Esterre-showcasing Contemporary French

パレスホテル東京のフレンチ
フランス料理「エステール」のディナー体験

May 2023

text kentaro matsuo

 

 

 

 

 2023年1月、パレスホテル東京のフランス料理「エステール」に、小島景シェフとノルマン・ジュビン ペストリーシェフが新たに就任した。

 

 小島シェフはフレンチの世界的権威、アラン・デュカス氏と20年近くともに働いた経歴を持つ。モナコのミシュラン3つ星レストラン「ル・ルイ・キャーンズ アラン・デュカス」で副料理長を3年間務め、「ベージュ アラン・デュカス 東京」の総料理長に就任して8年連続でミシュラン2つ星を獲得し続けた凄腕だ。

 

 アラン・デュカス氏に「世界で最も私の料理哲学を理解し、実践する日本人シェフ」と称されており、日本のテロワールと旬を活かした深い味わいが高く評価されている。

 

 

フランス料理「エステール」シェフ小島景氏(左)とペストリーシェフ ノルマン・ジュピン氏。

 

 

 

 一方、ノルマン・ジュビン氏は、スイスのミシュラン3つ星レストラン「レストラン ド ロテル ド ヴィル」や「フォーシーズンズ アスティル パレス ホテル アテネ」のミシュラン1つ星レストラン「ペラゴス」などのシェフパティシエを務め、26歳という若さながら豊富な経験を持つ実力派である。

 

 

 

 

 今回新しくなった「エステール」のフルコース・ディナー+ワイン・ペアリングを体験するという願ってもない機会を得た。窓外には皇居外苑の緑が広がっており、その向こうにはビルのスカイラインに落ちる夕日を眺めることが出来る。この素晴らしいロケーションで「饗宴」はスタートした。

 

 

パレスホテル東京シェフソムリエ、佐藤隆正氏。

 

 

 

 

  オープニングのシャンパーニュは、「バロン・ド・ロートシルト」。世界的大財閥のロスチャイルド一族三家が力を合わせてプロデュースした意欲作だ。

 

「本日はロスチャイルド祭りになりますよ」とはシェフソムリエ、佐藤隆正氏の弁。

 

 

 

 

 アヴァン・アミューズは、小島シェフの地元で採れた鎌倉野菜をカットしたもの。シェフ自らが毎朝市場から仕入れてくるという。フレッシュで瑞々しい食感は、野菜がとびきり新鮮な証拠だ。

 

 

 

 

 エステールで供される自家製パンは、特に美味しいと評判だ。目の前で細長くカットされるプレゼンテーションも人気。カリッとした香ばしいパン生地に、オリーブの実、ナッツなどが練り込まれている。

 

 

 

 

 アミューズ「シェフからの贈り物」は初鰹を中心とした鮮魚の刺し身にグリーン・アスパラガスを添えたもの。春を感じさせる取り合わせだ。和食とフレンチの嬉しいハイブリッドである。

 

 

 

 

 前菜として登場したのは、なんと鰻。醤油とみりんで下味をつけた鰻を高知県大月町の備長炭で焼き上げてある。まるで蒲焼きのような味。これにプティポワとモリーユ茸、新たまねぎが合わせてある。プティポワのソースは昆布だしを効かせて。鰻の美味しさに再開眼するような一皿である。

 

 

 

 

 ペアリングされたワインは、山梨県勝沼町に位置する「シャトー・ジュン」の「甲州樽熟成2022」。ここはアパレルメーカーのJUNが経営するワイナリーだ。少量生産ですべてのラベルにロットナンバーが振られている。甲州ぶどうの個性を生かした日本ならではの味わい。

 

 

 

 

「蝦夷鮑 根セロリと冬キャベツ 金柑のグリエ」。これを目当てにやってくる人も多いという小島シェフのスペシャリテ。使われている巨大なアワビは7年もの。「7年間、松尾さんに食べられるために大きくなってきたんですよ」と言われ、少々緊張する。料理とは命を頂くこと。食材に感謝しつつ口中に含む。絶妙な火の通し加減によってもたらされたアワビの持つプリプリの食感がたまらない。

 

 

 

 

 合わせる白ワインは『ル・メルル・ブラン・ドゥ・シャトー・クラーク 2021』。シャトーのオーナーはバロン・エドモン・ドゥ・ロートシルトというロスチャイルド五家系の一翼。ボルドー、メドック地区で白ワインを生産している貴重なエステートで、その歴史は1890年にまで遡るという。ミネラル感溢れるテイストがアワビの味を引き立てる。

 

 

 

 

 メインディッシュは魚をチョイス。「真鯛 ホワイトアスパラガスとブラッドオレンジ」。明石産の真鯛という日本が誇る食材をシンプルにグリルした一品。カリッと焼かれた皮目が香ばしい。オレンジの酸味が食欲をそそる。付け合せのアスパラガスは今が旬。

 

 

 

 

 真鯛に合わせたのは、「アラン・デュカス スパークリング サケ」。発泡性の日本酒である。フレンチの名匠アラン・デュカスと山梨県北杜市の酒蔵「七賢」がタッグを組んだ話題の1本。醸造過程では、シャンパーニュと同じように本格的な瓶内二次発酵をさせている。日本酒はどんどんインターナショナルになっている。

 

 

 

 

 赤ワインはこちら、「シャトー・デ・ローレ・バロン2016」。エドモンド・ドゥ・ロートシルトより。シャトー・デ・ローレの当たり年に作られたスペシャルなワインである。エステールのワインセラーだけで500本以上、パレスホテル東京全体では5000本以上のワインストックがあるというから、必ずやお好みの1本が見つかるだろう。

 

 

 

 

 デザートは大好物のチョコレートをチョイス。「ル・ショコラ・アラン・デュカス」のチョコレートを使用し、ソースにはマレーシア、サラワク産のブラックペッパーと味噌が加えられている。パティシエの探究心をカタチにした一品。サクサクとした歯ごたえがこたえられない。

 

 

 

 

 自家製のミントを使ったハーブティーと一緒に供されたプティフールは、まるで盆栽のような盛り付け。松の木のようにみえるのはディルの葉。小石は鎌倉の浜辺でシェフが拾ってきたものだという。作り手の遊び心を感じる。

 

 まるでさざ波が引いていくように、エステールでのフルコースは静かに幕を閉じた。フレンチをベースとしながらも、日本の食材と旬を取り入れ、さまざまな調理法を縦横無尽に駆使した小島シェフの腕は、想像以上に冴え渡っていた。さすが、巨匠アラン・デュカスに認められた男である。「世界最高峰、最先端のフレンチとはこういうものか……」と誰もが得心するだろう。

 

 また、スタッフのきめ細やかなサービスも素晴らしい。所作がエレガントなことに加えて、「お客様に楽しんで頂こう」という気持ちが伝わる、ハートフルな接客なのである。数々の賓客を迎えてきた、由緒正しきパレスホテルの伝統を感じる。

 

 とびきりのロケーションで、絶品料理に舌鼓を打ち、選りすぐりの美酒に酔いしれる。そんなひとときを過ごしたいなら、パレスホテル東京 フランス料理「エステール」を予約することを強くおすすめする。それはあなたの人生を彩る、忘れられない一夜となるに違いない。

 

 

パレスホテル東京「エステール」

TEL.03-3211-5317

www.palacehoteltokyo.com/restaurant/esterre/

<本連載の過去記事は以下より>

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