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ハリウッドのトップランナー:シガニー・ウィーバー

October 2021

イェール大学の演劇大学院の学生として劇場デビューしてから50年が経過した今もなお、シガニー・ウィーバーは、啓蒙的なハリウッドのトップランナーであり続けている。

 

 

text: david smiedt

 

 

 

Sigourney Weaver/シガニー・ウィーバー

1949年10月8日アメリカ・ニューヨーク生まれ。ウディ・アレンが監督を務めた映画『アニー・ホール』(1977年)での6秒だけの出演で一躍注目を浴び、『エイリアン』(1979年)のエレン・リプリー役で大ブレイク。その後も1988年にアカデミー賞候補となった『愛は霧のかなたに』『ワーキング・ガール』をはじめ、「エイリアン」「ゴーストバスターズ」「アバター」等の人気シリーズまで多数の作品に出演。

 

 

 

 1988年にはふたつのアカデミー賞候補となった。ひとつは『愛は霧のかなたに』のダイアン・フォッシー役で主演女優賞に、もうひとつは『ワーキング・ガール』で演じたメラニー・グリフィスの上司役で助演女優賞にノミネートされた。

 

 彼女がその火山のような存在感を示したのは、1984年の映画『ゴーストバスターズ』のダナ・バレット役である。特に、憑依された彼女がビル・マーレイを誘惑しようとするシーンは圧巻だ。彼女はここで単なるセクシー女優ではなかった。

 

 この作品は彼女の魅力のほんの一例に過ぎない。『アイス・ストーム』(1997年)、『マップ・オブ・ザ・ワールド』(1999年)から『マイ・サリンジャー・イヤー』(2020年)まで、既存の女優では役が務まらないと感じたプロデューサーたちは、ウィーバーに出演を請うた。

 

 彼女がカメラの前に立つようになって45年目を迎えようとしていることを、記憶にとどめておくべきだろう。彼女には、次のような発言をする資格があるのだ。

 

「ハリウッドでは、男性が自分の意見を率直に述べれば、実に男らしいと思われる。けど女性が同じことをしたら、迷惑なビッチ以外の何者でもない」。しかし年月が経つにつれ、彼女はこうも言っている。「脚本を読むたびに腹が立つようなことはなくなった。昔はどんなに強いキャラクターでも、女としての弱さを見せなければならないシーンがあったけれど、今では常に強くても問題ないから」

 

 ウィーバーは、今まさに、そのことを実践しているようだ。「アバター」2〜5はさまざまな段階で製作されており、「ゴーストバスターズ」の新作ももうすぐ公開される。『Call Jane(原題)』という長編ドラマは、米国における中絶の是非の歴史的な変革を描いているという。いずれにせよ、ウィーバーはエイリアンに対しても、古臭い女性蔑視の制度に対しても、その闘いから一歩も引かない人だ。彼女の出演作は、いつの時代も必見である。