September 2016

STREET SMART

英国のサブカルチャーA to Z

text charlie thomas
issue10_P80_4

こざっぱりしたモッズ、1966年

 バー・イタリアや2i?s コーヒー・バーといった店は、金曜の夜にはさまざま異文化とスタイルが集まるメルティング・ポットとなり、若きイギリスのモッズたちは、刺激的な音楽と新しいファッションに触れることができたのだ。

 モッズは彼らが崇拝するモダンジャズ音楽と、彼らがあこがれる現代的な生活にちなんで名づけられた。この現代性(モダニティ)は拡張されて、彼らの考え方やふるまいのあらゆるところに適用されたが、それが最もわかりやすかったのは、やはりファッションだった。

 モッズは、テディボーイがしたようにサヴィル・ロウや、かつての英国スタイルに興味を寄せる代わりに、アメリカのアイビーリーグのスタイルに、インスピレーションを求めた。

 今日のファッション・シーンとは異なり、当時は新しいモッズ・ルックを宣伝する大予算のキャンペーンも、それを讃えるスタイルマガジンも存在しなかった。その代わりに若いモダニストたちは、インスピレーションの源を一生懸命探し、たくさんの装いのテクニックを試した。

 クリエイティブで、ディテールにこだわる者が報われるのだ。特にスタイリッシュで常に他を打ち負かす者には、ときに“エース・フェイス”の称号が与えられた。彼らのファッション・リーダー、素晴らしいセンスを持つモッズのことだ。

「フェイスたちが求めていたのは、既存のエリートに挑戦すること、彼ら自身のエリートを作り出すこと、そして彼ら自身が入会の条件を定める、秘密クラブを作り上げることだった。どの学校に行っていたとか、父親が経営陣と知り合いとか、そんなこと関係なしで、何を着るか、何を聴くか、何を読むかだけで判断されるクラブだ。少なくとも週末の間だけは、彼らが奴隷でなく、高貴な人間になれる場所だ」とライトは説明する。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 10
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