ERIC APODE Interview
ライバルはエルメス? ルイ・ヴィトン?DSは、仏流ラグジュアリー・ブランド
May 2017
DS ブランド プロダクト マネージャー
エリック・アポド氏インタビュー
ERIC APODE エリック・アポド
1965年、フランス生まれ。85年名門パリ国立高等鉱業学校、技術科卒業。87年にプジョーヘ入社し、名作406クーペのプロジェクトディレクターなどを歴任。PSAグループの重役として、中国に長く滞在していたことも。現在は、DSブランドのプロダクトマネージャー、PSAグループ副社長。母国語である仏語の他、英語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、そして中国語など6カ国語を操る。
1965年、フランス生まれ。85年名門パリ国立高等鉱業学校、技術科卒業。87年にプジョーヘ入社し、名作406クーペのプロジェクトディレクターなどを歴任。PSAグループの重役として、中国に長く滞在していたことも。現在は、DSブランドのプロダクトマネージャー、PSAグループ副社長。母国語である仏語の他、英語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、そして中国語など6カ国語を操る。
クルマ好きなら、DSと聞いて思い浮かべるのは、1955年10月にパリ・モーターショーにて発表された、初代DS19だろう。「まるで宇宙船のような」と形容されたボディ・デザインは、見る人の度肝を抜いた。加えてハイドロニューマチック・サスペンションをはじめ、パワーステアリング、クラッチ、ブレーキなど、多くの機構が油圧によってコントロールされていことも斬新だった。その登場は大評判となり、フランス流のシックとアヴァンギャルドを体現する存在として、絶大な人気を獲得した。DSは20世紀を代表する名車として、語り継がれることになったのだ。
そんなDSは、2014年6月にシトロエンから独立し、ひとつのブランドとして生まれ変わった。なぜ、DSは復活、独立したのか? シトロエンとの違いは何なのだろうか? DSブランドのプロダクトマネージャー、エリック・アポド氏に伺ってみた。「シトロエンはワールドワイドで広範なマーケットに向けて作られています。しかしわれわれには、もっと特別なポジションを占めるクルマが必要でした。そこでハイテクノロジーとフランス流のラグジュアリーの2つを組み合わせて、DSというブランドを誕生させたのです。シトロエンと比べると、DSは、よりエクスクルーシブなカスタマーを志向しています」その象徴となるのは先日発表された、新しいフラッグシップDS7 クロスバックだろう。システム総合出力300psを誇るプラグイン・ハイブリッドをはじめ、路面の状況をカメラで読み込み、コンピュータで解析して、瞬時にサスペンションを制御する機構や、数々のドライブ・アシストなど、日本車顔負けのハイテクが装備されているという。
往年の名車DSと、現代のモデルには、何か共通点があるのだろうか?
「あらゆる点でインスピレーションを受けています。スマートなシルエットや、ロングドライブしても疲れない工夫など。しかし一番大切にしているのは、オリジナリティを大切にするという姿勢です。1955年にDSが登場したとき、それは既存のどのクルマにも似ていなかった。現在のDSブランドも、絶対にコピーはしない。ひと目でDSだとわかるデザインを心がけています」
現行車にも、驚くようなアイデアとデザインが散りばめられている。「例えば、この鎖が連なったような形状のシートは、高級時計のストラップにインスパイアされたものです。また運転席は飛行機のコックピットがモチーフとなっています。こんなデザイン見たことがないでしょう?
DSのライバルはメルセデスやBMWですが、ドイツ車と同じことをやっても仕方がありません。フランス流のオリジナリティを追求するDSは、フランスのラグジュアリー・ブランド、例えばエルメスやルイ・ヴィトンに近い存在かもしれませんね。われわれも彼らも、ユニシティ(唯一性)、クリエイティブ、ディテールに対するこだわり、クラフツマンシップなどを大切にしています」
DSのライバルはメルセデスやBMWですが、ドイツ車と同じことをやっても仕方がありません。フランス流のオリジナリティを追求するDSは、フランスのラグジュアリー・ブランド、例えばエルメスやルイ・ヴィトンに近い存在かもしれませんね。われわれも彼らも、ユニシティ(唯一性)、クリエイティブ、ディテールに対するこだわり、クラフツマンシップなどを大切にしています」
実際、DSはファッション界との関わりが深い。ジバンシィや仏時計ブランドBRMなど、25を超えるコラボレーション・モデルをリリースしてきた。「われわれはパーソナライゼーションということを重要視しています。高級車マーケットでは、違いを生み出すことが必要なのです」
その最新作が今回発表された。有名モデル、デザイナーのイネス・ド・ラ・フレサンジュとコラボしたモデルだ。イネスはかつてシャネルのアイコン的モデルとして活躍し、いまでは自らの名を冠したファッション・ブランドで知られている。最近ではユニクロとのダブルネーム・ラインを発表し、話題となった。
「実はイネスとは2年前にもコラボしたことがあるのですが、その時に気付いたのは、われわれと彼女が驚くほどたくさんの価値観を共有しているということです。そこで再度彼女と仕事をすることになりました。細部にわたって、彼女のテイストが取り入れられた、特別な一台となりました」
DSブランドは、これから日本市場において、大攻勢をかけるという。「日本のマーケットは、われわれにとって最も重要なもののひとつです。2016年はDS 3の大成功によって、日本での販売は30%も増えました。日本のお客様には、われわれのユニークネスを理解して頂けたと思っています。そこで最新のDS7を皮切りに、これから毎年新しいモデルを投入していく予定です。また2017年中に、現在2店舗であるDS専門ディーラー“DS STORE”を6店舗まで増やす予定です」
「それからまったく新しい顧客サービス“DS ONLY YOU”も近くスタートさせられるよう準備を進めています。これはまるでパーソナルなコンシェルジュのようなサービスで、専用のコールセンターを通じて、レストランの検索・手配や、バレット・パーキングの手配などをご提供するというものです。詳細はまだお話できませんが、ぜひ楽しみにしていて下さい。いずれにせよDSは、オーナーの方々に、『自分は特別な存在だ』と感じていただけるクルマなのです」世界一のクルマが何かは知らないが、「世界一お洒落なクルマ」は、どうやらDSということになりそうだ。
DSブランドサイト
www.dsautomobiles.jp/