January 2023

THE HOUSE of VINTAGE

服道楽最後の“沼”へようこそ:ペコラ佐藤のヴィンテージ生地入門

photography tatsuya ozawa

どうやって選べばいいのか?
「これはもう、フィーリングです。ぱっと見でいいなと思ったものを、躊躇なく買うということでしょうか。往年のものならではのちょっと変わった柄を選ぶのも、ヴィンテージの楽しみです。最初は『こんなの、着られるかな?』と思っても、勇気を出して着続けていると、そのうち自分に馴染んでくるものです」
 
初心者はやめたほうがいいか?
「初めてのオーダースーツでヴィンテージ生地を選ぶのは、まったく問題ありません。むしろ仕立て服のよさを知っていただくために、積極的におすすめしたいくらいです。バンチだけだと自分に似合うかどうか、わかりにくいものですが、生地そのものがあれば、当ててみて、より仕上がりのイメージが掴みやすくなりますし」

今も着る人を待つ、ヴィンテージ・コレクションの数々

RIBTEX by DORMEUIL(ドーメル/英国製/1980年代初頭/420g)
名門ドーメルのビジネスに最適な生地
1842年創業、世界最古のマーチャントである名門ドーメルが1950年代中頃に発売したダブルクロスの服地。タテ糸・ヨコ糸を双糸にして撚りをかけて重なり合うように織ることで滑らかさと弾力性を両立させている。耐久性、シワの回復力に優れ、さらにソフトな着心地から欧州のビジネスマンに支持を得るが、そのうち時代に合わなくなり、いつの間にか姿を消した。地のシャドーの織柄模様は今では見られないものだ。¥480,000(シングル2ピース)

LONDON SOCIETY by BARCLAYS(バークレー/英国製/1980年代/330g)
なつかしの“整理屋”のスタンプが残る
かつてはカシミアやモヘアなど高級素材を中心としていた英国バークレーの生地。1990年代くらいまでは日本にも入っていたという。佐藤氏は先代よりフィンテックスのFX80 〜からはじまる品番の生地を愛するが、そのかつての製品にそっくりらしい。生地の裏に押されたLONDON SHRUNK(ロンドン・シュランク)のスタンプは地詰め専門業者“整理屋”のもの。現在の生地には、こういったものは見られない。¥500,000(シングル2ピース)

ペコラ銀座(テーラー サトウ)
館山ストックルーム
千葉県・館山市内にあるペコラ銀座のストックルーム。膨大な数のヴィンテージ・ファブリックが保管されている。ピンクに塗られた外観は、まるでここだけが南イタリアのよう。建物の背後には素晴らしい工房が控える。前身のテーラー サトウは鴨川にて1932年創業、その後この地に移り、今年で90周年を迎える。館山郵便局真向かい。駐車場あり。お訪ねの際は必ず予約を。
千葉県館山市北条1625-15
TEL.0470-22-1536


本記事は2022年5月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 46

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