Alain Ducasse Sustainable spirit created by Shichiken

持続可能な未来を創る七賢とアラン・デュカスの酒

November 2023

白州の銘水に惚れ込み南アルプスの大自然と歩んできた山梨銘醸「七賢」は、酒好きの明治天皇が公式訪問の際に立ち寄ったという逸話を持つ創業1750年の老舗だ。その酒蔵が、古くから継承した自然と調和する姿勢を守りながら、フランス料理界の巨匠アラン・デュカス氏と共創し、持続可能な未来へと繋ぐ一本「アラン・デュカス・サステナブル・スピリッツ」 を造った。

 

 

text chiharu honjo

 

 

 

 

 アラン・デュカス氏とコラボレーションした日本酒「アラン・デュカス・スパークリング・サケ」が日仏の美食界で称賛され、今年G7広島サミットにおいても提供されたことで知られる山梨の酒蔵「七賢」が、アラン・デュカス氏と再びタッグを組み、華やかな香りの酒粕を蒸溜した「アラン・デュカス・サステナブル・スピリッツ」を新たに発表した。

 

 聞けばこのスピリッツ、驚くべき製法で造られている。まずは、日本酒の搾り粕である酒粕に含まれたアルコールを蒸溜することで焼酎(スピリッツ)を取得。これを、同じ地にあるサントリー白州蒸溜所のウイスキー樽で数年熟成させることで、七賢の特徴である吟醸酒由来の清涼感あふれる吟醸香を強調しながらも熟成感とまろやかさのある、複雑性を帯びた味わいの蒸留酒に変化させるのだ。この革新的な製法は、同質の白州の仕込み水で製造された日本酒の酒粕と、ウイスキー樽との親和性があるからこそ成せる業だという。

 

 

山梨銘醸代表取締役の北原対馬氏(左)とアラン・デュカス氏(右)。

 

 

 

 そもそも老舗の蔵元がなぜスピリッツを造ろうと思ったのか。それは、古くから和食の調味料として愛されてきた酒粕の需要が時代の変化とともに低下し、日本酒の製造過程において大量の産業廃棄物として処理されていることに由来する。七賢は、日本酒の生産量に比例して発生する酒粕を新たな創生の機会ととらえ、その可能性を探究し、世界でも希少な方法でスピリッツへの変革に成功。選りすぐりの米からなる酒粕の吟醸香が残る、唯一無二の蒸留酒が生まれた。

 

 そして、米の栄養が凝縮された蒸溜後の酒粕は和牛の飼料として利用し、その堆肥は米畑で活用。畜産農家の経済的負担を軽減するだけでなく、山梨県の和牛の品質向上にも役立っている。この白州を巡る循環型システムは、七賢が地元の名水を守るために考え抜いた持続可能なプロジェクトだ。また、2022年から企業全体で使用する電力をグリーンエネルギー(水力発電)に切り替え、年間510トンものCO2排出を削減している。

 

 山梨銘醸代表取締役の北原対馬氏は、「ありとあらゆる部分にまでこだわり抜いたスピリッツが完成したと思います。余すことのない、まさに21世紀にふさわしいサステナブルなストーリーだと考えています」とコメント。

 

 アラン・デュカス氏は、「私たちは先祖から自然を継承すると同時に次世代から借り受けています。良識的に生きるアンバサダーとして自然の恩恵を保護することは不可欠です。私と北原さんは価値あるものを創造し続けることを目指し、共通の志を持っています」と語っている。

 

 

 

 

 アラン・デュカス氏は、デュカス・パリのシェフ・ソムリエとして名高いジェラール・マルジョン氏と共に、この洗練されたスピリッツを使ったカクテルレシピを考案。今秋、パリのル・ムーリス・アラン・デュカスで世界へ向けて発信した。

 

 東京では北原氏がパレスホテル東京で発表。ミントシロップとほうじ茶にレモネードを合わせた「サマーインキョウト」、カンパリとスイートベルモットにオレンジスライスを加えた「トウキョウネグローニ」、スーズとトニックウォーターをステアしてスライスレモンを飾った「スーズアンドスピリッツ」など、ジェラール・マルジョン氏のレシピに基づいたエレガントで爽やかな味わいを披露した。

 

 この特別なスピリッツはベージュ アラン・デュカス東京、パレスホテル東京 エステール、ブノワ東京、ムニ・アラン・デュカス 京都で堪能できるほか、七賢の蔵内販売店及び公式オンラインショップで12月1日から入手可能。ホリデーシーズンの贈り物や手土産にもあつらえ向きだ。

 

 

山梨銘醸株式会社

山梨県北杜市白州町台ケ原2283

TEL.0551-35-2236

www.sake-shichiken.co.jp/

<本連載の過去記事は以下より>

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