NEW ON OUR RADAR: GAIOLA

エッジィな感性とナポリ・テーラーリングの融合“ガイオラ”

September 2020

アレッサンドロ・アガッツィと、ファブリツィオ&クリスティアーノ・デ・ペトリロの3人から生まれた“ガイオラ”は、ナポリ・テーラーリングの新しい視点を提案している。

 

 

by ryan thompson 

photography  giulia pizzati and daniele orabona 

 

 

 

 

 ナポリを訪れなくても、いまナポリ式のテーラーリングが、とても人気があるということは知っているだろう。南イタリアのソフト・テーラーリングは、世界中の男性が、より軽量で着やすいジャケットを求めていることから、信じられないほどの人気を博している。

 

 イギリスのテーラーリングの伝統が死んだと言っているのではないが、イタリアン・スタイルの方が、より快適なのは事実だ。われわれは、ルビナッチ、デ・ペトリロ、オラツィオ・ルチアーノ、サルトリア・ダルクオーレ、イザイアなどのナポリの人気ブランドを熱烈に支持している。そのため、ナポリの巨匠たちのサルトリア的なノウハウを持ちながらも、まったく新鮮で現代的なメンズウェアブランドが登場したと聞いて、黙ってはいられなかった。

 

 それがガイオラだった。アレッサンドロ・アガッツィ、ファブリツィオとクリスティアーノ・デ・ペトリロの発案によるこのブランドは、伝統と専門知識を大切にしながらも、未来を見据えた実験的なコンセプトを持ち、何よりもリーズナブルな価格が魅力的なブランドだ。私たちは、アレッサンドロに、このエキサイティングなレーベルについて話を聞き、彼の頭の中を探ってみた。

 

 

 

 

―チャオ! ガイオラについて教えてください。

 

「ガイオラは、私がファブリツィオとクリスティアーノ・デ・ペトリロと共同で開発しているデイリー・メンズウェアブランドです。現在は、私が主にデザインをしています。それぞれのライフスタイルが全く異なることを念頭に置いて、より多くの人に着てもらえるようなコレクションを目指しています」

 

―デ・ペトリロとの関係は?

 

「ガイオラは、新しいパターンを開発する際に、親会社であるデ・ペトリロのノウハウを最大限に活用しています。また可能な限りの生地工場にアクセスすることもできます。ガイオラはリーズナブルな価格設定や、よりコンテンポラリーでエッジの効いたスタイルを求め、ガイオラにとってベストだと思われるものを追求しています」

 

 

―名前の由来は?

 

「ガイオラはナポリの小島のひとつで、ポジリポの住宅街からすぐのところにあり、現在は海洋保護区となっているカプリ島に面しています。ここは日光浴やダイビングを楽しむためにさまざまな人が集まる場所で、ポジリポの高級住宅地に住む洗練された富裕層や、ギターを背中に乗せてスクーターに乗って来る若者など、多くの人が訪れます。この場所が常にブランドのインスピレーションの源となっており、それがガイオラの誕生につながったのです」

 

―ガイオラの美学とは何ですか? どんな人に向けているのでしょう?

 

「人々のワードローブに、自然に溶け込むような、美しいアイテムを提供できるようにしたいと思っています。私は、同じ価格帯のイタリアの他ブランドにはあまり惹かれません。私たちは、もっとグローバルでコスモポリタンなルックを求めています。一括りにすることはできません」

 

―コレクションのインスピレーションの源は何ですか?

 

「初めてガイオラに行ったとき、島の岩に惹かれました。もちろん、海の深いブルーは期待していたのですが、グレイから鮮やかなイエローまで、さまざまな岩の色のニュアンスは、思いがけないものでした。私たちは、実用的な服を作りたいと思っています。島にインスパイアされているだけでなく、本当に島の上で着られるような服です」

 

 

 

 

―ガイオラは、どこで作られていますか?

 

「現在、すべての製品はナポリで製造されています。しかし、今後ラインナップが増えていく中で、各製品に最適な場所を見つけ、価格を手に取りやすいレベルに保つ必要があるとも思っています。ガイオラのビジョンは、完全に包括的なのです」

 

―ガイオラのリーズナブルな価格は、どのようにしてもたらされているのですか?

 

「これがプロジェクトの最も重要な点だと思います。モノを製造するにはコストがかかります。まず、それを認めなければなりません。使用する生地もそうです。コレクションをまとめる際には、いつもコストを考えるようにしています。常に自分自身に向かって“このオーバーシャツのために00ユーロを使うのか?”と自問します。答えがイエスであれば、最終的に製品が作られます」

 

 

―ご自身は、ガイオラを着ている人をどのように見ていますか?

 

「今の友達のほとんどは、いろいろなスタイルをミックスして着こなしています。リーボックやヴィンテージのクラークス、アワー レガシーのデニム、ホリデイ ボワロのTシャツなどに、ガイオラのアイテムを合わせている人がいたら嬉しいですね。フィレンツェのピッティでコレクションを発表した時、スウェーデンで大人気のブログを運営している友人が“ガイオラはピッティ・フェアで見た中で、最も興味深いブランドのひとつだった。現代的でエッジの効いたデザイナーと、ナポリのテーラーリングがミックスされていた” とリポートしてくれました。それを聞いて、私たち全員はとてもハッピーな気分になりました。なぜなら、私たちが目指しているのは、まさにそこだからです」