The Cravat: A Timeless Classic

クラバット:タイムレスなクラシック

February 2023

text andi brooks

 

 

 

シックなペイズリー柄のクラバットを着用した俳優マイケル・ケイン(1971年)。

 

 

 

「ジョークがわかっていないと言ってくれ。しかし、私のクラバットの選択が間違っているとは言わないでくれ」

―デビッド・ニーヴン(俳優)

 

 

 

 戦場で生まれたクラバットは、17世紀にはファッションの必需品となった。その後、スタイルや好みの変化に対応しながら、250年にわたり、男性の首回りの服装として君臨した。しかし、1924年にニューヨークのテーラー、ジェシー・ラングスドルフがラングフォードネクタイというモダンな構造のネクタイを開発してから、クラバットはその座を追われることになったのである。

 

 とはいえ、一夜にして姿を消したわけではない。映画スターやスタイリッシュでハイテイストな男たちの首元を優雅に飾っていたが、1970年代あたりになると、一時、完全にワードローブの脇役へと押しやられ、昔風のアイテムとなってしまった。

 

 もちろん、レイキッシュな紳士は、時代の流れに振り回されたりしない。時代を超えたスタイルとエレガンスを体現している。粋な紳士は、美しいクラバットのセレクションをワードローブに備えているはずだ。

 

 

ダークカラーのクラバットを身につける俳優ジェームズ・ステュアート(1938年)。

 

 

 

「クラバットは、洗練された男性と普通の男性とを区別する」

―サー・パーシー・ブレイクニー(小説『紅はこべ』より)

 

 

 

 多くの衣服がそうであるように、クラバットの起源は軍服であった。1618年から1648年にかけてヨーロッパ全土で勃発した三十年戦争で、フランスは傭兵としてクロアチア人軽騎兵を雇った。

 

 1630年、パリでクロアチア軍の一団が国王ルイ13世に参上すると、その結び目のあるスカーフが、ファッションに敏感な国王の目に留まった。ルイはすぐに「ア・ラ・クロアテ」(クロアチア風)のネックウェアを身につけるようになった。宮廷貴族や上流社会で採用された「クラバット」は、フランスのファッションの頂点となり、その後ヨーロッパ全土で大流行となった。

 

 クロアチア人自身は、ファッションとしてではなく、実用的な理由で結び目のあるスカーフを巻いていたと言われている。一説によると、クロアチア兵の妻や恋人は、戦場の丘から戦況を見守る際、愛する人を識別できるよう、独特の色のスカーフを作ったという。

 

 また、医療用具として必要不可欠な首飾りであったという説もある。絹は出血を抑えるために傷口を縛るのに理想的な素材と考えられていた。絹を首に巻くことで、必要なときにすぐ手にすることができたのだ。しかし、絹を身に着けていたのは将校だけで、一般の兵士はもっと粗い布を身に着けていたと言われている。

 

 クロアチア・スカーフの本来の用途はともかく、毎年10月18日の世界クラバット・デーには、クロアチアの首都ザグレブで伝統的な軍服を着たクロアチア兵がパレードを行い、国の誇りとして祝われている。

 

 

クラバットを大胆に着こなす俳優クラーク・ゲーブル(1953年)。

 

 

 

 レイキッシュな紳士がクラバットを身につけるのに、そんな口実は必要ない。クラバットは一見シンプルだが、どんな服装にもアクセントを与え、人目を引くことができる。もし、あなたがクラバットを着用したことがないなら、今こそワードローブのレパートリーを増やすチャンスだ。すべてのネックウェアの頂点ともいえるアイテムを使うことによって。