THE RAKE FILM FEST: THE GREAT GATSBY

ラルフ・ローレンが手がけた:映画『華麗なるギャツビー』

September 2022

パワースーツの着こなしを学ぶなら、1974年の映画『華麗なるギャツビー』がおすすめだ。

多くのデザイナーが常にインスピレーションを得ている、アイコニックな傑作である。

 

 

by FREDDIE ANDERSON

 

 

映画『華麗なるギャツビー』のワンシーンでロールス・ロイス ファントムに寄りかかるロバート・レッドフォード(1974年)。

 

 

 ロバート・レッドフォード、サム・ウォーターストン、ミア・ファローが、それぞれジェイ・ギャツビー、ニック・キャラウェイ、デイジー・ブキャナンを演じたこの映画は、ジャズ・エイジ=狂騒の1920年代を見事に描いている。

 

 ギャツビー役のレッドフォードは、ラルフ・ローレンによる完璧な衣装を身に纏っている。このチョコレート・ブラウンのチョークストライプのスリーピースは、映画に登場する1920年代のパワースーツを表現している(70年代のフレーバーもほんの少し加えられている)。

 

 超ワイドなノッチドラペル、ダブルブレステッドのウエストコート、たっぷりとしたプリーツ・トラウザーズが、ノスタルジックなルックを演出している。糊の効いたストライプのシャツ、ジャカードタイ、ウォッチチェーンの組み合わせは、鮮やかなイエローのロールス・ロイスと同じくらい印象的だ。

 

 F・スコット・フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』を原作としたこの映画の舞台は、ニューヨーク郊外のロングアイランド、季節は夏である。だから登場人物はいつも汗をかいているが、その服装は不思議と暑苦しくない。多くのパーティシーンがあり、さまざまなサマーフォーマルが登場する。ラルフ・ローレンは薄いピンク、ホワイトのカラー、リネン素材などを使って爽やかさを演出し、大成功を収めている。この映画はブランドが有名になるきっかけを作ったと言われている。

 

『華麗なるギャツビー』は、当時の気分とスタイルを定義したため、歴史的にも重要な作品となった。今日でも多くのデザイナーやクラシック・スタイルの愛好者に影響を与え続けているのだ。