FERRARI RACING DAYS 2022 & 296 GTS

4年ぶりに開かれた跳ね馬の祭典
“フェラーリ・レーシング・デイズ”

November 2022

待ちに待ったフェラリスタのお祭りが帰ってきた!

鈴鹿サーキットは跳ね馬のシンボルカラー、レッドで塗り尽くされた。

 

 


Federico Pastorelli
フェデリコ・パストレッリ
フェラーリ・ジャパン代表取締役社長。イタリア・ボローニャ出身。17年以上にわたりフェラーリSpAにて要職を歴任。2002年から2008年にはシニアプロダクトマネージャーとして、フェラーリ カリフォルニアのプロダクトデザインからローンチに至る全般を率いた。また2008年から2012年には、パーソナリゼーション&アトリエ部門をリードした。2020年1月より現職。

 

 

 

 黒いアスファルトの上を、真っ赤な跳ね馬が疾走していく。快晴の空に高回転エンジンの爆音が鳴り響く。フェラリスタのための年に一度のお祭り、「フェラーリ・レーシング・デイズ」が、去る2022年6月に鈴鹿サーキットにて行われた。コロナ禍のせいで、開催されるのは4年ぶり。この日のために全国から500台以上のフェラーリが集まった。招かれたオーナーやジャーナリストはサーキットランやレーシングカーのデモ走行、著名人によるトークセッション、優雅なディナーなどを楽しんだ。

 

「フェラーリの持つバリューを皆さんとシェアすることが目的です。フェラーリの世界にどっぷりと“ディープ・ダイブ”してほしいのです」

 

 そう語るのは、フェラーリ・ジャパン代表取締役社長フェデリコ・パストレッリ氏である。この日は氏によるニュー・ハイブリッド・オープンカー、296 GTS のプレゼンテーションも行われた。

 

「これは運転の楽しみのために生み出されたクルマです。エンジンはV6ターボとモーターが組み合わされ830馬力ものパワーを発揮します。重要なのはコンパクトであること。ホイールベースを短く、低重心にすることによってファン・トゥ・ドライブを実現しています。このクルマを運転することは非常にスリリングな体験となるはずです」

 

 

 

Ferrari 296 GTS

フェラーリ・レーシング・デイズにて日本初披露となったフェラーリの最新ハイブリッド・オープンスポーツ。強力なパワーとコンパクトで軽い車体で、運転する楽しさを実現する。全長×全幅×全高:4,565×1,958×1,191mm/エンジン:2,992cc V6ターボ+モーター/総合出力:830ps(610kW)/最大トルク:740Nm/6,250rpm/乾燥重量:1,540kg/0-100km/h加速:2.9秒/最高速度:330km/h

 

 

 

 フェラーリのことを語ると言葉に熱がこもる。フェラーリはイタリア人にとってどんな存在なのか?

 

「イタリア人にとってフェラーリは、単なる会社とは違う存在です。それはもはやイタリアの一部です。われわれに夢を見せてくれる……、サッカーでいえばナショナルチームのようなものなのです」

 

 パストレッリ氏にとって、もうひとつ止まらなくなるのは、生まれ故郷ボローニャについての話題だ。

 

「私が本格的にボローニャについて話しだしたら、一日が終わってしまいますよ(笑)。まぁ、かいつまんで言えば、オープンで、フレンドリーで暮らしていて楽しい街です。とても古い歴史を持つボローニャ大学があって、若い人が多く活気があるところも特徴です。美味しいものがいっぱいあるし、ナイトライフも充実しています。あんなに素晴らしいところはありません」

 

 なるほど、やはりイタリア人の郷土愛は深い。そんなパストレッリ氏が愛してやまないのが日本だという。

 

「日本には2020年1月に赴任してきたので、2年半の月日が経ちました。その間、コロナ禍にもかかわらず、日本におけるフェラーリの売り上げは順調に伸びていきました。顧客へのアプローチの仕方を変え、既存のオーナーに加え、より多くの潜在顧客へ働きかけるようにしたからです。デジタル技術を使ったマーケティングにも力を入れました。イタリアなど他のヨーロッパの国々と比べると、日本ではコロナの影響も少なかったのではないでしょうか。家族と一緒に日本で過ごせたことは、私の人生においてファンタスティックな経験だったと思います」

 

 6歳の息子と2歳半の娘の親でもあるパストレッリ氏は、ファミリーと一緒に過ごす時間を何よりも大切にしたいと語る。郷土を愛し、家族を愛するイタリア人、パストレッリ氏ほど、フェラーリを語るのにふさわしい存在はない。

 

 

 

鈴鹿に新旧のフェラーリが集結

フェラーリ創業75周年を記念して鈴鹿サーキットをパレードするフェラーリの名車たち。最前列にはサーキット専用モデルがずらり。左から、ハイブリッド・スーパーカーFXX-K evo、現存する2台のF1マシン、レース専用マシンをベースにした488GTモディフィカータ。中右&下左:鈴鹿サーキットには全国から500台以上のフェラーリと1000人以上のオーナーが集まった。こんなに多くのフェラーリを一度に見られるのは、このイベントならでは。

 

 

全国から三重県・鈴鹿市のレーシング・デイズ会場へ集結するラリー走行会「Road to Suzuka」も催された。

 

 

 

コースを疾走するF1マシン。イベントには2003年に投入され、ミハエル・シューマッハが実際に操り優勝を飾ったモデルFA2003-GAなど伝説のマシンが登場した。ちなみに同モデルのGAとは、THE RAKEの誌名の由来となったジャンニ・アニェッリを意味している。