THE CAT’S MEOW

ザ・キャッツミャオ東京:ヴィンテージの装いは、東京にあり

January 2023

東京では、ヴィンテージスタイルを愛する一団が、戦前のファッションのスタンダードを守っている。その名は「THE CAT’S MEOW TOKYO」。日本人の血を引く彼らは、着物やニッカボッカを身につけ、さまざまな社交の場に集まるのだ。
photography yoshio suyama

 THE RAKE 本国版のファッションページに華々しく登場したTHE CAT’S MEOW TOKYO(ザ・キャッツミャオ東京)のメンバーたち。彼らはいかなるバックグラウンドを持った人々なのか。その中心人物であるBARBAR SHOP YSのオーナー、須山誉志雄氏に伺ってみた。

―THE CAT’S MEOW TOKYOとは、どんな活動なのですか?
「THE C AT’S M EOW T OKYO(ザ・キャッツミャオ東京)は1920年代~1950年代前半のファッション、音楽、映画、生活様式などを愛し、体現する者が集まった、東京を拠点とするコミュニティです。英国、米国、日本などのヴィンテージスタイルを各々が解釈しオリジナリティを持って体現しています。ちなみにキャッツミャオの由来は1920年代アメリカのスラング“cat’s meow”からきており、今で言う“超イケてる”的な意味です。2020年代に入り、1920年代から100年経った今、新たな20’sということで当時のスタイルに敬意を払い、現代を楽しもうという意味が込められています」

―どうやって始まったのですか?
「代官山にストリームラインというヴィンテージ好きのオーナーが営むバーがあります。そこで話していたら、スーツを着ても行くところがないと皆言っていて……ならば、自分たちでつくってしまおうとイベントを始めたのが集まるようになったきっかけです。最初は文京区の鳳鳴館という老舗旅館で開いた忘年会でした。我々にとっては「和」の要素も大切なのです。現在は渋谷のベルウッドというバーで“ハイカラソサエティー”というイベントを開いています。THE CAT’S MEOW TOKYOの中心メンバーはSNSで繋がっていますが、それ以外の方々とも交流があります」

右:BARBAR SHOP YSのオーナー、須山誉志雄氏。

―メンバーには、どんな人がいるのですか?
「職業はさまざまです。百貨店勤務、IT関係、美大生、塾の先生など……。若手の中には、あまり服飾関係の人はいないですね。基本的には私と同世代ですが、中には50歳オーバーの方もいらっしゃいます。先輩方の中には装いを極められた方もいて、そういった方々から学ぶ場でもあります」

―須山さんは海外が長かったのですね?
「私は20歳で英国に渡り、ロンドンに3年、その後カナダのトロントに2年間滞在しました。ニューヨークで行われたジャズ・エイジ・ローン・パーティなどでヴィンテージ・ファッションのコミュニティに参加し、『We Are Dandy』という本に掲載されたりして、愛好家との繋がりを深めてきました。25歳で帰国し、NY発のフリーマンズスポーティングクラブに勤めた後、2020年、30歳のときに独立し、元浅草にBARBAR SHOP YS を開きました」

―洋服はどこで購入しているのですか?
「かつては海外で手に入れたヴィンテージ物が圧倒的に多かったです。東京だと渋谷のデイヴィッズ クロージングとか。しかしヴィンテージだと必ずお直しをしなくてはならず、せっかくヴィンテージとしてあるものを、直して着るのは違うと思うようになって……。今は、スーツはオーダー物を着ています。吉祥寺のフォーボタンズというテーラーで作ることが多いですね。デタッチャブル・カラーのシャツやシューズも、フォーボタンで誂えます。タイや小物はアジャスタブルコスチュームも着用しますが、スタイリングに当時のリアリティを加えるために、アクセサリー類はヴィンデージやアンティークのものを使うことも多いです。ヴィンデージが好きなのです。私が理想とする当時の人々の様に洋服を楽しみたいと思っています」

―撮影場所はどこですか?
「上野公園や渋谷にあるバーのベルウッド、私の店などですね。こういう活動をしていると、写真に強い人々が、自然と集まってくるのです。これらの写真はふたりのカメラマンが撮影したものです」

―THE CAT’S MEOW TOKYOのこれからの活動は?
「海外だとヴィンテージ好きの集まる場所があるのに、日本だとなかなかないので、そういった場所をつくりたかったのです。お洒落をしてカッコいいところへ行くということ自体が大切だと思っています。近々のイベントはハイカラソサエティーがメインになりますが、今後もドレスアップをして楽しめる場を提供できればと思っています。フォーマルウェアや和装だったり、テーマやドレスコードを設けたイベントなどを開催していく予定です。カジュアル化が進んでいる現代ではありますが、ドレスアップして、空間やお酒、出逢いや会話を楽しみながら新たなインスピレーションを得ていただけたらと思います(かつてパリにあったサロン、社交の場のような……)。基本的にはどなたでもウェルカムですので、ご興味あればぜひご参加ください!」