LUCA RUBINACCI'S STYLISH GUIDE TO MILAN
ルカ・ルビナッチの
ミラノ・スタイリッシュ・ガイド
November 2019
ルカ・ルビナッチは、偉大なテーラード・ブランド“ルビナッチ”の跡取りである。
ナポリで生まれたが、現在はミラノに住み、ルビナッチのアトリエを任されている。
ミラノでのスタイリッシュな冬の週末のために、彼のお気に入りのスポットを教えてもらった。
by lee osbrne
もしあなたが、出張や休暇でミラノを訪れることになったら、素敵な場所を教えてくれる、秘密のガイドブックが必要となるだろう。最高にスタイリッシュなスポットで飲食を楽しんだり、大声でおしゃべりし、体全体を使って情熱的に盛り上がれる場所だ。多くのイタリア人がよくやっているように。さて、誰に尋ねよう? ご想像のとおり、それは、ルカ・ルビナッチ氏で決まりだ。ミラノは彼にとって、自分の手のひらのような街で、スタイリッシュなスポットを熟知している。本誌クリエイティブ・ディレクターのリー・オズボーンが、インタビューを試みた。
——ミラノでは、まず最初に、どこに向かえばよいですか?
「ファッション・シティとしてのミラノを知りたいなら、モンテ・ナポレオーネ通りに沿って歩くのがベストです。ここはミラノの“ファッションの中心地”で、ジェズー通りの、ルビナッチのアトリエのすぐ近くでもあります。ここから、有名なショッピング・ストリートであるスピガ通りを歩いて、チェントロ・ストーリコ(歴史的中心地区)にあるブレラのアート・センターへ向かいます。そこではピナコテーカ・アートギャラリーや、美しいフレスコ画でいっぱいのサンタ・マリア・デル・カルミネ寺院が有名です。目的地はラルゴ・ラ・フォッパです。ここには、多くのバーやアペリティーボを楽しめるスポットがあります。私が特に好きなのは、パンデヌス (Pandenus:Via Mercato, 24, 20121 Milan-Brera)です。ここのサンデーブランチは素晴らしいものです」
——ミラノを発見するのに、最良の方法は何だと思いますか?
「ミラノの美点は、どこでも歩くことができるほど、小さいことです。レンタカーを借りる必要はありません。効率的な公共交通機関があるため、路面電車に飛び乗ったり、地下鉄を利用するほうがいいのです。レンタル自転車を利用することもできます。私は自宅とアトリエの間を、毎日往復するために、電動スクーターを持っていますが、これはインスタグラムで好評でしたね」
——エスプレッソ・バーは、どこに行きますか?
「ルビナッチのアトリエのクラブで、正しいナポリ式のエスプレッソを飲んで頂くことは、特に海外のお客様にとっては、伝統的なものになりました。時々は私自身が淹れますが、普段は私のチームに任せています。テーラーに行ってコーヒーを飲むことは、非常に古い習慣です。そして私はそんな習慣が大好きです。私たちが今いるところは、多くの本に囲まれた、プライベートで居心地が良い、隠れ家的空間です。Wi-Fiもありますしね。しかしたまには、ここから離れて、有名なカフェであるコヴァ(Cova:Via Monte Napoleone,8 20121 Milan)やマルケーゼ(Marchese:Via Monte Napoleone,9 20121 Milan)に行くこともあります。
——好きなランチ・スポットはどこですか?
「優劣はつけられませんが、私の3つのお気に入りは、イル・サルマイヨ(Il Salumaio di Montenapoleone:Via S. Spirito,10/ViaGesù,5 20121 Milan; ilsalumaiodimontenapoleone.it; +39 02 7600 1123)、われわれのアトリエの目の前にある、フォーシーズンズ・ホテルのラ・ベランダ(La Veranda:ViaGesù、6 / 8、20121 Milan; +39 02 7708 1478)、 そしてモンテ・ナポレオーネ通りの始まりにあるペーパー・ムーン(Paper Moon Giardino:Via Bagutta,1 20121 Milan; papermoongiardino.com/ +39 02 796083)です」
Il Salumaio di Montenapoleone
——あなたは大変な食通だと思うのですが、好きな食べ物はどんなものですか?
「ミラノは美食の街であり、イタリア料理だけでなく、その他の国の料理もたくさんあります。イタリア料理のトラットリアについていえば、トラットリア・ドリアーニ・ソルフェリーノ(Trattoria Doriani Solferino:Via Solferino,12 20121ミラノ、+ 39 02 659 8972)、ラ・ヴェッキア・リラ:La Vecchia Lira Largo la Foppa,5 20121 Milan; +39 02 659 9136」がおすすめです。冬には、肉を食べるのに最適なジャコモ・ビストロ(Giacomo Bistro:Via Pasquale Sottocorno,6 20129 Milan; +39 02 7602 2653)に行きたいところです。しかし、私は特にシーフードが好きで、最高の魚を食べるなら、ランゴステリア(Langosteria:Via Savona,10 20144 Milan; +39 02 5811 1649; langosteria.com)の右に出る場所はありません。イタリアのみならず、私が今までに食事をしたなかで、最高の魚料理店のひとつです。また私は、寿司も大好きです。メトロ・ミッソーリの近くにバサラ・スシ(Basara Sushi Pasticceria:Corso Italia,6 20122 Milan; +39 02 7202 0141)という素晴らしい店があります。これらは私がしょっちゅう出かける典型的な場所です」
Trattoria Doriani Solferino
——あなたはピッツァの本場、ナポリの生まれだと知っているのであえて伺いますが、ミラノでピッツァを食べますか?
