V 220 d AVANTGARDE Extra-long Black Suite
圧倒的な空間とステイタス
September 2022
メルセデスが誇るラグジュアリーなショーファードリブン。
専用のブラックアクセントで精悍な印象が際立つ。
最高のステイタスを持つ一台を渡辺慎太郎が評する。
text SHINTARO WATANABE
V 220 d AVANTGARDE Extra-long Black Suite
海外ではショーファードリブンとして高い人気を誇るVクラスを、さらにラグジュアリーに仕上げた一台。その存在感は圧倒的だ。
全長×全幅×全高:5,385×1,930×1,930mm ※受注生産/写真はオプション装着車
メルセデス・ベンツの国際試乗会に招かれると、空港とホテルの送迎ではVクラスに乗せていただく機会が多い。ボディサイドにさりげなく「Mercedes-Benz Media Shuttle」と書かれたオブシディアンブラックの車両に乗り込んでスライディングドアを閉めれば、それまでの到着ロビー周辺のざわついた空気から完全に遮断された静寂の空間が生まれる。長旅の緊張感からようやく解放されてホッとひと息つける瞬間だ。
決して小さいとはいえないこのタイプのいわゆるミニバンのボディは、居住空間が広いいっぽうで高いボディ剛性を確保することが一般的に難しい。ところがVクラスのボディは驚くほど頑強で、シートの取り付け剛性も異様なくらいしっかりしている。振動が少なく乗り心地に優れるこのクルマの比類なき快適性には、乗る度に呆れるほど感心する。
“V 220 d アバンギャルド エクストラロング ブラックスイート”は、日本仕様のVクラスに新たに追加された受注生産モデルである。“ブラックスイート”の名の通り、エクステリアには専用のブラックアクセントが随所に見られる。バンパー開口部、サイドミラー、そして19インチのAMG7ツインスポークアルミホイールなどにはブラックのペイントが施され、精悍な印象をよりいっそう際立たせている。
インテリアに目を向けてみれば、エクステリアの雰囲気が室内にも持ち込まれ上手に調和して、連続性や統一感が伝わってくる。その一例が、インテリアのブラックカラーを基調とするカーボン調パネルだ。これがダッシュボードに貼り込まれ、室内のアクセントになっている。こうすることで、広大な室内に引き締まった印象をもたらしている。
2列目には独立型のシートが装着されている。電動式調整機構やUSBポート、スマートフォン用トレイなどをそれぞれのシートに用意し、さながら飛行機のビジネスクラスのシートのようでもある。2列目シートからも手が届くセンターコンソールには、冷蔵庫や温冷機能付きカップホルダーを配置。こうしたおもてなしの数々によって、Vクラスの快適性がもうワンランク上に押し上げられているのである。
このクルマの特等席はおそらく2列目だろうけれど、実は隠れた特等席がもうひとつある。FRならではの操縦性が楽しめる運転席もまた、Vクラスの魅力が満喫できる場所なのだ。
Vクラスには数種類のボディタイプがあり、こちらはホイールベースの長い“エクストラロング”をベースに仕立てた“ブラックスイート”。ロングホイールベースは室内空間が広くなるだけでなく、乗り心地や直進安定性の向上にも大きく貢献する。ホイールはAMG製の7ツインスポークタイプで、ブラックの塗装が施された専用仕様。
ダッシュボードには、ブラックの色調のカーボン調パネルが採用されている。
独立式の2列目シートは電動で細かく調整することができ、レッグレストが起き上がってくるなど、飛行機のビジネスクラスを彷彿とさせる。これだけのスペースが確保できるのは、エクストラロングのボディだからこそ。仕事のオンとオフの両場面で快適に過ごせる空間だ。
※日本仕様のハンドル位置は右ハンドル/本記事内写真の仕様・装備は日本仕様と異なる場合あり
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