DEFENDER OF THE REALM
時計界の風雲児が愛する
ランドローバー ディフェンダーの魅力
February 2021
ジョージ・バンフォードは、ロレックスを始め、数々の時計のカスタマイズで知られている。
今では自らのブランドを持ち、LVMHグループ唯一の公式カスタマイザーとしても認められている。
彼はまた、ヴィンテージ・ランドローバーの熱心なコレクターであり、ディフェンダーの大ファンでもある。
そんな彼が21世紀に生まれ変わった最新のディフェンダーの魅力を語る。
当初は懐疑的だったが、今では大好きになり、自ら購入するに至ったという。
by george bamford
photography rikesh chauhan
オリジナルのランドローバー ディフェンダーと聞いて、まず思い浮かぶのは、イギリスのエンジニアリングの全てを集めた存在だということだ。そして新型ディフェンダーもそれに変わりはない。この原稿は、ランドローバー ディフェンダーへの、心からのラブレターのようなものである。
オリジナル・ディフェンダーはイギリス工業界における最高の輸出品のひとつであり、他国のオフロード自動車のライバルたちと鎬を削ってきた。そのボキシーなボディは、地球上のあらゆる場所を走破してきた。キャメル・トロフィーからさまざまな遠征、エベレスト登山の道中など、ディフェンダーはこの星のいたるところで目にする。私は世界中どこにいても“ランディ”を見かけると、写真を撮ってソーシャルメディアに投稿するのが大好きなのだ。
新型ディフェンダーが発売されると聞いたとき、私はやや懐疑的だった。アメージングなのか? みんなが欲しがる一台になるのか? プロトタイプは好印象だったが、際立った存在感はあるのかどうか? などと思った。
しかし、ランドローバーに1台貸してもらって運転してみたら、すっかり惚れ込んでしまった。これはまさしく21世紀のランドローバー ディフェンダーだ。すべての現代的な快適さを備えている。もちろん、ハンドルを切った時に、肘が窓からはみ出てしまうような、変な姿勢を強要されることもない。
オフロード性能は傑出していて、下り坂や上り坂の走破性能は想像以上だ。ロード・クリアランスは驚くべきもので、全方位ビデオカメラは、私が見た中で最高のもののひとつだ。
全体的には、その出来は素晴らしい。ただ一点、その価格を除いては・・ディフェンダーは伝統的に農家のための労働車であり、誰もが購え、乗れる車だったので、ここでちょっと眉をひそめることになる。しかし、この価格は、現在のマーケットにおいて、中も外も完璧なクルマを製造するためのコストを反映したものなのだ。
新しいディフェンダーは、完璧なファミリーカーである。子どもたちにフレンドリーで 、私が泥だらけのブーツで出入りしても、ずっと耐えてくれる。
ディフェンダーに試乗して感銘を受けた私は、すぐにランドローバーの担当者に「これは絶対に手に入れなければいけないクルマだね」と言った。
そして実際に自分のディフェンダーを手に入れてから、数ヶ月ですでに10,000マイル以上を走行した。私は何台かクルマを持っているが、出張が多いので、いつもディフェンダーの出番となるのだ。
私は完璧主義者なので、どこか欠点を挙げようと思うのだが、驚いたことにいまのところ、それらしい点が見当たらない。私のお気に入りの“アシ”は、いつもレンジローバーだったが、新しいディフェンダーはそれに勝るとも劣らない。今まで乗ったクルマの中で、最も素敵なクルマのひとつであることは間違いない。
地元の技術屋は、ディフェンダーに備えられた、たくさんのUSBポートを気に入っている。やはり21世紀的なクルマだ。すべてが、現在のクルマとして必要十分である。フラットバック、丸みを帯びたフロント、丸いライトなど、過去のクラシック・デザインに忠実でありながら、各部がアップデートされている。過去は過去として残しつつ、基本的には未来志向なのだ。
過去のモデルと比較されることが多いので、逆に過去と同じ外観である必要はなく、未来的となったディフェンダーだが、チューニングはよりよくなっていると思う。
英国の道に、たくさんのディフェンダーが走っているのを見るのが待ち遠しい。まだあまり多くは見かけないので、私自身のクルマについて質問されることが多い。自分はクルマに対してシニカルに接してきたと思っていたが、今やディフェンダーのアンバサダーになった気分である。
しかし、もちろん私はアンバサダーではない。私はランドローバー ディフェンダーのコレクターだ。過去のローバー車に惚れ込んでおり、いくつものクルマを集めている。最近も、美しい“ランドローバー ピックアップシリーズII ディフェンダー”を修復したばかりだ。これは私の幸せな趣味なのだ。
新しいディフェンダーは、あまり色のチョイスがない。一部の人はそれでも悩んでいるが、私はブラックに即断した。なぜならもちろん、私はブラックが大好きだからだ。
ちょうど私がこの原稿を書いているとき、2ドア・ヴァージョンのディフェンダー90がオンラインで注文できるようになった。2ドアの90と4ドアの110のどちらを買うかは、非常に悩ましいところだ。“お好み次第”というところか。
私が言いたいことは、英国製のランドローバー ディフェンダーの車内に座っていると、どんなことにも対応できるという安心感を得られ、とても幸せな気持ちになるということだ。
トランクの市松模様のプレートや、アドベンチャーパック、カントリーパック、アーバンパックなど、オンラインのコンフィギュレーターを使って、追加アクセサリーの数々で遊んでいると、ディフェンダーや旧シリーズのI、II、IIIが、いかにランドローバーの象徴であったかを思い出す。
イングランド南西部を訪れていたとき、ブリティッシュ・レーシング・グリーンに塗りかえられた美しいディフェンダーを見かけたので、写真を撮ろうと思った。人々がどのようにディフェンダーをカスタマイズするのか、実に興味津々だ。またオンラインでは、商用車として使われているディフェンダーの画像をいくつか見た。それはそれで実に英国的な仕上がりだった。
新型ディフェンダーは、本来あるべき場所に戻ってきた。私は特に、その汎用性の高さが大好きだ。ビルの谷間を走り、映画のプレミア試写会や、ザ・ドーチェスター・ホテルに乗り付けるのにぴったりだ。
ザ・ドーチェスターには最近行ったが、コンシェルジュによると、私のディフェンダーを見に来る人が多いとのことだった。何台かのスーパーカーの隣に駐車されていたので驚いたが、どうやら一番注目を集めていたのはディフェンダーだったようだ。
これは単に目新しかったからかもしれない。しかしクルマとしても、本当によくできているのだ。チーフ・デザイナー、ジェリー・マクガバンと彼のチームは素晴らしいデザインを開発し、欲しいものはすべて揃っている。
まあ正確にいうと、“ほぼすべて”だが……ひとつだけ例外がある。SVRかSVXのオプションがあれば最高だった。ディフェンダーにV8が搭載されていたら、それはなんと素晴らしいものになるだろう。おそらく実現はしないだろうが・・。それでも私は、ついつい夢見てしまうのだ。
ランドローバー ディフェンダー110
全長✕全幅✕全高:4,945✕1,995✕1,970mm
エンジン:
①2.0リッター直列4気筒INGENIUM ガソリン・エンジン
②3.0リッター直列6気筒INGENIUMディーゼル・エンジン
最高出力:221kW/300ps
最大トルク:①400Nm@2,000rpm ②650Nm@2,500rpm
¥ 6,190,00~
ランドローバーコール
TEL.0120-18-
(9:00~18:00、土日祝日を除く)