STREET SMART

英国のサブカルチャーA to Z

September 2016

text charlie thomas
issue10_P83_2

ソーホーのポール・ウェラーとピート・タウンゼント、1980年。

 この最高にナルシスティックなカルトは、やがてグローバルなファッション・トレンドになっていく。ザ・フーやスモール・フェイセスといったバンド、また初期のビートルズやローリング・ストーンズなどを通して、モッズは世界中のオーディエンスに届けられた。

 スリムでダークなスーツに身を包んで『レディ・ステディ・ゴー!』などのテレビ番組に出演した俳優マイケル・ケインは、もともとモッズというわけではなかったが、その教義を引き継ぎ、細いニットタイと労働者階級らしいコックニーのアクセントで、その格好よさを伝えた。

 今日でもモッズは、時代を超越した魅力をたたえており、ポール・ウェラーはこのムーヴメントにもとづいた自身のブランド“リアル・スターズ・アー・レア” を立ち上げた。

「僕のやることはすべて、モダニズムとモッズであることに導かれ、触発されているんだ」とウェラーは言う。

「そこには最高の音楽とスタイルがある。それが今でも人気がある理由さ。それは“ファッキン・グレート・ルック”だ。美しいカットのミッドナイトブルーの、2ピースか3ピースのスーツは、いつだって最高にクールなのさ」

スキンへッズの登場 しかしながら、モッズがはじめに現れた際、68年以降には、一時的に流行遅れになり、あきらかな断絶が生じた。エルムスは記す。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 10
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