WOVEN TRACK RECORD

織物師の矜持

Wednesday, April 21st, 2021

フランチェスコ・バルベリス・カノニコ氏は、358年の歴史を持つ大生地メーカーの直系である。

彼はどのようにして、ビジネスを創造的かつ新鮮なものにしているのか?

彼は「ヘリテージとはドグマではなく、基準点である」と言う。

 

 

 

text nick scott

 

 

 

 

Francesco Barberis Canonico

フランチェスコ・バルベリス・カノニコ

ビエラ地方のプラトリヴェッロに位置する老舗ミル、ヴィターレ・バルベリス・カノニコ創業家の13世代目にしてクリエイティブ・ディレクター。年間5,000点を超えるファブリックのデザインを創造しているCEOのアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ、およびCSR部門を率いるルチア・ビアンキ・マイオッキと協力し、約4世紀の伝統を持つヴィターレ・バルベリス・カノニコ社を運営している。

 

 

 

 

 複雑にデザインされた生地を織る織機を見ていると、まるで催眠術にかかっているかのような錯覚に陥る。物理学者がチョークで黒板に書いた方程式のように、複雑な数学的配列に基づいて、横糸と縦糸が交錯する様子は、いくら見ていても飽きない。

 

 イタリア、トリノの北50マイルのビエラ地方に位置するヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC以下)では、毎年長さにして約1,000万メートル、重さ300万kgのウールを使用して生地が織られている。

 

 VBCはオーストラリアでウールを生産しているだけでなく、多くの主要ブランドはもちろんのこと、世界で最も権威のあるオーダーメイド工房のために、梳毛、染色、紡績、織布、デザインを行っている。

 

 VBCの13代目となるフランチェスコ・バルベリス・カノニコ氏は、クリエイティブ・ディレクターであり、7人のデザイナーとともに、年間5,000点以上の新しい生地を生み出している。その情熱は尽きることがない。

 

 

ヴィターレ・バルベリス・カノニコ社がウールを生産するオーストラリアの牧場。

 

 

 

 

いま人々が求めているもの

 

「パンデミックの後、人々はより快適な服を欲しがっています。締め付けがなく、家で着ることができ、かつ外出してもスマートに見える服です。今、多くのお客様から『ウエストにドローストリングの入ったトラウザーズが欲しい』と言われています。洗濯機で洗えて、快適で、ジャケットと合わせてもスマートに見えるような、着心地の良いイージーなトラウザーズが求められているのです。他には、裏地も芯地もない、古いカーディガンのような、家でも外出先でも着られるパッチポケット付きのブレザーなども人気があります。堅苦しくなく、構築的でもなく、着ていて楽しいもの、それが今のところのアイデアです」

 

「若い人は好奇心旺盛です。彼らはサイトを見て、ブログをチェックします。インスタグラムでは85,000人以上が私たちをフォローしてくれています。明らかに、人々は私たちが何をしているのかを知りたいと思っています。人々は買い物をすることは少なくなりましたが、より多くのことを研究しています。オンラインで見て、製品の裏に何があるのかを知りたがっています。糸は何ミクロンなのか、生地はどうやって作られているのか、生地の手入れはどうなっているのか、どうやって耐久性を持たせているのか、などなど。結局、耐久性のあるものはサステナブルでもあるのです」

 

 

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