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英国人の知らない英国遺産
“タスティング”

Friday, August 7th, 2020

日本ではよく知られているが、地元英国での知名度は低い……。

皮革製品会社タスティングに、ふさわしい評価が与えられる時が来た。

 

 

text ryan thompson

 

 

バッグの製造を始めたのは1980年代後半になってから。独自のレザーを使い、軽くて丈夫、長いエイジングを楽しめる製品は、チャールズ皇太子にも愛用されているという。

 

 

 

 ノーサンプトンシャーとベッドフォードシャーの境界近く、典型的な英国のカントリーサイド、バッキンガムシャーのラベンドンの村は、絵はがきになりそうな美しさだ。革製品メーカーの“タスティング”はここにある。

 

 1875年、この美しい村の一角に、革なめし工場を最初に開いた家族経営の会社、タスティングについては(英国人であるあなたは)聞いたことがないかもしれない。しかしあなたは、タスティングの作品をすでに所有している可能性がある。長い間、同社はシューメイキングやファッションの分野で、最も有名なブランドのいくつかに皮革と革製品をOEM供給しており、そのような専門技術は5世代にわたって受け継がれているのだ。

 

 

初代タスティング家(1908年頃の撮影)。タスティングは今どき珍しい5代にわたる家族経営のブランドだ。ファミリーは皮革業界でも有名な名門一族である。

 

 

 あなたは高い確率で、タスティング製の革でできた靴を履いたり、タスティング製の革小物を持って出かけていたりしたはずだ。それらには別のブランド名が使われていた。しかし、今では、タスティングの独自の作品、そのブランド名を冠した作品が、最も優れたバッグや革小物として、マーケットで知られるようになってきた。

 

 以前は“知る人ぞ知る”という存在のブランドだったが、これ以上、この会社を秘密にしておくことはできない。顧客は最高レベルの職人技とクオリティにこだわる日本で、多くのファンを持っている。このブランドの持つ、良質のパーツと機能、そして典型的な英国のデザインが認められているのだ。驚くべきことに、タスティングの製品の約60%は、主に日本と中国に、または他ブランドのOEMとして輸出にまわされている。これは、この英国の遺産が自国において、いかに評価されていないかを示している。

 

 

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