METHOD MAN:ED HARRIS
俳優エド・ハリス 独占インタビュー
April 2024
シャツ 100Hands for The Rake
ジャケット、ジーンズ、ハット、ブーツ all property of Ed Harris
彼は率直に語るし、彼の言葉の緩急には、すっと引き込まれる。しかし、そのざらざらした声と言ったら! 夏の日のポーチの上のウィスキー、午前3時のスライド・ギター、蜂蜜に混ぜた一握りの砂のようなものだ。でも彼が役を演じるとき、それは非常に深く圧倒的な響きを持つのだ。
『ウエストワールド』の世界 エド・ハリスはそのキャリアで多くの役を演じてきたが、いつも“深く圧倒的”であった。例えば、名監督デヴィッド・クローネンバーグの2005年の犯罪スリラー、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の中で、ハリスはスーツに身を包んだ、カール・フォガティーを演じた。顔に傷のある、小さな街の家族を食い物にするギャングだ。そこで彼は、ショッピングモールのベンチに座っていたり、車の窓から二言三言話す間に、完璧に不吉な雰囲気をにじみ出させている。
あるいは『ザ・ロック』。この中で、ハリスは気が狂った元・愛国主義者であるフランシス・X・ハンメル准将を演じた。彼はVXガスミサイルを大量に強奪し、サン・フランシスコのダウンタウンに発射しようとするのだ。
そして、ユル・ブリンナーが主演した1973年の映画を元にしたケーブルTVドラマの『ウエストワールド』では、ハリスは黒服の男を演じ、サイコの究極の姿を探った。「この役を演じるのは、本当に楽しかった」とハリスは言う。
「スケジュールは、なかなかうまく進まなかった。撮影には6、7ヶ月かかったが、実際に撮るのは1週間に2、3日だけで、時にはまったく撮影しないような期間もあった。だから生活のリズムがうまくとれなかった。しかし撮影自体は、楽しかった。黒服の男は演じるのがとても面白い人物で、セカンド・シーズンではもっとワイルドになる。これまで人に与えてきた苦しみが、自分につきまとうんだ」
夫婦であるジョナー・ノーランとリサ・ジョイによって作られた『ウエストワールド』は人工的に作られた昔の西部劇の世界のような空間に、バーテンダー、シェリフ、娼婦、カウボーイなどの人物が登場する。彼らは“ホスト”と呼ばれるが、実は人間と見分けが付かないアンドロイドで、見ている者は誰が本物の人間で、誰がロボットなのか混乱させられる。
ウエストワールドを訪れるゲストは、親切なホストと共に自分のファンタジーを叶えようとする。ある者は英雄的なゴールを求め、ある者は自分のダークでサディスティックな欲望を叶えようとする。
ウエストワールドは、ノーランとジョイの、“もしロボットが人間にすごく似ていて、われわれと同じように感じ、意識があったら・・われわれ人間は彼らをどのように扱うのだろうか?”という複雑なテーマを通じて、人間の真実に迫る力作である。
「俺はテクノロジーが、いずれわれわれ人間を追い越すと考える人間の一人だが、その後、どうなっていくかはわからない」