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ジェレミーのアストンマーティン

September 2018

 

 ベースとなったのは、アストンマーティン ラピードだ。ラピードはエレガントなクルマである。矢のようなデザインのスポーツカーだ。そして一見ツードアに見えるにもかかわらず、実は巧妙にデザインされた4ドア・クーペなのだ。まさに本物の紳士のためのクルマである。

 

「アストンマーティンと仕事をできるなんて素晴らしいことです」と彼は言った。

 

「マレクに頼まれて、このプロジェクトとラピードというクルマについて考えてみました。最初に考えたのは、内装をチョーク・ストライプのフランネルにしたらどうかということでした。でも、それでは『ロンドンのシティにいる、お堅い銀行員みたいだな』と思いました。それから気付いたのは、アストンマーティンは、チャールズ皇太子=プリンス・オブ・ウェールズの御用達ブランドでもあるということでした。そこで、彼のトレードマークである、プリンス・オブ・ウェールズ・チェックをインテリアに使うことを思いついたのです」

 

 

 

 そして彼は、思いつくなかで最高のファブリック・メーカーへラピードを走らせた。フォックス ブラザーズである。

 

「私はフォックス ブラザーズが、かつて1950~60年代に、最高級クルマ・ブランドのために内装を手掛けていたことを知っていました。だから、使うならここの生地しかないと思いました。私自身、いつもフォックス ブラザーズの大ファンでもありました」

 

 かつて、25年ほど前に、ジェレミーと私はフォックス ブラザーズの工場へ出かけたことがあった。当時、窓には第二次大戦中に貼られたテープの跡がまだ残っていた。古い歴史を持つ工場なのだ。

 

「今回、彼らはこの古い生地を持ち出して来ました。そして私は『これだ、完璧だ!』と思いました。それは彼らのアーカイブの中にあった生地で、耐久性と耐火性があり、さまざまなテストをクリアしたものでした。色については、ひとひねりしてみました。ペールブルーのオーバープレイドを入れてみたのです。1950年代の、クラシックなスポーツカーを思わせるような色です」

 

 

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