VITALE BARBERIS CANONICO

世界のトップサルトリアが認めた服地

Wednesday, October 21st, 2020

伊の名門生地メーカー、ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)がサルトリア界を席捲している。

それはミラノのトップサルトリアであるA.カラチェーニとムゼッラ デンベックにおいても例外ではない。

 

 

text yuko fujita 

photography luke carby 

still photography jun udagawa

 

 

左はA.カラチェーニの3代目カルロ・アンドレアッキオ・カラチェーニ、中央が息子のマッシミリアーノ、右がVBCのクリエイティブ ディレクターであるフランチェスコ・バルベリス・カノニコ。VBCは2015年にファーテベーネフラテッリ通りにあるA.カラチェーニの下にショールームを構えた。お互い旧知の仲で、相手に敬意を払いつつ刺激し合えるからそうしたという。

 

 

 

VITALE BARBERIS CANONICOを語るー

 

A.CARACENI

とびっきりの紳士を虜にし続けるトップサルトリア

 

 

 少し前の話になってしまうが、フィッティングルームから出てきた紳士は今は亡きセルジオ・ロロ・ピアーナだった。次に訪れたときには、モナコからクルマでピューンとやってきたという大変気さくなフランス人の大富豪だった。「ファーテベーネ」のカラチェーニことアウグスト・カラチェーニとは、そういったとびっきりの紳士が訪れるサルトリアだ。

 

 彼らのような世界トップレベルのウェルドレッサーたちにとって、カラチェーニのサロンの棚一面に並ぶ生地は、どれも宝石さながらの存在だ。カラチェーニにおいては、世界のトップテーラーがそうであるように、限られた人たちだけが理解できる「Buon Gusto(趣味のよさ)」という共通言語のもとに会話が成立する。

 

 

A.カラチェーニのサロンの壁一面には生地がズラリと並んでいて、その一角を占めているのがVBCの服地だ。注目度が俄然増している21マイクロン・ウールのスプリング4プライを筆頭に、ウールモヘアやフランネルなど、ラインナップは多岐にわたる。「私たちが選ぶ生地の基準は、手触りのよさ、質感のよさ、長持ちするか、そして仕立てたときに美しく見えるかどうかです。VBCはそのすべてのバランスが非常に長けている。そしてイタリアらしい発色の美しさを控えめに表現してくれる。私たちの審美眼に適った生地なのです」とカルロ。

 

A.Caraceni

Via Fatebenefratelli,16, 20121 Milano

Tel.+39-02-6551972

 

 

 スーパー200sやら250sやら数値の高さばかりを競う紳士が悪趣味であるかどうかは別として、少なくともそういう生地を好む紳士はA.カラチェーニのスタイルとは合致しない。あまりにデリケートな服地は縫製の際に波打ってしまって美しく見えないし、これ見よがしの艶やかな服地もカラチェーニの考えるエレガンスとはかけ離れているからだ。手縫いの服にはそれにふさわしい生地があり、趣味のよいサルトリアはそういった選りすぐりの生地を選んでいるのだ。

 

 さて、カラチェーニの棚にぎっしり並んだ生地はどうだろう? 彼らが考える理想の生地とは、長く着続けられる耐久性を備え、時が経っても価値を失わないものである。昼向けのチャコールグレイ、夜向けのネイビーが多くを占め、そのほとんどが英国製の生地だ。ただ、右端の一角だけは、フワッと華やいだ生地が並ぶ。今をときめくVBCの生地だ。

 

  2015年4月、VBCはサルトリア A.カラチェーニのすぐ下のフロアにミラノショールームをオープンさせた。VBCのクリエイティブ ディレクター、フランチェスコ・バルベリス・カノニコとA.カラチェーニのカルロ・アンドレアッキオ・カラチェーニは懇意な間柄で、取材日は2社のイベントの日でもあった。

 

「ディレクターのフランチェスコさんは仕立て服が大好きで、だからサルトリアがどういった生地を好むのか、よく理解してくれています。21マイクロン・ウールの4プライなどは、それが顕著に表れた、VBCならではの生地だと思います。例えばベーシックなネイビーでも、VBCの発色は英国生地にはない美しさがありますし、柄出しのセンスも大変秀逸です。それと、決してやりすぎることもない。そのへんの匙加減の上手さも、私たちがVBCを好んでいる理由です」

 

 それに対してフランチェスコが語っていたこんな言葉が印象的だった。

 

「一流のサルトリアに愛される生地は一流の証。それは同時にサルトリアで仕立てたお客様からの信頼を得ることに繋がり、それがVBCのブランド価値を高めてくれることになるのです」

 

 確かにカラチェーニを筆頭とする一流のサルトリアから確固たる評価を得たことで、近年、VBCというブランドの価値は格段に高まっている。実際、一流の顧客からの人気も非常に高いそうだ。

 

 

A.CARACENIが選ぶ

お気に入りVBCファブリック

4 PLY

オーストラリアで買い付けた特殊ウールから生み出されるアイコン素材「21マイクロン・ウール」の顔的存在となっているのが、「4プライ」。その名のとおり双糸と双糸に再度撚りをかけた4プライの糸を、経糸と緯糸にそれぞれ使用している。通気性と反発力に大変優れ、シワ回復力が非常に高い。それと特筆すべきは、伸度にも優れている点だ。ベーシックな色柄を中心に揃えていることもあり、世界中のテーラーから愛されている、今最注目の生地である。

 

 

本記事はISSUE14(2017年1月25日発売号)にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

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