KEVIN SEAH “Block Print Shirt”
インドの伝統工芸、ブロックプリントシャツ
June 2020
photography yuko fujita
タガネで掘った木版に染料をつけて、広げた布に押していく。1色押すごとに乾かして洗って乾かして押すという気の遠くなるような作業を繰り返し、生地が生まれる。ところどころのカスレも、職人の手仕事が生むブロックプリンティングならではの味わいだ。各¥24,500 Kevin Seah/Afterhours
シンガポールのオートクチュールの世界で15年の経験を積んだ1975年生まれのケヴィン・シアー氏は、2009年に自身の名を冠したテーラー「ケヴィン・シアー ビスポーク」をオープン。数年前から盛り上がりを見せているシンガポールのクラシックシーンの礎を築いた、同地のカリスマ的存在の人物である。ヴィンテージのワインと葉巻をこよなく愛し、いつも陽気でとても人懐っこい性格をした彼のスタイルでぜひ参考にしたいのは、真夏を粋に装う南国特有のスタイルだ。
例えばこちらのオープンカラーシャツ。ジャイプールから仕入れたインド綿の生地は、同地の職人が手彫りした木版を手で丹念に布に押しつけて連続模様にした“ブロックプリンティング(木版捺染)”によるもの。非常に軽やかでサラッとしていて、風通しのよさが抜群ゆえ、日本の夏の気候にはぴったりの生地である。
「このブロックプリントシャツは、アジアの職人を集めたコレクションを作りたいという、私の夢の旅の始まりです。そして、以前からずっと愛する芸術的なハンドブロックプリンティングを紹介できる機会が訪れたことを、大変嬉しく思っています」とシアー氏。
1枚で着てもいいが、ジャケットの下に合わせてシャツの襟を出して着るのも、THE RAKE的にはオススメだ。
上:タガネで掘り起こした繊細な模様の木版に染料をつけ、それを生地に繰り返し押していくジャイプールの職人。下:ケヴィン・シアー氏。シンガポール人らしく、真夏のスタイルの提案に長けている。
本記事はISSUE34(2020年5月25日発売号)にて掲載されたものです。
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