを眺めれば、その意味がよくわかる。また、ロンドンで最も古いワイン商であるベリーブラザーズの隣に位置することも、この店の魅力のひとつである。

 

 エレガントなウエストエンドに位置するサン・ジャックは、フランスの高級レストランの黄金時代に戻ったような、豪華で歓びに溢れる場所だ。

 

 食事メニューについては、リチャードがテーブルサイドで調理する名物タルタルステーキがおすすめだ。隠し味はフランス南西部で採れるエスプレットという珍しいトウガラシで、香りがよく、複雑な味わいだ。クレープシュゼットもテーブルサイドで作る一品で、上質なコニャックの炎が揺らめく光景は、見る人を感動させるに違いない。

 

 ちなみにレストランの裏は英国王ヘンリー8世のテニスコートで、英国で最後に決闘が行われた場所とされている。

 

5 St James’s St, St. James’s, London SW1A 1EF

 

 

 

 

 

Rochelle Canteen(ロシェル・カンティーン)

 

 メラニー・アーノルドとマーゴット・ヘンダーソン(ミシュラン星付きレストランSt.Johnで有名)がイースト・ロンドンに設立したロッシェル・カンティーンは、2004年のオープン以来、話題が絶えることがない。この店でキャリアをスタートさせた偉大なシェフたちが、それぞれ季節に応じて考案した素晴らしいメニューが揃っている。

 

 秋には、現在のヘッドシェフ、アレックス・キーズが新鮮な食材を使ってシンプルに調理した料理が登場する。有機農場から仕入れたキャロットのロースト、ビーツとタヒニ(ゴマペースト)、ターボット(イシビラメ)、子羊の煮込みのフィルダークラウト(キャベツの一種)とアイオリ添えなどがその代表だ。

 

 レストランは古い学校を改造した建物の中にある。かつては自転車置き場だったという。壁で囲まれた庭を眺めつつ、のんびりと食事を楽しむことができる。

 

16 Playground Gardens, London E2 7FA

 

 

 

 

 

Koyn(コイン)

 

 ロンドンにやっとまともな居酒屋レストランができた。MiMi Mei Fair、Bombay Bustle、Jamavarなどの人気店を手がけるレストラン経営者サミュクタ・ナイルがオープンさせた、コインである。2階には明るい寿司バーがあり、1階は日本式の炉端焼きのある暗く寛いだ空間になっている。

 

 ナイルの他の店舗と同様、料理は高級かつデカダン的で、ハイライトは、レッドマレット(ヒメジ)の天ぷらや、ほうじ茶で燻した味噌漬けのラム肉などである。

 

38 Grosvenor St, London W1K 4QA