METHOD MAN:ED HARRIS
俳優エド・ハリス 独占インタビュー
April 2024
最新作『さようなら、コダクローム』 ハリスの最新作『さようなら、コダクローム』(現在Netflixで配信)は彼自身が作り上げてきた、厳しい冷酷な目をした主人公のタイプに別れを告げている。彼の役は強情さで有名なベン・ライダーというカメラマンで、末期癌を患っている。死ぬ前の望みは必要な設備を整えた現像所が閉まる前に、残った2、3巻のコダクロームのフィルムを現像しに、疎遠になっていた息子とカンザスまで旅することだ。
アナログとデジタルの盛衰は、父と息子との関係のメタファーになっている。ハリスはこの映画の出演にサインした最初の俳優だった。作家のジョナサン・トロッパーはハリスありきでキャラクター作りをした。トロッパー曰く、ハリスは「ある種の難しさがある人だ。ほとんど頑固者のようだ。そういう強さとか堅さを持った人と仕事をして、それが壊れるのを見るのが面白い。エドは本当に優れた役者だから、みんながそれに引きずられる」男だという。
そしてハリスは語る。
「この役はとても楽しかった。この父親は人生のほぼ最後のステージにいて、それをまったく気にしていない。だから、この役をやるのにとてもリラックスしてできた。この2週間くらい、映画を見た何人かの友達から、とても心に響く、意味のある映画だったというコメントをもらった。男の場合、父親となんらかの問題を抱えているのは珍しいことではないと思う。自分自身も父親だからわかるんだ。この映画のおかげで、父と子の関係に対して、違う見方もできるようになった」
ハリスのキャリアを眺めるときにはたったひとつの見方しかない。最大限の尊敬を払うしかないのだ。低予算の芸術作品からジェームズ・キャメロンの大作まで、ハリウッドという地雷原で静かに用心深く歩きながら、40年にわたり真似のできないクオリティで演じてきた。何か他のことができただろうか?
「若い頃の自分にはそんなに大酒を飲むな、と言ってやりたい」とハリスは苦笑する。
「そしてあまり高見を目指さず、小さな馬の手綱を取るんだ、と。若いときに成功するとそれが頭にこびりついて、自分が特別だなんて思い込みがちだ。自信を持つということと、それで馬鹿にならないということは違うんだ」
インタビューにおける、ひとつひとつの彼の言葉には“これ以上真実のものはない”という重みがあった。