THE ALL-NEW ELECTRIC G-CLASS

【Gクラス】電動四駆で未来を走破する

April 2025

デザインアイコンとして、世界中のファンを虜にするGクラス。この人気車種に、バッテリーだけで走るBEVが登場した。自動車評論家・九島辰也を唸らせた驚異の性能とは?

 

 

text tatsuya kushima

 

 

Mercedes-Benz G 580 with EQ Technology Edition 1

G 580 with EQテクノロジー エディション1(ワン)は、発売を記念し装備を充実させた記念モデル。なのでプライスはそれなりだが、それに見合った豪華仕様になっている。ワイルドで高級感も持ち合わせる。全長×全幅×全高:4,730×1,985×1,990mm システムトータル出力:587ps/1,164N・m ¥26,350,000 Mercedes-Benz

 

 

 

 メルセデス・ベンツGクラス、通称“ゲレンデヴァーゲン”が人気なのは皆さんもご存じの通り。諸兄の中にも所有されている方はいらっしゃるかと。もちろん、これは世界的なブームで、イタリアではファッション関係のユーザーが多いと聞く。きっとGクラスをデザインコンシャスなアイコンとして所有しているのだろう。数で言えば日本も負けていない。東京・港区の所有率は特に高そうだ。

 

 そんなGクラスに「えっ!」と二度見してしまうようなモデルが登場した。バッテリーだけで走らせるBEVだ。大排気量のガソリンエンジンもクリーンなディーゼルエンジンも積まない電気自動車である。

 

 写真のモデルがそれで、見た目は内燃機関搭載車とほとんど変わらない。背面タイヤボックスが充電ケーブルを収納するスペースになっているくらいで、あとはバッジを見ないとわからない。もちろんカタチが変わっては元も子もない。多くの人はこのデザインが気に入って憧れ、所有している。

 

 それができたのは開発陣の技術力の高さ故と言っていいだろう。彼らはバッテリー搭載に不都合なラダーフレームをそのまま採用し、このクルマを造り上げた。バッテリーセルの形状から見直すことで、専用パックを開発したのだ。

 

 その恩恵はスタイリングはもちろんオフロード性能を維持、もしくは向上することに成功した。そう、このクルマの特徴はNATO軍も認めたオフロード走行性能。それが低下しては、たとえ環境に優しいパワーソースを積んでも新しいGクラスを世に送り出す意味は薄まってしまう。

 

 よって高い性能を手に入れたのだが、その中のスペシャル装備をひとつ紹介したいと思う。それが“Gターン”。なんとこのクルマは不整地においてその場ターンができるのだ。きっと道幅の狭い場所での行き止まりで多大な効果を発揮するであろう。

 

 この技術は車輪ひとつずつを動かす4つのモーターが活躍する。左右のタイヤを逆回転させることでその場でのターンを可能にした。そう、このクルマはモーターを4つも搭載している。なんと贅沢な! スーパーカーでも多くて3つが現状だ。

 

 名前はG 580 with EQテクノロジーという。EQはメルセデスのBEVシリーズのこと。そこで培ってきた経験と技術が、このクルマの礎となっているのは間違いない。

 

 

オールドスクールなエクステリアとは真逆でインテリア、特にダッシュボードは最新のインターフェイスが装備される。デジタル化されたメータークラスター一体型モニターがそうで、さまざまな情報をここで収集することができる。オフロード専用技術の視認化もそう。傾斜などを見るオフロードコックピット、ボンネットの下を仮想的に映し出すトランスペアレントボンネットなど装備は充実する。