La Nuova Dolce Vita ― Ferrari Amalfi

「新・甘い生活」を手に入れる:フェラーリ「アマルフィ」

November 2025

「新・甘い生活」という魅惑的なフレーズを纏って現れたニューフェラーリには、地中海の宝石と呼ばれる美しい海岸の名前が冠されていた……。

 

 

text tatsuya kushima

 

 

 

 

 クルマと世相(社会情勢、風潮)は切っても切れない間柄にある。歴史を紐解けばわかるように、長年それは直接的に関係してきた。例えば、戦争や経済恐慌が起き、クルマは小さくなったりしたように。サイズもそうだし、排気量もそうだ。戦争でオフローダーが誕生し、恐慌でコンパクトカーが生まれたのもそう。近年では環境問題からエコカーが生まれている。

 

 なので、国力が上がればパワフルなクルマが生まれ、景気が良くなれば煌びやかなものが登場する。オープンカーやストレッチリムジンなどはそんな時代の産物と言えるだろう。

 

 フェラーリが今年リリースしたアマルフィにはそんな時代背景が見え隠れする。このグラマラスで妖艶なフォルムは新しくもあり、どこか懐かしさを宿らせている。

 

 そう感じるのには理由がある。それはアマルフィがローマの後継だということ。つまり、フェラーリが掲げている「La Nuova Dolce Vita(新・甘い生活)」にもとづいて誕生したモデルなのだ。

 

 

 

 

 その「La Nuova Dolce Vita」を簡潔に説明すると、「Dolce vita(甘い生活)」を新解釈したものとなる。ミッドセンチュリーのイタリアに生まれた当時の世相を今風に表現するとこうなるという意味だ。フェラーリのスタイリングセンターはそこに目をつけ、デザインに落とし込むことでローマ、そしてこのアマルフィを世に送り込んだ。

 

 では、「Dolce vita」と形容される世相はどんなものだったか。それはまさにイタリア繁栄の時を指している。戦後の復興が一段落し、イタリア国民が芸術やエンターテイメントに目を向けた時代の話だ。人々は毎晩のように着飾って街へ繰り出し、グラス片手に「Salute(サルーテ)!」と声を高らかにしていた。

 

 それを象徴するのがフェデリコ・フェリーニ監督の映画『甘い生活』。公開は1960年だから、まさにそんな世相の中でつくられた作品である。華やかなパーティシーンはもちろん、オシャレなファッションや小道具など、今観ても目を奪うものばかりである。

 

 

 

 

 そんな時代をデザインコンセプトにアマルフィは生まれた。ご覧いただきたい。このエレガントな装い。フェラーリが得意とするエアロダイナミクスを取り入れながらもサーキット走行を前提とするモデルとは異なるデザインが施される。全体的なフォルムからディテールまで、止っているだけでも見る者をワクワクさせる。そう、それが「La Nuova Dolce Vita」。このクルマのステアリングを握ると、人生が豊に彩られるような気持ちにさせてくれる。

 

 

 

 

 インテリアもそのロジックでデザインされた。スポーツカーであることに隙はないのだが、そこにエレガントさが加味される。シートの座り心地の良さを含め、助手席からお褒めの言葉をいただけそうだ。それにダッシュボードの有機的なラインからも特別なクルマであることを感じる。

 

 それでいて、走りに抜かりがないのは言わずもがな。エンジンは数々の受賞歴があるF154ファミリーから派生した進化型で、フロントミッドに積まれた3.9リッターV8ツインターボは最高出力640cvを発揮する。最大トルク760Nmと共に、完全にスーパーカーの領域だ。最高速度は320km/h、0-100km/h加速は3.3秒なのだから何の疑いはない。物理スイッチとして復活したステアリング上のスターターボタンを左手の親指で押せば、強靭な心臓が目を覚ます。

 

