April 2023

RULE BRITANNIA

高級車、そして高級服の代名詞
CONNOLLY(コノリー)

ロールス・ロイスなど名だたる高級車には長年コノリーのレザーが使用されてきた。英国人にとってその名は高級車、そして最上級のラグジュアリーの代名詞なのである。

核となるドライビング・コレクションはビスポークのドライビング・スーツからグローブ、ドライビング・シューズまで、車好きなら心踊る品揃えだ。

 1878年、ジョン・ジョセフとサミュエル・フレデリック・コノリーによってコノリーは創業された。そして1902年のエドワード7世の戴冠式のコーチ製作に始まり、ロールス・ロイス、ベントレー、アストンマーティン、ジャガーと、名だたる英国の高級車にはすべてコノリーのレザーが使用されてきた。

 厳選された皮革を用い、コノリー独自の製法によって鞣されたレザーは、滑らかで肌に吸い付くようなスムーズな触感と、湿った森のような独特の芳香を放ち、英国車のラグジュアリー文化に欠くべからざる存在だった。

 80年代になると、自動車のシートや内装ばかりでなく、ピカデリーにある王室御用達ホテル、ザ・リッツの改修や伝説の航空機コンコルドのシート製作にも関わってきた。

 1990年にはコノリーの再ブランディングが行われ、95年にはロンドンのベルグレイヴィア(大使館が立ち並ぶ一等地)にレザー製品をメインに扱うストアをオープン。当時はヘルメットやゴーグルといったモーターサイクル関連の用品を扱い、自動車好きの間では知る人ぞ知るブランドだったのである。

 2000年にはロンドンのコンデュイ・ストリートに移転。その時の仕掛け人であり、オーナーが2016年10月にコノリーを再生させたイザベル・エッティギィ氏だ。

 クリフォード・ストリートに誕生したコノリーは、向かいにあるアンダーソン&シェパードのハーバーダッシャリーと双璧をなす、新たな英国のラグジュアリーを象徴するストアだ。

 今回、新たに生まれ変わったコノリーは地上2階、地下1階建て。自動車関連の衣類を扱うドライビング・コレクション、コートやジャケット、ニットウェアなどのクラシック・コレクション、レザーグッズ・コレクションからなり、メンズ、ウィメンズの双方を取り扱う。

 ここではコノリーのオリジナル製品に加え、イザベル・エッティギィ氏が厳選したブランド、イタリアのカー・シューのドライビング・シューズやスティレ・ラティーノのジャケット、フランスのシャルべのシャツも販売している。

 イザベル氏はファッションブランドのジョゼフを夫とともに成功させた人物で、1995年にコノリーのストアを開店したとき、初めてロンドンでカー・シューやシャルべを紹介したのも彼女であり、その選択眼はお墨付きだ。

 このブランドの特徴はスポーツを通してみる「英国的な趣味のよさ」。肉厚のツイードのオーバーサイズのコートにカシミアのタートルネック、ベースとなるのはアイヴォリー、ブラウン、グレイなどのベーシックカラーで、素材の上質さを際立たせている。シンプルなフォルムで、ファッショナブルになりすぎないよう、注意深くデザインがなされている。

 皮革製品はブリーフケースから、トラベル用のシルバーのフラスクを内蔵したカクテルケースまで、その凝った製品の数々はコノリーの伝統を反映している。

 それにしても、なぜ、今、コノリーを再生する気になったのだろうか。

「私自身、なぜ始めたのか自問するくらい、これは困難な挑戦でした。でもこれが私にとって最後のチャンスだと思ったのです。1989年に私がコノリー・ファミリーと働き始めて以来、これはファミリービジネスのようなものであり、今は店の上に住んでいます。英国人にとってモータースポーツは特別な意味を持っています。コノリーは出合ったときから、プレミアム・メンズブランドになると信じていました。人々は新しいラグジュアリーを探しています。しかし私自身はこの言葉はあまり好きではありません。単純に高価やステイタスを意味することが多いのではないでしょうか。真のラグジュアリーは時間、クラフツマンシップ、歴史、精神をともなっているもの。コノリーにはそのすべてがあるのです」

地階ではドライビング・コレクションを扱っている。ビスポークでイニシャルやマークを入れることも可能だ。

コノリーのスポーツ・ラグジュアリーを代表するスエードのアンラインドのサファリ・ジャケット。

スリムフィットのカフェ・レーサー・レザー・ジャケット。ともに日本からはMr.Porterのウェブサイトで購入可能。www.mrporter.com

シガレットケースやピルケースなど厳選したアンティークも販売されている。

Isabel Ettedgui / イザベル・エッティギィ2000年、夫のジョゼフ・エッティギィ(ファッションブランド、ジョゼフの創業者)とともにコノリー一族より営業権を取得。ストアをコンデュイ・ストリートに開く。2010年、夫の死により、閉店。2016年10月、クリフォード・ストリートに新しいコノリー・ストアを再オープン。現オーナー兼経営者。

地階は車関連、1階はレザーグッズとクラシック・コレクション、2階はアンティーク小物とエキシビション・スペースとなっていて、誰でも閲覧可能。
CONNOLLY4 Clifford Street,London,W1S 2LG
TEL +44(0)20 7952 6708
www.connollyengland.com

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 20

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