DANTE NEW YORK: REIMAGINING THE NEGRONI
いま注目のカクテル
“ネグローニ”の世界
March 2021
ニューヨーク、グリニッチビレッジのイタリアン・レストラン“ダンテ(Dante)”は、地元の人々や有名な俳優、作家、ミュージシャンなどが食前酒を求めて集う場所だ。
ネグローニを飲むなら、ニューヨーク一のホットスポットといっても過言ではない。
by freddie anderson
ネグローニほど、雑誌『THE RAKE』のスピリットを体現したカクテルはない。ネグローニは希望と楽観主義の象徴だ。だからこそ、われわれは、この悲惨な時期に、THE RAKE ×ラルフ ローレンのポロベア・ウォッチ“ネグローニ・ベア”を発売したり、ダッパー・ヴィランのネグローニ・ダックスフンド柄のフェイスマスクを限定販売したりしているのだ。
2021年になっても、このオレンジ色の酒への情熱を捨て去るつもりはない。実際、ネグローニに関連したエキサイティングなコラボレーションを、近日中に発表する予定だ。
そこでオーストラリア人カップルのリンデン・プライドとナタリー・ハドソンが、ニューヨークのグリニッジ・ビレッジにあるカフェを受け継ぎ、ネグローニに特別な敬意を表している様子を紹介したいと思う。
この老舗イタリアン・カフェの歴史は1915年にさかのぼる。これは、ネグローニが誕生するわずか2年前のことだ。開店当時はイタリア人が多く住んでいたマクドゥーガル・ストリートにあり、今でもイタリアの伝統が色濃く残っている。この和やかな店にかつてはマフィアが集い、アーネスト・ヘミングウェイやアナイス・ニンなど自由な発想を持つボヘミアンが通った。
この地域は“アメリカの左岸”と呼ばれるようになった。1971年、マリオ・フロッタ・シニアがこのコーヒーハウスを引き継ぎ、その後40年間、地域の人々やイタリア好きの著名人が足繁く通うようになった。アル・パチーノもこの店のリラックスした雰囲気を楽しんでいた。店内には、当時のカフェ・ダンテのモノクロ写真が所狭しと貼られ、愛されていたシニョール・フロッタの写真も飾られている。
シドニー出身のハドソンとプライドは、2015年に“ダンテ”のオーナーになった。第二次世界大戦後に多くのイタリア人が移住したシドニーで育った彼らは、コミュニティとのつながりを保ち、名店ダンテを復活させることに熱意を持っていた。ちょうどニューヨーカーの間では、かつてのローマの上流階級のようなライフスタイル、”La Dolce Vita”(甘い生活)への憧れが高まっていた。
夫妻は、内装を一新してこの店に新たな息吹を吹き込んだ。そして“ニューヨークでネグローニを飲むならこの店”と言われるまでになった。その人気の理由は、彼らのネグローニに対するこだわりだ。
それはカンパリ、スイートベルモット、ジンを同量ずつ使用した、シンプルで苦いカクテルだ。ハドソンとナタリーは、1900年代初頭に誕生したネグローニに影響を与えたいくつかのレシピを取り入れ、ネグローニを再構築した。
彼らはこれを”ネグローニ・ファミリー・ツリー“と呼び、”ネグローニ・セッションズ“と名づけられた独自のハッピーアワーを始めた。これらのカクテルは、コンテストでも多くのアワードを受賞している。
ネグローニ・セッションズは、いわゆるハッピーアワーとは違う。ハドソンとナタリーは、“アペリティフ”を復活させたのだ。食前酒の習慣を忘れかけていたニューヨーカーに、再びこの優雅なひとときを思い起こさせたのだ。
ロックダウンの前は、サイドウォークのテーブルは、12種類のネグローニを飲む人々でいっぱいだった。わずか5年前には、ネグローニを頼む客は、数えるほどだった。その後、クラシックなバージョンの人気に火がつき、12種類のバリエーションも、ほどなく親しまれるようになった。
ネグローニの人気が高まっていることを受けて、彼らはふたつのレシピを公開したので、以下にご紹介する。まずは自宅で、そしてロックダウンが終わったらダンテのテーブルで、これらのレシピを試してみるのが実に楽しみだ。
Spagliato Bianco
3/4oz Quinquina Aperitif
3/4oz Martini Ambrato
1/2oz Strega
1oz Sancerre
1 dash Lemon Bitters
3 dashes Verjus
Negroni Frappé
3/4 oz Beefeater
3/4 oz Meletti
3/4 oz Carpano Antica
3/4oz Fluffy Orange Juice
3 dashes Orange Bitters