ASK THE RAKE: HOW DO YOU PLAY BACKGAMMON?

THE RAKEが伝授するバックギャモンの楽しみ方

May 2023

THE RAKEインターナショナル版の編集長トム・チェンバレンが、バックギャモンの上手な遊び方や、プレイの楽しみを教える。世界で最もポピュラーなゲームの魅力とは?

 

 

by tom chamberlin

 

 

バックギャモンに興じるケーリー・グラントとランドルフ・スコット(1935年)。

 

 

 

 バックギャモンは、一見複雑そうに見えるが実際はシンプルで、私のような計算の苦手な人間にとって、もってこいのゲームである。なぜなら、盤上に英数字がないからだ。セットは二色に塗り分けられたスパイクと、少しばかりのチェッカーで構成されている。そんな単純なものを、多くの人々が何時間も畏敬の念を持って眺めているのだ。少しプレイをすれば、何をどうすればいいかがなんとなくわかってくる。そして、プレイすればするほど、このゲームの奥深さに驚くだろう。

 

 テーラー通いやシガー、その他の悪い習慣と同様に、私をバックギャモンの世界に導いたのは、著述家のニック・フォルクスだった。彼はロンドンの有名ジェントルメンズ・クラブ「ホワイツ」での徹夜のトーナメントや、ダビドフ・オブ・ロンドンのエドワード・サハキアンとキューバでプレイした話などをしてくれた。バックギャモンは、葉巻の紫煙が似合う、おそらく世界で唯一の耐久スポーツである。

 

 バックギャモンは偶然が支配する要素が強い。他のプレーヤーを欺くこともなく、策略の要素もない。サイコロを振って、出た目によってできる仕事をしなければならない。もしかしたら、世界のあらゆる問題は、バックギャモンのゲームで解決できるかもしれない。

 

 ゲームの目的は、自分のチェッカーをすべてボードに配置し、相手より先にベア・オフする(上がる)ことだ。ふたつのサイコロを振ってふたつの目が与えられると、自分のチェッカーのひとつ、またはふたつに割り当てることができる(ただし、ゾロ目が出た場合は2倍になる)。

 

 

 

 

 重要なのはプライミングとバックだ。プライミングとは、各スパイクにチェッカーを2個以上配することでポジションを確保し、相手チームの前進を阻止すること。バックとは、相手プレーヤーが自分のホームゾーンに移動してきたときに、そのプレーヤーのチェッカーを相手のホームゾーンに送り返すことだ。これで大逆転があり得る。

 

 注意点は、長時間座っていることになるので、その場にふさわしいきちんとした服装で臨むことだ。ドレスコードのある場所にいるならば、なおさらだ。プールの中で遊ぶのでなければ、スイミングウエアから必ず着替えよう。テーラード・スタイルならば、裏地があり耐久性があるものを着用したい。

 

 バックギャモンのゲームは1時間半ほど続くので、吸うスピードにもよるが、コイーバ・ロブストス・スプレモスのようなものがいい。ラモン・アロネスのジガンテスや、パンチのダブルコロナもおすすめだ。くれぐれも嫌煙家のパーソナルスペースを侵害しないように注意したい。

 

 バックギャモンについて知っておくべき情報は膨大だ。だが、それらを得る最良の方法は、まずプレイすることである。私のバックギャモンの宿敵であるハリウッド映画監督のポール・フェイグが来訪したら、マークスクラブで勝負するかもしれない。もし見かけたら、ぜひ声をかけに来てほしい。