注文靴の旗手“YOHEI FUKUDA”に学ぶ
ヨウヘイ フクダに聞いた、失敗しないビスポーク靴Q&A
January 2020
photography takeshi wakabayashi
Yohei Fukuda / 福田洋平1980年生まれ。19歳のときに英国へ渡る。ノーサンプトンにある靴博物館で見た20世紀初頭の注文靴に感動し、靴職人になることを決意。同地の靴職人養成学校を経て、ジョージ クレバリーやエドワードグリーンのビスポーク職人として活躍する。2008年に帰国後、自らのブランド「ヨウヘイ フクダ」を始動。現在は世界中の靴好きが訪れる、ニッポン・ビスポークの代表格として知られている。
Step1オーダーの前に
満足度を高めるために知っておきたいこと
Q1:靴をビスポークする一番の意義とは?
A:靴が主人公ではなく、履く人が主人公になる一足を、職人と共同で作り上げること。これが一番ですね。例えば、スラリとした靴が好みだけど既製では足が当たって痛いという方には、それを解決する靴を作りますし、純粋に美しい靴が欲しいという方には、その方のイメージを具現化するよう最大限努力します。こういったやりとりを経て、その方を引き立てる靴を作れるのがビスポークの醍醐味です。
Q2:メイド トゥ メジャーとの違いは?
A:木型をゼロから作ることが最大の違いです。メイド トゥ メジャーで行う木型の変更は、もともと完成しているラストをベースに、“ここを1mm出す、ここを1mm削る”といったスペック的な調整になりますが、ビスポークはお客様の足型とご要望のイメージをもとに、全体のバランスを見ながらシェイプを練り上げていきます。トウシェイプひとつとっても、お客様に合わせて微妙に形を変えているのです。
Q3:ビスポークならではの違いを最も感じられるケースとは?
A:わかりやすいのはフィット感に関してでしょうか。例えば、現状の靴に90%満足しているなら、ビスポークで改善できる余地はあと10%。それに対して時間や費用をかけるかどうかという選択になります。一方、現状の満足度が50%なら、その倍の“のびしろ”があるわけですから、違いを感じやすいということになるでしょう。
Q4:フルハンドソーンならではの利点は?
A:まず、返りがよく履き心地が柔らかいことがあります。またビスポークの場合、あらかじめ中底を木型の底面に沿ってクセづけし、足の裏の起伏に合わせてから製作するため、最初から足に添い、履き込んで大きくフィットが変わることもありません。また、オールソール修理の際は一度底をバラしたあと、同じソールの穴を使って縫い直すため靴へのダメージが少なく、修理可能な回数が多いというメリットもあります。
Q5:自分に適したビスポークシューズメーカーを選ぶコツは?
A:職人とテイストが合うか、信頼して任せたいと思えるかどうかが最も大切ですが、意外に見落としがちなのが“距離”です。ビスポークは基本的に長いお付き合いを前提としていますから、あまり離れた場所で作ると通うのが負担になってしまいます。それに修理やトラブルをご相談される際も、近いほうが便利ですから。
Q6:オーダーの際、自分のイメージを正確に伝えるコツは?
A:最終的なイメージを職人と正確に共有することだと思います。他ブランドの靴や写真をお見せいただいて、“こんな雰囲気がいいけど、ここを改善したい”などとリクエストいただいても結構です。
南青山にあるヨウヘイ フクダのサロン内には、多数の靴サンプルが並んでいる。そのため仕上がりのイメージを摑みやすく、ビスポーク初心者も安心してオーダーできるのが魅力だ。
Q2:
ずらりと並んだラストはすべて顧客のためだけに製作された世界でひとつだけのもの。足型も好みも千差万別の中で、顧客の理想をいかに具現化するかが職人の腕の見せどころとなる。
本記事は2019年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 30