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鴨志田流着こなし術 Vol.16:オーセンティックなスーツとその着こなし方

April 2023

スーツの多様な着こなしが提案されている昨今。だからこそ、オーセンティックなスーツ、ジャケットとその着こなしを再確認。

 

 

text yuko fujita

photography setsuo sugiyama

 

 

鴨志田康人/Yasuto Kamoshita

1957年生まれ。ビームスを経て1989年、ユナイテッドアローズの設立に参画。クリエイティブ ディレクターを経て2018年よりクリエイティブ アドバイザーに就任。2008年にスタートした自身のブランド「カモシタ」が世界で人気を集めているほか、2019 年からはポール・スチュアートの日本のディレクターも務めている。

 

それだけで洒落て見えるダブルブレステッド

ダブルブレステッドのネイビースーツはゼニアのヴィンテージフランネルで2015年に仕立てたリヴェラーノ&リヴェラーノ。それに、シャルベのストライプシャツ、フィニアス・コールのタイ、Peal&Co.のパンチドキャップトウという合わせ。「ネイビースーツはブルー系でまとめるのが、最もスマートかつエレガントで好きですね。他の色をもってくるよりもワントーンで合わせたほうがネイビーのよさが引き立つんです。オーセンティックな装いでも、ダブルというだけで何割か増しで洒落て見えますよ」。すべてproperty of Yasuto Kamoshita

 

 

 

 昨今、ビジネス以外のシーン、例えば週末やオフタイムにも、楽しんで着る趣味的なスーツが徐々に浸透してきているが、そんな今だからこそ、基本に立ち返ってスーツをオーセンティックに装うことの楽しさも再認識してもらいたい。そんな思いをもった鴨志田氏からの提案で、今回は氏が導き出した、ネイビー&グレイスーツの王道の装いをご披露いただいた。

 

「ベーシックなネイビーやグレイのスーツを正統に装うと、気分がとても引き締まりますよね。そういった着こなしは私自身も昔から大好きで、それぞれのシーンやその日の気分に合わせて自分なりのオーセンティックな装いを楽しんでいます。ビジネスシーンでの着用でしたらソリッドな生地感のスーツを着用される方が多いでしょうけれど、冬の装いにおいては個人的にはある程度起毛感があるもののほうが好みですので、今回は単純に自分の好きな5着を選びました。ベーシックなスーツの装いにおいてぜひオススメしたいのが、ダブルブレステッドです。ひねった合わせ方をしなくてもそれだけで見栄えがしてお洒落に映ると思うんですよね。スーツをオーセンティックに装うときの足元は、表革の紐靴にもこだわりたいです。これまた気分が引き締まります」

 

 

 

オーセンティックな装いにチーフは欠かせない存在

「シンメトリーを崩して全体を引き締め、清潔感を生んでくれるチーフは欠かせない存在」、と鴨志田氏。基本は白、ブルー、グレイ。無地ベースでちょっとした織りの入ったものが好みという。

 

 

フランネルと相性いいコットンリネンシャツ

チェーザレ アットリーニのフランネルスーツとコットンリネンシャツ、フラテッリ ルイージのタイ、シュナイダーブーツのヴィンテージシューズという合わせ。「1999年、アットリーニのカサルヌオーヴォ本社工場を訪ねた際に、過日お亡くなりになったチェーザレ・アットリーニさんに採寸してもらってオーダーした、思い出深い一着です。紡毛のフランネルにコットンリネンのシャツはともに風合いがあるどうしでとても相性がいいので、好んで合わせる組み合わせです」。すべて property of Yasuto Kamoshita

 

 

 

ネイビージャケットはスーツ同様にブルーグラデーション

1995年に仕立てたリヴェラーノ&リヴェラーノのヘリンボーンウールのスーツ、フライのシャツ、タイ ユア タイのタイ、スピーゴラのビスポークシューズ。「やはりネイビーのスーツにはブルーのシャツを合わせて、全体をブルー系でまとめるのが好きですね。シンプルですけど、それだけできれいなまとまりが生まれます。この場合のネクタイは何をもってきてもいいんですけど、スーツがテイストのある素材感ですので、ネクタイもそれに合わせて素材感のあるものを合わせました」。すべて property of Yasuto Kamoshita

 

 

 

ネイビースーツをブルー系でまとめる王道のエレガンス

キートンのカシミア100%のネイビージャケット、シャルベのシャツ&タイ、ロータのトラウザーズ、足元はジョンロブのアシュレイ。「カシミアジャケットの素材感が際立つよう、ロータの大定番である3プライのフレスコウールのトラウザーズを合わせ、素材感にコントラストをつけました。ジャケパンとはいえ、ビジネスの場合はスーツのスタイリング同様に、Vゾーンをブルーグラデーションでまとめるのが好きです。足元はスリッポンですが、決してカジュアルにならないモデルを合わせます」。すべて property of Yasuto Kamoshita

 

 

 

ダブルカフスのホワイトカラードシャツでドレスアップ

リヴェラーノ&リヴェラーノで2018年に仕立てたダブルブレステッドのグレイウーステッドフランネルスーツ、アンナ マトゥオッツォのクレリックシャツ、ラルフ ローレン パープルレーベルのタイ、Peal&Co.のシューズ。「ダブルカフスのホワイトカラードシャツを合わせました。ビジネスといえども控えめな装いに物足りなさを感じるときは、装飾性を高めたVゾーンで決めるのも気分としてアリなんじゃないかなと思います」。すべて property of Yasuto Kamoshita