More Freedom to Enjoy Cigars by Mark Cho

マーク・チョーが語るもっと自由なシガーの楽しみ方

September 2024

究極の嗜好品とされるシガー。現代におけるクラシックスタイルの牽引者マーク・チョー氏は、毎日の服装のコーディネイトを考えるように、自由にシガーを愉しんでいる。彼流のシガーの楽しみ方を語ってもらった。

 

 

text yoshimi hasegawa

photography daisuke akita

 

 

Mark Cho/マーク・チョー

「男のための武器庫」を意味するメンズワードローブ、およびメンズスタイル関連製品を提供するアーモリーを香港とニューヨークに、英国のメンズウェアを代表するトータルブランドのドレイクスをロンドンに、ヴィンテージクローズを扱うDrop93を香港に経営する若き企業家。時計やカメラにも造詣が深く、時計のコレクターとしても有名。世界のメディアにその動向が常に注目されている。

 

 

 

 渋谷のジャズバー スウィングではマーク・チョー氏主催によるシガーナイトが開催されていた。敢えてシガーバーではなく、贔屓にしているジャズバーを選んだのは、音楽を楽しむように、身近にシガーに親しんでほしいという趣旨からだ。

 

 そもそもシガーに親しんだきっかけは?

 

「15年ほど前、友人とバーでウイスキーを飲んでいたら、シガーを試してみないかとすすめられました。実はそれまで吸ったことがなかったのですが、試しに吸ってみるとこれが愉しい。シガーの香りと味わい、なによりシガーを吸うという行為そのものが好きになりました」

 

 健康志向の今、時代に逆行するようにシガーをすすめる理由は? シガーのポジティブな効能とは?

 

「確かにシガーは健康によくないといった一面もあるので万人におすすめできるわけではありません。私の個人的な意見ですが、友人と会話しながら愉しむには最適な嗜好品だと思います。お酒やコーヒーと違い、酔ったり興奮し過ぎたりすることがありません。シガーを吸うと会話に集中でき、気持ちも上がります。逆に静かに仕事しようとするときも時々吸いますね。集中力を高めてくれるんです」

 

 いざシガーを吸おうと思っても、初心者は自分に合ったシガーを選ぶのが難しい。自分に合ったシガーを選ぶには?

 

「普通のシガースモーカーの多くは強くて風味豊かな葉巻を好みますが、私はマイルドなものが好みです。よく吸うのは友人のエリック・ピラスが手がけるコンフィデンシャル、ダビドフ、H.アップマン、モンテクリストなどです。自分の好みを見つけるために、できるだけ多く、異なるメーカーのシガーとサイズを試してみることをお勧めします。例えば、非常に大きなH.アップマンのダブルコロナサイズなら長時間の喫煙に最適です。一方、コンパクトなダビドフ・シグネチャー1000は短い休憩によい。もし慣れていないなら、最近のコイーバやパルタガスのような強過ぎるものから始めないほうがいい。機会があればヴィンテージ・シガーも試す価値があります」

 

 特に酒とセットでなくていい。自由に楽しむべきだが、注意することもある。

 

「私の悪い癖ですが、シガーを早く吸い過ぎないように。頻繁に吸い過ぎるとシガーが過熱し、風味に影響します。基本はゆっくりと、時間をかけて味わってください。また、最後まで吸わなければならないわけではありません。もし心地よくないと感じたり、楽しめなくなったら止めていい。そこで止めることはシガーを無駄にすることではありません。いかに楽しむかが最も重要なのです」

 

 この夜、集まった彼の友人たちはウィスキーのグラスを片手に、シガーとジャズの軽快な調べ、極上の会話を愉しんだ。ここにルールはない。既存の作法を忘れ、もっと自由に、シガーの奥深い魅力を発見してはいかがだろう?

 

 

購入したばかりのシガーは吸い口が閉じているのでシガーカッターでヘッド(シガーの頭)を切り落とす。

 

 

ゆっくりと回しながら、シガーライターで断面が平均的に赤く灯るまで炙る。火がついたら試しに軽く吸ってみる。

 

 

 

 THE RAKE JAPAN Edition Issue49