Frieze London 2024

英国のアートフェア「フリーズ・ロンドン2024」レポート

October 2024

アートフェアシーズンが始まった。英国では最も重要なアートフェアのひとつ、フリーズ・ロンドン2024が閉幕した。世界中の才能溢れるアーティストによる作品が一堂に会していた。アートやカルチャーの愛好家たちにとって堪らない季節がやってきた。

 

 

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 英国を代表するアートフェア、「フリーズ・ロンドン」と「フリーズ・マスターズ」が、2024年10月9日から13日まで、ロンドンのリージェンツ・パークで開催された。

 

 フリーズ・ロンドンが、おもに2000年以降に制作された作品を展示し、最新の現代美術を紹介する一方、フリーズ・マスターズでは、2000年以前につくられたすべての作品を展示していた。

 

 今年は、47カ国から270以上のギャラリーが集まり、現代アートと歴史的な作品の両方が紹介された。長年のコレクターからビギナーまで、誰もが楽しめる内容となっていた。

 

 

Artwork by Llano.

 

 

 

 注目すべきはブレゲとダンヒルというふたつのブランドが、このイベントにおいて重要な役割を果たしていたこと。

 

 ブレゲは、ロンドンを拠点とするキュレーターのジェン・エリスと提携し、オーストラリアの先住民アーティストであるナミナプ・メイムル=ホワイト(Naminapu Maymuru-White)の作品を紹介。彼女の作品は、マングガリリ一族の伝統的な技法を用いて作られ、創世、宇宙に関する神聖な物語が描かれている。このような職人技と伝統を重んじるテーマは、ブレゲの理念に合致しており、フリーズ・ロンドンでの注目の展示のひとつとなっていた。

 

 ダンヒルはフリーズ・マスターズで「Frieze Masters Talks」を後援。20世紀のコレクターズ・アイテムやアイコンに焦点を当てながら、アート、歴史、創造性のつながりを探究するトークショーを行った。エレガントなダンヒル・ラウンジで開催されるこれらのトークショーには、アーティストや文化的リーダーが登壇し、アートフェアに知的な深みを加えていた。

 

 フリーズ・ロンドンは今年、第22回目を迎えた。今回は多様性をテーマにエキサイティングなリニューアルが行われ、160以上のギャラリーが参加し、著名な作家から新進気鋭のアーティストまで幅広い作品が展示された。

 

 特に注目すべきは、ガゴシアン・ギャラリーでのキャロル・ボーヴ(Carol Bove)の巨大な彫刻、ハウザー&ワースギャラリーの、チャールズ・ゲインズ(Charles Gaines)の最新作などだった。

 

 さらに、ダニエル・ディーン(Danielle Dean)による魅力的なインタラクティブ・プレゼンテーションも見逃せなかった。彼女の作品は、アンティークの美学とミッドセンチュリーのデザインを融合させたユニークなもので、訪れる価値が大いにあるものだった。

 

 

Artwork by Pippy Houldsworth Gallery.

 

 

Artwork by Gagosian.

 

 

Artwork by Hauser Wirth.

 

 

Artwork by Yamamoto Keiko Rochaix.

 

 

 

 一方、今回で12回目を迎えるフリーズ・マスターズでは、美術史を巡る比類なき旅が提供された。130以上のギャラリーが、さまざまな時代の作品を展示した。

 

 中でも目玉は、ハウザー・アンド・ワースによるエドゥアール・マネの貴重な競馬場の絵画や、ワディントン・カストット・ギャラリーによるパリのナビ派(19世紀末にフランスで活動した前衛的な芸術家グループ)の再評価などであった。

 

 今年は、シーナ・ワグスタッフがキュレーションを担当する「スタジオ」セクションが設けられ、歴史とモダンの両方から影響受けたアーティストの作品も展示された。

 

 

Artwork by Pace.

 

 

Artwork by Galeria Athena and Hatch.

 

 

 

 また、フェアの呼び物である「フリーズ・スカルプチャー」も復活。リージェンツ・パーク内に、国際的なアーティストによる巨大彫刻が展示された。ファトッシュ・ウステクがキュレーションを担当し、5大陸から22名のアーティストを招聘して、現代彫刻の屋外舞台が作られた。

 

 他にも、パブロ・ホセ・ラミレスがキュレーションを担当するテーマセクション「Smoke」や、ストーン・アイランドが支援し、新進気鋭のギャラリーを紹介する「Focus」など見どころ満載であった。