LUXURY CRUISE SHIP JOURNEY with Regatta
【前編】クルーズ旅も多様化の時代
小型船「レガッタ」で優雅な冒険旅へ
June 2024
クルーズ旅と聞いて、欧米のリタイアした老夫婦が長い時間かけて世界を回っている姿を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。そんなイメージはもう古い。実は今、クルーズ船にも様々なタイプが登場し、ドレスコードなどもなく、時間もお金も有効に使える旅ができると若い世代にも注目されている。今回は、アッパープレミアム小型船の「レガッタ」に2週間乗って、その魅力を堪能してきた。なぜ、今クルーズに注目したいのか。その理由を前編と後編に分けてご紹介する。
text misa yamaji
photography oceania cruises, misa yamaji
みなさんは、バケーションで海外に行くときに、どんなふうに計画を立てるだろうか?
行く国を決めたら、自分でホテルやレストランまですべて予約し、自由気ままに計画する人は多いだろう。
けれど、短い時間で、海外の風光明媚な地方都市や秘境を多く回りたい、と思ったときに、自身でレンタカーや、エクスカーションの予約、地方のホテルなどのすべてを予約するのはハードルがぐっと高くなる。
そんなときに選択肢として考えてほしいのが、クルーズ旅。そう聞いて意外に思う人もいるかもしれない。しかし、クルーズ船での旅なら、コスト的にも時間的にも効率よく、かつ優雅な雰囲気でローカルな文化に触れる旅ができるのだ。
出航ターミナルに横付けされた「レガッタ」。
まず、クルーズの魅力は一度乗って荷解きをしたら、旅の最後までパッキングしなくて良いこと。この“荷造り”にかかる時間は意外にあなどれない。また、クルーズなら“ホテルの部屋が移動“する感覚で、寝ている間に目的地へ行くことができる。これは時間を効率的に使う究極の方法とも言えるだろう。もちろん、そういった物理的な”パフォーマンスの良さ“だけでなく、船旅でしか味わえない景色や情調を味わうことができるのは大きな魅力だ。
さらに、クルーズ旅は、乗っているだけで行きたい場所へ連れて行ってくれる利便性がありながらも、旅行会社のパックツアーのような窮屈さや、団体行動を強いられる煩わしさがないのもいい。
日光浴をしたり、泳いだりできるデッキ。小型船なのでプールは小さめ。
日本から海外発着のクルーズ船にのって旅をする「フライ&クルーズ」は、出航地での宿泊を含め短いものであれば5泊6日程度あれば楽しむこともできる。
リモートワークなどで働き方が自由になった今ならば、現役引退を待たずとも2週間程度のクルーズにでかけるのも夢ではない。船内ではWifiが使えるのでズームミーティングや資料の作成、メールのやりとりなども比較的スムーズだ。
とはいえ、初めてクルーズをするとなると、まずどんなクルーズ船を選べば良いか迷う人も多いだろう。例えば、メガシップと言われる5000人近く収容できる大型客船は、ウォータースライダー付きのプールから大型シアターつきと船内のアクティビティの充実度は素晴らしいものがある。レストランの数も多く、賑やかだ。カジュアルなクルーズ船が多く、家族連れなどには楽しい。
一方、ラグジュアリーなクルーズ船は、6万トン以下の小型船が多い。人数も600人前後の収容で、人数が少ない分、非常にパーソナルなサービスが受けられる。インテリアもスペーシャスで落ち着いた雰囲気。また大型船が寄ることのできない小さな港などにも寄港することができるため、より秘境や知られざるローカルな町にアクセスすることができるという魅力もある。
ニュージーランドの北島にある小さな入江Bay of Islandは小型船だけが入船できる。
今回、ニュージーランド旅を楽しむために、私が乗船したのはオーシャニアクルーズの「レガッタ」というアッパープレミアムカテゴリーの小型船だ。一人旅には、落ち着いた小型船のほうが断然いい。
しかも、オーシャニアクルーズは、“洋上最高の料理と寄港地の魅力を追求する世界屈指のクルーズライン”と謳っているだけに、食事の内容や、寄稿地のバリエーションも魅力的。
