September 2016

STREET SMART

英国のサブカルチャーA to Z

text charlie thomas

 ときには、スーツからあらゆるフォーマルな意味合いが取り除かれていることもある。いくつかのブランドは完全にアンコンストラクテッドな“スーツに見える、スーツの類似品”を生み出している。かつてはありえなかったスーツの着こなしも可能となった。しかし、こうした衣服革命が起こったのはこれが初めてのことではない。スーツは過去何年にもわたって、もとの文脈から離れてきたのだ。

はじまりは、テディボーイ モッズほど記録に残っているわけではないが、50年代の“テディボーイ”たちも影響力の大きなサブカルチャーであり、それ以降のムーヴメントに続く道を開いた。エドワード時代スタイルのドレープ・ジャケットに、ハイウエストでツープリーツのパンツ、シルクのウエスタン・ボウタイがユニフォームだった。音楽はハイビートのロックンロール。そして最も重要だったのは、あらゆることにおいて、イギリスの伝統を無視することだった。

「第二次世界大戦後、古い社会的区分が崩壊しはじめたのにしたがって、一部若い労働者階級の男性たちは、新しいアイデンティティを表現した」とマスグレイヴは表現している。

 エドワード時代の上流階級の人々の衣装を取り入れることで、労働者階級のテッズは、社会の上層の人々に中指を立てた。以前は富とエレガンスを象徴していたスーツを着て、彼らの反逆性を表現したのだ。

 しかしテディボーイの広がりは限られており、スーツを新しいレベルに引き上げるところにまでは至らなかった。それは彼らを継承する者=“モッズ”によってなされたのだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 10
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