JOHN SMEDLEY “ISIS”

90年の歴史、25色のカラバリ

June 2023

1930年代に登場以来、原型を変えずに現代まで受け継がれたニットポロ。ジョン スメドレーのアイコンアイテムである。30ゲージ、3つボタン、クラシックなカラーのシェイプ、イージーフィットを特徴とする。今シーズンは25色ものカラーバリエーションが展開されている。S、M、L、XL ¥34,100 John Smedley

 

 

 

 ジョン スメドレーは、1784年、英国リーミルズに設立された。この地が選ばれたのは、付近に小川が流れており、動力と水が手に入るからだった。19世紀後半、当時最先端だった編み機を導入しニットの製造に着手した。それは世界に並ぶものがない、きめ細かく美しいものだった。その伝統は今に至るまで受け継がれている。トム・クルーズやショーン・コネリー、ポール・ウェラーなど多くのセレブに愛され、ファクトリーとしてはポール・スミスやバーバリー、コム デ ギャルソンをはじめ、あまたのブランドの生産を引き受けている。

 

 ジョン スメドレーを代表する一着がポロシャツ「ISIS(アイシス)」である。素材は100%シーアイランド・コットンで、極細の糸が使われ30ゲージという細かさで編まれている。滑らかで仄かな光沢があり、極めて上質な肌触りである。シルエットはゆったりとしており、同社のモダンフィットの商品と比べると、身幅・着丈ともに3~4c mほど大きい。

 

 白眉は“ パーフェクト・カラー”と呼ばれる襟である。50年以上前の織機に、まるでオルゴールのような金属板から信号を送り、ゆっくりと織られている。ひとつ編むのに5分間ほどかかるという。しかし最新の編み機では、その深い味わいが出ないのだ。誕生したのは1930年代で、90年間以上も売られ続けているが、いまだにベストセラーである。

 

 そんなISISに、今シーズンは25色ものカラーバリエーションが登場した。アーモンド、デザートグリーン、ライトキャメルなどの中間色が新鮮だ。改めて、この“ 世紀の逸品”の魅力を再発見してみたい。

 

 

襟:90年間変わらない襟。実はデザインされたものではなく、この襟を編む機械のクセによってこの形になってしまったのだという。

袖:リブが使われた昔ながらの提灯袖。モダンフィットのモデルと比べると袖丈も長めとなっている。登場以来、英国リーミルズの同じ工場で作られ続けている。

裾:裾もリブ仕様。ゆったりとしたイージーフィットで身幅・着丈ともにモダンフィットより3~4cmほど大きくできている。トラウザーズにインする着こなしもおすすめだ。