GUIDE TO WHATS ON AT THE VENICE FILM FESTIVAL
ヴェネツィア国際映画祭注目作ガイド2022
September 2022
映画祭のディレクター、アルベルト・バルベラの指揮のもと、ヴェネツィア国際映画祭は再び世界で最も長い歴史を持つ映画祭にふさわしい威厳を取り戻している。
THE RAKEが選んだ2022年の注目のノミネート作品をご紹介しよう。
by CHRIS COTONOU
マリリン・モンローとはどんな人物だったのか? 伝記映画『ブロンド』は、スターの裏に隠された本当の姿を明らかにしようとしている。
世界で最も穏やかな街は、1週間だけ、お祭り騒ぎとなる。憧れの賞を欲した映画監督や俳優から、多くのスターが誕生する。それが世界三大映画祭のひとつ、ヴェネツィア国際映画祭だ。何を観るか迷ったら……、THE RAKEが選ぶ注目作を紹介する。
White Noise (USA) – Director: Noah Baumbach
第79回ヴェネツィア国際映画祭のオープニングを飾るのは、数々の賞を受賞し絶賛された『マリッジ・ストーリー』(2019年)に続く、ノア・バームバック監督の『ホワイト・ノイズ』だ。アダム・ドライバー、グレタ・ガーウィグ、アンドレ・ベンジャミン、ドン・チードルなど、素晴らしいキャストを迎えたこの作品は、間違いなく最注目のひとつだ。Netflixにて2022年12月30日より配信予定。
L’immensità (Italy) – Director: Emanuele Crialese
『L’immensità (原題)』
女優ペネロペ・クルスは、エマヌエーレ・クリアレーゼ監督の70年代を舞台にしたドラマで、強い母親の役を演じる。彼女は最近ますます挑戦的なキャラクターに挑戦しているが、この作品はこれまで演じたどの作品よりもダークで悲劇的であると噂されている。
Love Life (Japan) – Director: Koji Fukada
深田晃司監督は、北野武、黒沢清に続く、新時代の日本を代表する監督になると噂されている。この『LOVE LIFE』は、彼の代表作となるかもしれない。幸せな再婚生活を送る女性の前に、失踪した前夫でろう者のパクが戻ってくる。彼女は前夫の身の回りの世話を始めるが……。2022年9月9日全国ロードショー。
Blonde (USA) – Director: Andrew Dominik
マリリン・モンローとは、どんな人物だったのか? われわれの多くは写真や映画からしかこのアイコンを知らないが、ドミニク監督が手がけるこの伝記映画は、スターの裏に隠された本当の姿を明らかにする。モンローを演じるのはキューバ出身の女優アナ・デ・アルマス。鮮やかな色彩とヴィンテージ調が行き来するこの作品は、このリストの中で最もハリウッドらしいといえるだろう。Netflixにて2022年9月28日より配信。
Bardo (Mexico) – Director: Alejandro G Iñárritu
メキシコ人ジャーナリストが故郷に戻り、過去の悪魔と対峙するというアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の最新作。この国で、そしておそらく世界でも最も有名な監督のひとりである彼の圧倒的な映像美に引き込まれるだろう。もし、あなたがヴェネツィア国際映画祭でひとつしか選べないのなら、この1本を見るべきだ。Netflixで2022年12月16日から配信。
Bones & All (USA) – Director: Luca Guadagnino
『Bones & All(原題)』
『君の名前で僕を呼んで』(2017年)のルカ・グァダニーノ監督が、ティモシー・シャラメと再びタッグを組んだ作品。美しい映像、豊かなドラマ、そして魅力的なセリフがあることは容易に想像がつくだろう。しかし本作は、人が人を食す“カニバリズム”をめぐる物語を描いたロマンス・ホラー。これは偶然の一致に過ぎないのだろうが……『君の名前で僕を呼んで』のもうひとりのスター、アーミー・ハマーのスキャンダル(レイプやカニバリズムといった過激な性的願望のDMを複数の交際相手に送っていた)に不気味なほど似ている。監督は関連を否定している。
The Eternal Daughter (UK) – Director: Joanna Hogg
『The Eternal Daughter(原題)』
2本立てのドラマ『The Souvenir』(2019年)と『The Souvenir Part II』(2021年)で数々の賞を受賞したジョアンナ・ホッグ監督は、英国で最も洞察力に優れた個性的な映画作家のひとりだ。この作品では、ティルダ・スウィントンが廃墟となった実家に戻る中年女性に扮し、不気味な家族の物語を描く。雰囲気のあるカメラワークと、ゆっくりとした、しかし意味深い会話に期待したい。