GRAND PRIX D’HORLOGERIE DE GENÈVE

時計界のアカデミー賞、“GPHG”とは何か?

April 2023

03- Revival and Iconic Watches
復刻モデルから今後を読む

Iconic Watch Prize 2022

TAG HEUER
モナコ キャリバー ホイヤー02 ガルフ スペシャルエディション
1969年に誕生したモナコは、世界初の角形防水スポーツウォッチで、そのスタイルを今も継承する。映画『栄光のル・マン』でスティーブ・マックイーンが着用したことでも有名だが、このモデルは彼が運転していたブルー×オレンジのガルフカラーを纏っている。レーシングスピリッツ溢れる時計だ。自動巻き、SSケース、39mm。

 GPHGの過去の受賞作を見てみると、時代に応じて各賞のラインナップが変化しているのがわかる。昨今の時計市場では、過去の名作を復刻させたリバイバルウォッチがかなり盛り上がっているが、GPHGがこういった時計に注目したのは2013年のチューダーからであり、この頃から時計業界が歴史の再評価に力を入れ始めたのがわかる。

 その年によって「Revival Watch Prize」もしくは「Iconic Watch Prize」と賞の名前が変わるのだが、そこで選ばれたオメガ「スピードマスター」やタグ・ホイヤー「モンツァ クロノグラフ」、そしてここで紹介している4モデルなどは、どれも長年愛されてきた傑作モデルをルーツにしており、ブランドの歴史を身近に感じることができる良作といえる。それに既に名声を確立したデザインであるため、トレンドの変化に左右される心配もない。つまりこの部門は、“間違いない時計”を教えてくれるともいえるだろう。

 さらにもう一歩踏み込んだ目で見ると、アンティークマーケットで今後価値が上がる時計を示しているともいえる。一般的に復刻モデルが出るとそのオリジナルモデルの価格が上がるのだが、GPHGの目利きたちが選んだ時計のオリジナルモデルともなれば、その価値がさらに高まっても不思議ではない。つまりGPHGにおける「Revival Watch Prize」と「Iconic Watch Prize」は、次に来るアンティークウォッチを示しているともいえるのだ。

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