「もちろんです。ナポリのピッツァはミラノよりも、絶対に優れていると考えてはなりません。もちろん、ピッツァを調理するナポリの釜は、ミラノにあるものよりも、ずっと古いものが多いのも事実です。 私の良き友人、ナポリで最も有名なピッツァ職人のひとりであるジーノ・ソルビロ氏は私に同意し、こういいます。
“ルカ、私の生まれ故郷で、最初にオープンした、トリブナリにあるピッツェリアの味は、ナポリのウォーターフロント、ヴィットリア広場の角にある私のもうひとつのレストランのピッツァとは趣が異なるんだ。それはオーブンが古くなっているからなんだよ”。
ここミラノにはソルビロ氏のピッツェリアがふたつあります。(Sorbillo’s:Via Montevideo,2; +39 02 5810 4789およびVia Ugo Foscolo,1; +39 02 8050 2300)です。よく行きますし、ピッツァはとても美味しいと思います。ナポリとまったく同じではありませんが、そもそも同じことはできないのです」
——ワインもお好きですか?
「私はワインが大好きで、ほとんどの食事でワインを飲んでいます。私は料理をすることも大好きです。私たちにとって最高のことは、素晴らしい食事に、素晴らしいワインを組み合わせることです。私には3人の非常に仲のいい友人がいます。何人かは私のように結婚し、他の人も長いパートナーに恵まれています。月に一度、私たちは順番にディナーパーティーを開催します。一人一人が素晴らしいワインを持って集まります。私が“素晴らしいワイン”というときには、それは“スーパートスカーナ”を指していることが多いですね。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、オルネライア、サッシカイアなどです。ある晩には、2本の素晴らしいボトルを空けました。1本はテヌータ・サン・グイドのサッシカイア、もう1本はフランスのローヌ南部のシャトーヌフ・ドゥ・パプです。リゾット・アッラ・ミラネーゼとオッソブッコで食事をしました。偉大なワインを飲むときは、まずは空気に触れさせ、開かせる必要があります。レストランとは対照的に、家にいることメリットは(もちろんレストランでも素晴らしいワインを飲みますが)ワインを心ゆくまで堪能できるということです。ノイズが少ないので、ワインに集中しやすくなり、グラスに含まれるニュアンスがよりわかりやすくなるのです」
——仕事の後は、何をしていますか?
「オペラのシーズンが近づいています。有名なスカラ座(Via Filodrammatici、2、20121 Milan)は11月末にオープンします。妻と私は時間があれば、いつもスカラ座に行きたいと思っています。オペラ鑑賞の前には、ミラノ中心部の小さな広場にあるシンプルなパリ風のバー、メンターナ(Bar Mentana :Piazza Mentana, 20123 Milan)で、アペリティーボを楽しみたいとも思っています。観光客がほとんどいない場所で、とてもリラックスした雰囲気です」
——ショッピングはどこでしますか?
「私がショッピングする場所は、いつも私自身のアトリエです(笑)。実際、私は指折りのヴィンテージ・ファブリックのコレクターです。私は二通りの方法で買い物をします。ひとつめは、インスタグラムのフィードを見て頂ければおわかりのように、私自身の服をルビナッチの仕立て部門に依頼することです。しかしその場合、ヴィンテージの生地は使いません。なぜなら、お客様が同じものを作ることができないからです。ふたつめは、公開したことのない、ジェズー通りのアトリエの地下にある、プライベートなヴィンテージ生地のコレクションから、服を作ることです。私はこのコレクションを“ワインセラー”と呼んでいます。そこには3万ロールもの生地がありますが、多くは祖父から引き継いだものです」
———ミラノでは、どのホテルをお勧めしますか?
「人によって異なるでしょうが、私はフォーシーズンズ・ホテル(Four Seasons Hotel Milan:Via Ges 6,6/8 20121 Milan; fourseasons.com/milan; +39 02 77088)が好きです。静かでクラシックで、控えめだからです。もう少しトレンディでモダンで、遊び心のあるホテルを探しているなら、マンダリン・オリエンタル(Mandarin Oriental:Via Andegar, 9 20121 Milan; mandarinoriental.com/milan; +39 02 8731 8888)です。ファッショニスタを自認するなら、ブルガリ・ホテルに泊まるべきでしょう(The Bulgari :Via Privata Fratelli Gabba,7B 20121 Milan; bulgarihotels.com/en_US/milan; +39 02 805 8051)
Four Seasons Hotel Milan
———健康のために何かやっていますか? あなたはとてもスマートで、明らかに何かしているように見受けられるのですが・・
「私は決してスマートではありません。ただし、いいテーラーには恵まれています(笑)。 私はパーソナル・トレーナーを雇っています。幸運なことに、私たちが住んでいるコンドミニアムには、ジムが併設されているのです。 セッションは午前8時に始まります。エクササイズは自分ひとりでもできる内容ですが、もし自分だけでしようとしたら、すぐにギブアップしてしまうでしょう。 彼は私をやる気にさせ、苦しさに立ち向かわせてくれるのです。これは週に2回行います。加えて、趣味として、カイトサーフィン、スノーボード、ハイキングも嗜みます。私はいつも自分の体を、アクティブに保ちたいと思っているのです」
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