THE ROLEX SAILGP CHAMPIONSHIP

ロレックスが見つめる、海上の卓越性

October 2026

時速100kmを超えて疾走する最先端のヨット。世界最高峰のセーラーたちが一瞬の判断を競うロレックス SailGP チャンピオンシップには、セーリングの未来が映し出されている。その挑戦を支えるのは、1950年代後半から、ヨットレースと歩んできたロレックスだ。

 
 

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フォイルによって船体を水面から浮かせ、疾走するフランスチームのF50。背景を横切る艇の流れが、レースのスピードを際立たせる。© Rolex/Jason Ludlow for SailGP

 

 ヨットレースと聞いて、優雅に海を渡る帆船を想像するなら、その先入観は鮮やかに裏切られるだろう。水面から船体を浮かせ、風の力だけで猛烈なスピードに達する。世界各国のチームが競う「ロレックス SailGP チャンピオンシップ」は、セーリングという競技を、かつてないほど刺激的なスポーツへと進化させている。

 主役は、同一仕様のF50フォイリングカタマラン。ふたつの船体を備える双胴艇で、水中の翼「フォイル」が揚力を生み出すと、船体が水面から浮き上がり、抵抗を抑えて加速する。2026年8月、ドイツ・ザスニッツ大会ではフランスチームが時速107.63kmを記録した。風を動力とする艇が、高速道路を走る自動車にも匹敵する速度で海上を駆けるのである。

 レースは短時間で決着する。狭いコースに世界屈指のセーラーたちが集い、スタートの位置取り、風向きの変化、相手艇との距離を瞬時に読み取る。しかも各チームの艇は基本的に同じ仕様だ。機材の差ではなく、操船技術と判断力、そしてクルーの連携が勝敗を左右する。観戦する側にも、その緊迫感は直感的に伝わってくる。

 その精密さを物語るのが、オーストラリアチームを率いるロレックス テスティモニー、トム・スリングスビーの言葉だ。「スタートラインを0.1秒でも早く通過すれば、最後尾に回され不利なスタートとなります」。さらに彼によれば、ひとつのマニューバーには41もの動作工程があり、それらが完璧に同期していなければならないという。誰かひとりでもわずかにタイミングを外せば、その後のすべてに影響する。時計製造とヨットレースを結びつける「精密性」という言葉が、ここでは生々しい実感を伴って響く。

 
 

オーストラリアチームのF50。船体にはロレックス テスティモニーで、ドライバーのトム・スリングスビーの名が記されている。© Rolex/Jonathan Nackstrand for SailGP

 

 ロレックスとヨットレースの関係は、こうした最先端の競技が誕生するはるか以前に始まっている。1958年、名門ニューヨーク・ヨットクラブとのパートナーシップを締結。以来、ロレックス・シドニー・ホバート・ヨットレースやロレックス・ファストネット・レースをはじめ、世界各地の名高い大会とヨットクラブを支えてきた。外洋の荒波に挑む忍耐力も、長い航海を成し遂げる不屈の精神も、ロレックスが敬意を寄せてきた人間の卓越性の表れなのだ。

 
 

ニューヨーク・ヨットクラブのハーバー・コート。手前にはロレックスのクロックが立つ。両者のパートナーシップは1958年に始まった。© Rolex/Stefano Gattini

 

 その歩みの延長線上に、2019年に創設されたSailGPがある。ロレックスは創設当初からパートナーおよびオフィシャルタイムピースを務め、2025年シーズンからはタイトルパートナーに就任した。伝統的な外洋レースと、最先端のテクノロジーを駆使する短距離レース。姿は異なっても、自然を読み、限界に挑み続けるという本質は変わらない。

 
 

2026年9月、スイス・ジュネーブのレマン湖に集うF50。街の象徴であるジェッドー(大噴水)を背景に、各国の艇が並ぶ。© Rolex/Ricardo Pinto for SailGP

 

 競技の進化は、スピードだけにとどまらない。2021年には各チームに女性選手の起用が義務づけられ、同年、環境や社会への取り組みを評価する「インパクト・リーグ」も始まった。ロレックス テスティモニーのハナ・ミルズは、英国チームのストラテジストとして戦略を担い、2025年シーズンの総合優勝に貢献した。ドライバーだけが主役ではない。水上で交わされる情報と判断の積み重ねが、チームの強さをつくっている。

 
 

ロレックス テスティモニーであり、エミレーツ・グレートブリテン SailGPチームのストラテジストを務めるハナ・ミルズ。レースコースを見極め、戦略を練る。© Rolex/Jason Ludlow for SailGP

 

 さらにブラジルチームのマルティネ・グラエルは、リーグ初の女性ドライバーとして新たな道を切り拓いた。彼女が重視するのは、艇の進化に対応するためのクルー同士の明確なコミュニケーションだという。勝利を目指すと同時に、次の世代に可能性を示す。SailGPが描く未来には、競技の裾野を広げようとする意志も込められている。

 
 

ロレックス テスティモニーであり、ムバダラ・ブラジル SailGPチームのドライバーを務めるマルティネ・グラエル。© Rolex/Felix Diemer for SailGP

 

 2026年シーズンには過去最多となる13チームが参戦し、世界各地の水域を舞台に戦いを繰り広げている。なかでも9月のジュネーブ大会は、ロレックスとこの競技の結びつきを印象づける舞台となった。時計づくりの伝統が息づく街で、最先端の艇が風を読み、瞬時の判断を競う。長い歴史をもつブランドが、セーリングの新しい時代を支えていることを実感させる光景だった。

 ロレックスがニューヨーク・ヨットクラブと歩み始めた1958年、今日のSailGPの姿を想像した人はいなかっただろう。それでも、自然の力と向き合い、技術と判断を磨き、仲間とともに限界に挑むというセーリングの本質は変わらない。外洋を渡る艇から、水面を飛ぶF50へ。競技が姿を変えても、挑戦する人々を支え続ける。その一貫した姿勢にこそ、ロレックスとセーリングの長い絆が表れている。

ロレックスとヨットレースについては、こちらから。

 
 

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