Steak House Oriental, Kobe Meriken Park Oriental Hotel

神戸を代表する美食のエンターテインメント「ステーキハウス オリエンタル」

December 2023

text kentaro matsuo

 

 

 

 

 瀬戸内海の魚介に神戸ビーフ……。海と山に挟まれた港町・神戸は、素材に恵まれた美食の街として知られている。関西の富裕層が好んで住む土地柄ゆえ、舌の肥えた食通も多い。

 

 そんな彼らを唸らせているレストランがある。神戸港・中突堤に位置する波をかたどった美しいホテル「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」内、「ステーキハウス オリエンタル」である。ホテルの最上階(14階)にあり、どの窓からも港を一望できる。素晴らしいロケーションだ。窓を背に料理人が立ち、鉄板を挟んだカウンターに座る客の前で腕を振るう。

 

 

 

 

 ステーキハウスと名乗ってはいるが、いわゆる鉄板焼きとはひと味もふた味も違う。星付きレストラン顔負けの、こだわり抜いた料理を出す。1982年生まれのシェフ、鍬先章太氏は天才肌の料理人だ。2013年、弱冠30歳にして料理長に抜擢された。

 

 彼の食材にかける情熱が、人並み外れている。自らの足で農家や漁協をまわり、生産者のもとに足繁く通う。ベストな素材を探し出すための労苦を惜しまない。燻製に使う葉を農家とともに選定し仕入れることまでする。

 

「今朝、採れたての枯れ葉です(笑)」

 

 それらのエピソードを面白おかしく伝えるトークも冴えている。

 

 

 

 

 鉄板をひとつの調理器具とみなし、それを駆使してバリエーション豊かな料理を提供する。焼く、蒸す、炙る……、鉄板ではいろいろなことができるのだとわかる。目にも止まらぬコテさばきは、まるでマジックを見ているようで、時の経つのも忘れてしまう。

 

 クライマックスは、フランベのパフォーマンスだ。

 

「さぁ、行きますよ! カメラのご準備は宜しいですか?」

 

 ブランデーを操ると、シェフの頭上を超える巨大な炎があがる。客席から歓声が沸き起こる。舌のみならず、目も耳も楽しませる。そんなオリエンタルの皿の数々を見ていこう。

 

 

 

 

 アミューズは、サワラのラディッシュ添え。フランスとイタリアの2種類のキャビアを載せて。右のピンク色の果実はメキシコ産のフィンガーライム。指で絞って料理にかける。散らされた花びらが美しい。饗宴への期待が、いやが上にも高まる。

 

 

 

 

「神戸ビーフシチューのクレープ包み」。鍬先シェフ渾身の一品。肩ロースをとろとろになるまでデミグラスソースで炊き上げたシチューを、薄く焼いたクレープ生地でふわりと包んである。この逸品を自宅でも楽しめるようにと、「神戸ビーフシチューの缶詰(1個¥3,400)」も商品開発したそうだ。

 

 

 

 

「フォアグラとウナギのソテー」。洋の東西を結びつけた意外な組み合わせだが、濃厚な素材同士、これが非常にマッチするのだ。自家製のウナギのタレと山椒の粉を振りかけて。上にはベビーパクチーが載せてあり、味のアクセントになっている。

 

 

 

「淡路島産・伊勢海老のソテー」。淡路島産の伊勢海老は獰猛で生命力に溢れ、水槽に他の産地の海老を入れておくと、食い尽くしてしまうとか。身の締りと味噌のコクが違うという。オリエンタルの料理に共通して使われる自慢のだし汁をかけ回し、さらにスライスしたアルバ産の白トリュフをてんこ盛りに載せてある。

 

 

 

 

 メイン料理はもちろん「神戸ビーフのヒレステーキ」。兵庫県加古川市志方町産の最高級但馬牛である(神戸ビーフは但馬牛より特に厳選されたもの)。部位はヒレ肉の中でもさらに希少なトゥルヌドが選ばれている。

 

 但馬牛は一頭一頭に名前がつけられており、今回頂戴仕った肉牛の名は「御照」。血統書によってその血筋は4代先まで遡ることができる。母方の父は有名牛「丸宮土井」、父方の曽祖父は伝説の種牛「照長土井」。血統書には牛の鼻紋が押されている。

 

 左は淡路島産の玉ネギのソテー。使われているのは、火入れ専用品種「甘一番」。文字通りとろけるように甘い。右には2種類の塩が添えられている。右は石川県産「珠洲の塩」、左は淡路産「藻塩プレミアム」。

 

 

 

 

 付け合せの野菜は、自然豊かな丹波篠山の環境を活かし、化学肥料を使用せずに栽培している「のりたま農園」の有機野菜などである。

 

 

 

 

 自慢のガーリックライスには、せんべい状に焼いたライスが載っている。パリパリとした触感が楽しく、香ばしい。魚料理として出された伊勢海老の殻と味噌で出汁をとった味噌汁は、海老の旨味が凝縮されている。

 

 

 

 

 締めくくりとなるデザートはピスタチオのアイスクリーム・バター・ペーストと、チョコレートのテリーヌ。雪の結晶をかたどった粉砂糖が美しい。レモンバームの新芽を添えて、爽やかな後口に仕上げている。

 

 ステーキハウス オリエンタルは、神戸メリケンパークオリエンタルホテルを代表するレストランであり、神戸随一の美食エンターテインメント・スポットだといえる。眼下に広がる港の夜景、食材と調理にこだわった料理、華麗なるパフォーマンス……。どれをとっても超一流だ。

 

 意中の人を連れてくれば、必ずや良い結果につながるだろう。もちろん、おひとりさまでも老夫婦でも、とびきりのひとときを過ごせること請け合いなのである。

 

 

神戸メリケンパークオリエンタルホテル

「ステーキハウス オリエンタル」

ランチ ¥4,500〜¥15,000(11:30〜15:00 ラストオーダー14:30)

ディナー ¥13,900〜¥47,000(平日 17:30-21:30 土日祝&特別期 17:00〜21:30 ラストオーダー20:30)

※料金・内容は、期ごとに変動するので要確認

TEL.078-325-8110(10:00〜17:00)

www.kobe-orientalhotel.co.jp/restaurant/

<本連載の過去記事は以下より>

ホテル連載第28回:ホテルのこだわりパン《第一回 赤坂・虎ノ門エリア》

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