September 2019

MADE FOR LIFE

赤峰幸生がたどり着いた
一生愛せる服

photography jun udagawa styling akihiro shikata text yuko fujita

赤峰幸生の一生愛せる服 02
LIVERANO & LIVERANO
Irish Linen Suit
生地:スペンス ブライソンのアイリッシュリネン

春先の晴れ日はマスタード色のアイリッシュリネン
四季を五感で感じ、それを装いに取り入れることを赤峰氏はずっと大切にしてきた。春先からはアイリッシュリネンスーツの登場回数が多くなる。こちらは2007年にスペンス ブライソンの生地で仕立てたものだ。色はマスタードがとてもしっくりくるという。シャツはレギュラーカラーの無地ポプリン。

「その中で絶対的に思っていることは、日本人にはグレイに勝る色はないなということです。無彩色ですし、杢糸というメランジの糸でも揉み方によってグレイが美しくも青みがかったりも赤みがかったりもして、本当に奥が深いと思います。特にミディアムグレイが好きで、チャコールもライトグレイもあまり着ません。ネイビーも着ますが、ベタな紺色というよりは、杢糸使いのネイビーが好きですね。いわゆるダークネイビーよりもブルーに近いもののほうが、私の好みです。特に大好きなのは、ドーメルのトニックに代表されるようなモヘア、それとシャークスキンですね。夏場はベージュのコットンスーツ、マスタード色のアイリッシュリネンスーツ、冬はミディアムグレイフランネルのスーツも欠かせない存在です」

 そして、合わせるシャツも大変気になるところだ。ここにも流行は関係なく、到達点があった。

「かつてウィリアム・イェッツというメーカーがあり、ギザ45を使ったロイヤルポプリンがあったんですけど、コリコリしたタッチが今なお私の脳裏から離れないほど、素晴らしいものでした。今日、それに最も近いのがアルモ社の170双ポプリンです。襟型に関していえば、1920年代後半から30年代のスタイルが好きで、レギュラーカラーで襟はかなりソフトめ、カラーキーパーを抜いたスタイルにたどり着きました」

 パリのシャルベでオーダーする際も、アカミネロイヤルラインで作るシャツも、必ずこの襟にするという。気に入ったシャツは袖口がボロボロになっても気にせずに着続けるという。
「長年愛用して傷んだシャツの袖口は、自分にとってはむしろ男の勲章でもあります。靴もそうですけど、ピカピカの新品を着るほうが気恥ずかしいです」

本記事は2018年5月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 22

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