CELEBRATING 60 YEARS OF THE DB5 WITH ASTON MARTIN AT GOODWOOD REVIVAL

アストンマーティンDB5誕生60周年を祝う

October 2023

去る9月に英国にて開かれたクラシックカーの祭典、グッドウッド・リバイバルに赴いた。そこでアストンマーティンは1世紀を超える歴史の中で最大の節目を祝った。名車アストンマーティンDB5の発表60周年である。それはロックンロールに例えるならば、ローリング・ストーンズのデビューと同じくらい記念碑的な瞬間であったのだ。

 

 

text brandon hinton

 

 

 

 

 時は1963年。ビートルズがデビューアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』をリリースし、ポップカルチャーに革命を起こした。その数週間後、ロンドンのマーキー・クラブでミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ブライアン・ジョーンズ、ビル・ワイマン、チャーリー・ワッツがステージに立った。ザ・ローリング・ストーンズの登場だった。

 

 一方、大西洋の向こうでは、ザ・ビーチ・ボーイズがカリフォルニアの海岸線をツアーし、スティーブ・マックイーンが映画『大脱走』(1963年)でトライアンフにまたがり、有刺鉄線のフェンスを飛び越えていた。

 

 マーティン・ルーサー・キング牧師は、“I have a dream(私には夢がある)”という歴史的な演説を行い、すべてのアメリカ人に自由と平等を求めた。そして、ジョン・F・ケネディ米大統領は、テレビの生中継中に暗殺された。何千人もの人々が信じられない思いでその光景を見守った。63年は、世界が変わった年だった。

 

 

 

 

 グッドウッド・リバイバルは、英国南部のウェスト・サセックス州グッドウッドにて、1998年より行われているイベントだ。主宰するのは高位の英国貴族リッチモンド公爵である。毎年9月に3日間行われ、1年で最も重要なヒストリック・モーターレース・イベントとなっている。この催しでは、カラフルで、ベルボトムで、ビートルズが鳴り響く時代にタイムスリップし、当時偉大だったものすべてを祝福するのだ。

 

 昨年、英国に住むことになったばかりの私は、まったく信じられない思いでリバイバルの会場を歩き回った。そこには数え切れないほどのクラシック・レースカーだけでなく、まるで映画のセットのように完璧にコーディネイトされた衣装に身を包む、多くの観客たちがいるのだ。しかし、今年は少し様子が違っていた。

 

 アストンマーティンがその110年の歴史の中で、最大の節目を祝うイベントを行っていたのだ。名車DB5の発売60周年である。モーターファンにとっては、ローリング・ストーンズのデビューと同じくらい記念碑的な瞬間だ。

 

 

 

 

 1963年9月、フランクフルト・モーターショーで初公開されたDB5は英国のラグジュアリーを象徴するクルマで、瞬く間に世界中で垂涎の的となった。新開発の4.0リッター(3,995cc)、直6ツインカム・エンジンを搭載したDB5は、当時としては驚異的な最高速度150mph(241km/h)を記録し、4人乗りのGTカーとしては世界最速となった。

 

 そのため、フィリップ王子、ポール・マッカートニー卿、ジョージ・ハリスン、ミック・ジャガーなど、当時世界で最も有名だった人物たちから注文が舞い込んだ(後にラルフ・ローレンやピーター・セラーズらも所有した)。

 

 そして今日は、私自身の記念碑的な瞬間でもあった。幼い頃から憧れていたスポーツカーのハンドルを握るという夢を叶える日なのだ。

 

 DB5を初めて見たのは、映画『007/ゴールドフィンガー』(1964年)だった。ショーン・コネリーがボンドガールのオナー・ブラックマンを追いかけるカーチェイスシーンだ。舞台はワインディング・ロードが続く、スイス・アルプスのフルカ峠である。DBの名前の由来となったかつてのオーナー、デヴィッド・ブラウン卿に敬意を払いつつ、ステアリングに手を伸ばした。

 

 ホテルを出発した私は、トラクターと羊しか通らない狭い田舎道に案内された。細い6速ギアスティックを駆使すると、282bhpの強力なパワーを存分に味わうことができた。2速でカーブをクリアし、回転を上げ3速にシフトアップする。このクルマが素晴らしい走りのポテンシャルを秘めていることが瞬時にしてわかる。

 

 

 

 

 アストンマーティンの最新型DBX707に導かれてグッドウッドの門をくぐると、完璧な艶を放つハンドメイドの木製ステアリングホイールの前に座っていた時間が終わりを告げた。この一台が後に続くクルマに、いかに大きな影響を与えたかは明らかだ。パフォーマンス、ダイナミクス、エンジニアリング、テクノロジーのすべてにおいて、アストンマーティンのアドバンテージを主張してきた。DB5は、60年を経た今もなお、アストンマーティンを代表する名車なのである。