CLOSED SCHOOL “Auberge eaufeu”

里山を新たな感性で拓く、廃校オーベルジュ

June 2022

text chiharu honjo

 

 

 

 

 石川県の小松空港から車で30分ほど行くと、日本の美しい原風景が広がる小松市観音下町(かながそまち)に辿り着く。日本海と霊峰白山に囲まれた水と緑の豊かな場所で、約7割のエリアが里山だという。その風光明媚な地に、自然と人が共生する里山を新たな感性で拓き、知られざる豊かな食の宝庫でもてなす「Auberge eaufeu(オーベルジュ オーフ)」が7月14日に誕生する。

 

 

 

 

 オーフの建物の外観は、懐かしいシルエットを醸している。というもの、惜しまれつつ廃校となった「旧西尾小学校」をオーベルジュへと甦らせたコンバージョン建築だからだ。しかし、一歩中へ足を踏み入れると、これが小学校だったのかと疑うほど洗練されたモダンな空間が広がり、まったく異なった顔を見せる。教室をコンバージョンした客室や、図書館だったガラス張りのバスタブ、元職員室のレストランなど、当時の面影を少しだけ残しつつもガラリと趣を変えた佇まいになっており、現代芸術家の小川貴一郎氏による作品が飾られた館内には、フレンチのコースが堪能できるレストランや気軽に立ち寄れるカフェもある。

 

 

 

 

 シェフを務めるのは、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」において史上最年少(26歳)でグランプリを受賞した若き料理人、糸井 章太氏。審査中に「未来の料理人に伝えたいこと」を問われた際、「料理人は世界で一番幸せな仕事であり、料理は食べ手のみならず自分も幸せになれる」と述べた天性のシェフだ。様々な国や地域のレストランで自らの技術と感性を磨いた後、「オーベルジュ オーフ」のシェフ就任をきっかけに移住。観音下の美味しい名水や農産物、ジビエ、魚介類、山菜など、豊穣な地で育まれた四季折々の旬の素材を通じて、オーフを訪れたゲストに魅力を伝えたいと語る。

 

 

 

 

 ここでは、シェフの繊細な料理に合わせる酒をペアリングで堪能することも叶う。その日の料理に合うワインはもちろんのこと、古くから酒どころとして知られる石川県の酒米と水で造られた極上の日本酒もいただける。観音下には、失われかけた山廃仕込み復活の立役者であり能登杜氏四天王のひとりである農口尚彦氏の酒を伝承する「農口尚彦研究所」があり、霊峰・白山の伏流水を仕込み水にした酒造りの神様の味を糸井シェフの料理とともに愉しめる。

 

 また、日本遺産に認定された石の文化が根付く町であり、国会議事堂をはじめとする名高い現代建築に使われる日華石(にっかせき)と呼ばれる石材の採石場もある。オーフの周辺では、鹿などの動物を見かけたりすることもしばしば。里山のそよ風が駆け抜けるオーベルジュで、日常の喧騒から離れて童心にかえり、五感を研ぎ澄ましたい。

 

 

Chef Profile

糸井 章太(いとい しょうた)

京都府生まれ。辻調理師専門学校へ進学後、系列校のフランス校へ留学。アルザスの3つ星レストラン「オーベルジュ・ド・リル」にて研修。「ボキューズ・ドール 国際料理コンクール」アシスタントとして出場し、アジア大陸予選優勝/フランス本選 総合5位入賞。ブルゴーニュ地方の1つ星「レストラン・グルーズ」にて研鑽。帰国後「メゾン・ド・タカ 芦屋」に入店。「RED U-35」35歳以下の料理人を対象にしたコンクールにて最年少の26歳でグランプリ「レッドエッグ」を受賞。フォーブス「30 UNDER 30」Asia アーティスト部門に選出。アメリカ「マンレサ」「フレンチ・ランドリー」にて研修。「Auberge “eaufeu” オーベルジュ オーフ」シェフに就任。日本テレビ系「世界一受けたい授業」「リモートシェフ」などに出演。