今回の旅のプランは、シドニーを出たら2日間タスマン海をひたすら進み、ニュージーランドの南島のミルフォード・サウンドに立ち寄ってから、ダニーデン、クライストチャーチ、ウエリントンへ。その後、北島に渡り、ネーピア、ロトルア、オークランド、ファンガレイ、ベイ・オブ・アイランドと8箇所をホッピングする。そして帰りも2日間タスマン海を航海して、シドニーに戻るという内容だ。
さて、人生初クルーズに乗船し、シドニーを出航した直後に、いきなり小型船ならではのサプライズが到来した。
シドニー名所のオペラハウスを横目に、ハーバーブリッジの下をくぐりぬけ、シドニーを後にしたのだ。こうしたことができるのも、高さが低い小型船ならの楽しみだといえよう。
写真上/眼前に迫るハーバーブリッジをくぐって出発。オペラハウスも混雑知らずにいいショットを撮影することができた。
甲板から陸地が遠くなっていったら、しばらくは洋上をただひた走る日が続く。
こうした航海のみの日は、船上のアクティビティを思い切り楽しむのがいい。カジノでのレッスンなどもあれば、シアターではマジックショーなども行われる。弦楽四重奏の生演奏が入るアフタヌーンティでお茶を楽しむもよし、甲板のプールサイドで日光浴もよし。船のへ先にあるスパのジャクジーでリラックスすることもできる。
私はスパでマッサージの施術をお願いしたのだが、セラピストの方が上手くて思わず滞在中に3回受ければ割引になるというパッケージを購入してしまったほど。世界からの富裕層が集まるクルーズのサービスは、一つ一つが上質なのだ。
コンパクトながら、居心地のよい部屋。予約するならバルコニーつきが断然おすすめ。
バルコニーつきの部屋も、コンパクトながら非常に居心地がよい。ベッドは Prestige Tranquility mattress (快眠ベット)を使用しており、五つ星ホテルさながらの寝心地。デスクもあるので仕事もしっかりできる(船酔いしてしまう人にはおすすめしないが)。部屋のバルコニーでシャンパンを飲みながら、どこまでも続く水平線を眺めるという時間も船旅ならではだ。
洋上をひたすら航海中に見た荘厳な夕日。
ちなみに、部屋はいつも決まったハウスキーパーの方が整えてくれるのだが、サービスが丁寧できめ細やか。朝ごはんの後にはベッドメイクと掃除がきちんとされていて、ランドリー(20点が入る袋・3袋まで無料)、アイロン(3着まで無料)は、お願いすれば2日後には仕上げてくれる。長旅でも洗濯を気にすることなくプロにお願いできるのは実に快適だ。
バトラーサービス付きの部屋であれば、電話をすれば紅茶やコーヒーのサービス、切符の手配からルームサービスなども全部おまかせできる。朝食を自室のバルコニーで輝く海を眺めながら食べたい、と思ったら電話でバトラーに頼めばすぐに希望のままにセッティングしてくれるだろう。チップもすべて料金に含まれているので、気兼ねなくいろいろと相談できる。
ちなみに、「レガッタ」ではバトラーのチップ以外に、館内のシアターでの観劇、レストランでのフード、ソフトドリンク、一部のアルコール、基本のWifiは料金に含まれている。スパの施術、寄稿地ツアーは別途料金が必要だが、部屋のカードキーですべて使った料金が管理され、ゲストは旅の最後に精算するというのもシンプルだ。
すべてはこのカードキーで管理される。
小型船は、船内の施設やレストランの数が少ない分、各所に簡単にアクセスできるのも魅力。乗客も少ないので、上質ながらもリラックス感のある施設は、混雑知らずで静かだ。イメージ的には、まさに“スモール・ラグジュアリー・ホテル”が船になったといえばわかりやすいだろうか。サービスも同様に、よりきめ細やかなパーソナライズされている。旅慣れた人なら、大型客船よりも小型客船の方が楽しめるだろう。
さて、クルーズ旅で重要になってくるのが食事と寄稿地ツアーの内容だ。これについては、後半で紹介するとしよう。
問い合わせ先
オーシャニアクルーズ
https://jp.oceaniacruises.com/