June 2019

FROM THE HEART

ナポリの、そしてイタリアの宝:“ダルクオーレ”のスーツ

text ben st.george

ダルクオーレを代表する三つのショルダータイプとそのコンストラクション。左は“ローマン・ショルダー”、中は“コン・ロリーノ”、右は“スパッラ・カミーチャ”と呼ばれるもの。さまざまな構造を使い分けている。

 サルトリア・ダルクオーレを26歳でオープンする前に、ルイジはいくつかのナポリのテーラーで修業している。そして多くの同時代の人々と同じように、伝統に忠実であろうと努めていた。

「われわれは昔ながらの方法を守っています」と彼は言う。

「むやみに新しいやり方を取り入れたり、トレンドを追ったりするようなことはしません」

 しかし、彼の幅広い知識と経験をもってすれば、どんな服作りでも可能となる。ハウススタイルを繰り返すばかりでなく、サルトの長い歴史の中から、ベストと思えるものをチョイスして、それらを組み合わせることができるのだ。

「これはナポリの伝統を無視するということではありません」と彼は自身のスタイルについて語る。

「エレガンスを保ちつつも、よりインターナショナルな服として通用するよう工夫しているのです」

 一見すると、ダルクオーレの仕事は、古典的だ。しかし、もしルイジが、構築的なローマ風のスタイルを提案したとしても、その中身はアンコンで柔らかいナポリ風となる。彼の服は、古きよき時代のエレガンスと、リラックス感を併せ持っている。

ナポリに位置する自身の工房で、自らのテクニックと洋服について熱く語るルイジ・ダルクオーレ本人。

DIGITAL TECH: DAVID HANSON
PHOTOGRAPHER’S ASSISTANT: VERONICA PEREZ
GROOMING: LUCY HALPERIN
GROOMING ASSISTANT: BETHANY JOHNSON

THE RAKE JAPAN EDITION ISSUE 23
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