Graziano Mazza Interview
唯一無二のプロダクトを
生み出し続けたい
June 2018
Graziano Mazza
グラツィアーノ・マッツァ
1960年、イタリア・モンテグラナーロ生まれ。1981年、21歳の時に100年近く続くシューズ製造の家業を父から受け継ぎ、生産の工業化を進める。1991年、PREMIATAブランドが誕生。以来、自らがデザイナーとしてシューズを発表。2009年に発売されたLUCYシリーズは世界中のリテーラー2000社以上で取り扱われるほどの成功を収める。2018年5月、銀座に日本初の店舗がオープン。
メンズファッションにおける近年のスニーカーブームは衰える気配もなく、むしろ拡大の様相を呈している。その中核にあるのは、スポーティブランドのそれではなく、あくまで品のある佇まいを持つ大人のためのスニーカーだ。
歴史ある靴作りで培われた確かなクオリティに、斬新なデザインとファッション性を兼ね備えるイタリアのシューズブランド「プレミアータ」は、2018年5月、日本国内初となる直営路面店を銀座にオープンさせた。この記念すべき日本上陸にあわせてオーナーであるグラツィアーノ・マッツァ氏が来日。インタビューする貴重な機会を得た。
ブランドの立ち上げ以来、自身がアートディレクターを務めており、イタリア人らしい陽気な人柄の中に芸術家のような鋭い感性と好奇心を光らせる。
——プレミアータというブランドはどのように誕生したのですか?
イタリアでは地域によって、“ARTIGIANO”と呼ばれる職人やそれぞれの専門家がいて、家族が代々受け継ぐのです。私のファミリーは、1885年から100年以上もマルケ州で靴の生産と販売をしてきました。
この歴史ある家業を引き継ぐタイミングで、父は私にこう言いました、「すべてはお前次第だ」。私は、何か新しいことを立ち上げようと考えました。既にマーケットにあったものとは違うものを、自分で作りたいと思ったのです。その信念を基に、ふたつのカテゴリで展開を始めました。ひとつはクラシックなテイスト、もうひとつはファッション性の高い、新しいデザインのシューズです。
新作のレザースニーカーは、シンプルなデザインの中にアクセントカラーを効かせて遊び心を表現している。
——具体的にはどのような新しいものを生み出したのでしょうか。
やはり一番思い入れが強いものは、このクラシックなプレーントゥのオックスフォードシューズです。伝統的な靴作りの技法を継承しつつ、すっきりとしたモードなデザインと、極上の履き心地を兼ね備えています。画期的なポイントは、タンの裏にゴムが入っているため、シューレースがなくても履けること。今日でこそ、あらゆるブランドがこのようなシューレースのないデザインを発表していますが、これは間違いなく私が世の中に最初に出したアイデアです。そして今でもこれが私たちのアイコン的なプロダクトとなっています。