January 2020

注文靴の旗手“YOHEI FUKUDA”に学ぶ

ヨウヘイ フクダに聞いた、失敗しないビスポーク靴Q&A

text hiromitsu kosone
photography takeshi wakabayashi

ヨウヘイ フクダのハウススタイルである「ヘリテージコレクション」。左のセミブローグは「ゲーテ」、右のパンチドキャップは「セレステ」と名づけられている。いずれも美しいチゼルトウで、ビスポークならではの研ぎ澄まされたシャープさがありながら、控えめでクラシックな佇まいだ。

Step2デザイン決め

Q7:最初の一足はどんなデザインがいい?
A:フィッティングの完成度を上げるために、最初はレースアップの靴を注文されるとよいでしょう。内羽根でも外羽根でも結構です。一足めにローファーやブーツを作るのはおすすめしませんし、オーダーを受けないところもあります。また、ほとんどのシューメーカーではサンプルの靴を展示してありますから、はじめはそのデザインから選ぶとイメージとの食い違いが少なくなるでしょう。

Q8:ヨウヘイ フクダのハウススタイルは?
A:ヴァンプのラインが踵まで伸びた「ヘリテージコレクション」は、定番として好評をいただいています。伝統的な英国スタイルをベースに、履く人へ自然に溶け込み、その人を引き立てる靴、普遍的で飽きのこない、クラシックなデザインを基本としています。

Q9:まったく新しいデザインでオーダーすることも可能?
A:もちろん可能ですが、そのシューメーカーの得意・不得意を考慮したうえでリクエストされることをおすすめします。例えばブリティッシュスタイルを得意とする職人にイタリア風の靴を作らせようとしても、成功するケースは少ないでしょう。ビスポークを数多く経験されると、最終的にはベーシックなデザインに戻るお客様が多いですね。

Q10:トウシェイプやヒールの大きさなどはリクエストしてよいものか?
A:限度はありますが、ご要望は遠慮なくお聞かせください。できる限りお答えします。ただし、例えば足をスラリと見せたいと思ってトウの幅を細くすると、逆に足の幅が強調されて太く見えてしまったりするケースもありますので、どのような理由でトウやヒールを変えたいのかをおっしゃっていただいたほうがよいと思います。

Q11:アッパー用レザーの定番は?
A:既製靴と同様、フランスのアノネイやデュプイ、イタリアのゾンタやイルチア、ドイツのワインハイマーあたりがビスポークでも多く使われます。ただし、同じ「〇〇社の△△」という名前の革でもさまざまな等級があり、それによってクオリティがかなり違ってきます。そのためスーツにおける生地選びのように、単純に「こんな靴にはこの革がおすすめ」とはいえないのが実情なのです。また仕上げの際にクリームを入れることで色合いがかなり変わりますので、オーダー時にご相談いただきながら決めるのがベストといえます。

Q12:ソール用レザーのおすすめはある?
A:当店ではイギリスの「J&Fベイカー」のオークバーグを底材に使用しています。英国のビスポークシューズにも使われている素材で、優れた耐久性がありつつ、返りもよいのが特徴です。

Q9:
オーダーシートには、こまごまとしたディテールの仕様まで記入する欄が設けられている。注文者の要望とシューメーカーのセンスを掛け合わせて最適な仕様を決めていく。

Q10:
ヨウヘイ フクダの基本は左のようなチゼルトウだが、要望次第で右のようなラウンドトウに仕立てることも可能。

Q11:
多数のスワッチが並ぶアトリエ。ここにクリームを入れて仕上げることで、多様な表情に仕上げることができる。

Q12:
右にある板状の革がJ&Fベイカーの底材。樫の木のタンニンでなめす伝統的な製法によって作られている。

本記事は2019年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 30

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