 さらに言えば、アマルフィはドライサンプ式のギアボックスを採用したことを付け加えよう。見た目からは想像できないほどレーシングカーからのフィードバックが反映される。コーナリング時に高いGフォースがかかろうとも、フェラーリとしての走りはびくともしない。

 

 この他では、リアの可動アクティブ・ウィングがチェックポイント。普段はテールと調和するよう一体化されているが、じつは3段階に可動する。前後、横方向の加速度や車速で角度が変わり、適切なダウンフォースを手に入れることができるのだ。

 

 

 

 

 ところで、アマルフィという車名だが、ポルトフィーノやローマなど近年フェラーリはイタリアを象徴する街の名前を取り入れている。これまではフェラーリの拠点となるマラネッロやモデナを用いてきたが、視点を広げたようだ。

 

 それにしてもアマルフィとは素晴らしい。ユネスコの世界遺産に登録されている海岸線を想起させるのだからイメージは最高だ。美しいデザインのクルマに美しい海岸の名前が付けられた。そんなことができるのはフェラーリならではに違いない。イタリアを代表するブランドが、イタリアの良さを世界にアピールしているように思える。

 

 というのがアマルフィのキャラクターだ。このスタイリングは後世に語り継がれる美しいクルマと言えよう。「Dolce vita」から半世紀以上経った現在、「La Nuova Dolce Vita」をコンセプトにするこのクルマが人生を豊かにしてくれる。

 

 


Ferrari Amalfi
全長✕全幅✕全高:4,660✕1,974✕1,301 mm エンジン:3.9L V8 ツインターボ 駆動方式:フロント・ミッドシップ 最高出力:640cv(約631 hp) 最大トルク:760Nm 最高速度:320km/h 0-100km/h加速:3.3秒 ¥34,180,000〜 Ferrari

 

 

 

※フェラーリ アマルフィの世界を体感できる〈ディーラーロードショー〉が全国のディーラーにて行われる。スケジュールは以下の通り。お問い合わせは、お電話またはウエブサイトにて。

 

11月13日(木)〜11月18日(火)

コーンズ大阪ショールーム

大阪府大阪市中央区博労町4-2-15

TEL.06-6226-8961

ウェブサイト

 

 

11月20日(木)-11月24日(月)

オートカヴァリーノ

兵庫県神戸市中央区新港町11-1

TEL.078-891-7121

ウェブサイト

 

11月20日(木)〜11月25日(火)

Nicole Competizione

神奈川県横浜市西区3-3-3

TEL.045-680-4465

ウェブサイト

 

11月26日(水)〜12月2日(火)

ヨーロピアンバージョン

福岡県福岡市博多区堅粕14-21

TEL.092-434-3301

ウェブサイト

 

11月27日(木)〜12月1日(月)

コーンズ 名古屋ショールーム

愛知県名古屋市千種区内山3-23-19

TEL.052-753-9095

ウェブサイト

 

12月7日(日)〜12月14日(日)

エムオート イタリア

広島県広島市南区霞2-9-2

TEL.082-256-8585

ウェブサイト

 

12月8日(月)〜12月21日(日)

コーンズ 芝ショールーム

東京都港区芝3-3-10

TEL.03-5730-1610

ウェブサイト

 

12月15日(月)〜12月18日(木)

ヤナセフィオラ―ノモトーリ

東京都新宿区中落合2-27-14

TEL.03-3565-6244

ウェブサイト

 

12月19日(金)〜12月21日(日)

グランテスタ長野

長野県長野市稲里町田牧1533

TEL.026-285-1855

ウェブサイト

 

12月19日(金)-12月21日(日)

MID Sapporo

北海道札幌市東区東苗穂5条2-5-10

TEL.011-780-7711

ウェブサイト

 

12月23日(火)-1月12日(月)

Rosso Scuderia

東京都港区六本木5-18-3

TEL.03-3583-0458

ウェブサイト

 

12月25日(木)〜1月12日(月)

コーンズ 芝ショールーム

東京都港区芝3-3-10

TEL.03-5730-1610

ウェブサイト