A Feast of Sparkling Sake by Shichiken and Alain Ducasse.

七賢とアラン・デュカスが呼応するスパークリング日本酒の饗宴

December 2022

十三代にわたる系譜をもつ山梨の酒蔵「七賢」が、世界に名を轟かせているフレンチの重鎮アラン・デュカス氏とコラボレーションし、革新的な日本酒を造った。その名も「アラン・デュカス スパークリング サケ」。フランス料理とのマリアージュをパリとモナコ、そして東京の星付きレストランで披露。極上の料理と美酒に酔いしれた。

 

 

text chiharu honjo

 

 

 

 

 去る11月末日、東京・銀座のシャネルビル10階に位置するベージュ アラン・デュカス東京で、「アラン・デュカス スパークリング サケ」とのマリアージュを堪能するコラボレーションディナーが催された。同イベントは、スパークリング・サケを披露する場となっただけではなく、フランス料理のフルコースに七賢の日本酒をペアリングするという独創的な挑戦になっており、“料理に合わせる日本酒”ではなく、“日本酒を中心としたフランス料理”を味わうメニューで構成。10月にパリの「ル・ムーリス アラン・デュカス」、モナコの「ルイ・キャーンズ アラン・デュカス」で称賛を受けた後、東京でフィナーレを迎えた。

 

 

 

アラン・デュカス氏(右)と七賢醸造責任者の北原亮庫氏(左)。

 

 

 

 寛延3年(1750 年)創業の老舗酒蔵「七賢」とアラン・デュカス氏との出会いは遡ることおよそ10年前。「アラン・デュカスの考え方や料理に対する哲学というものに非常にシンパシーを感じた。」と現当主で代表取締役社長の北原対馬氏は語る。醸造責任者を務める弟の北原亮庫氏とともに“日本らしく、それでいて世界が納得する SAKE”を造るべく、桜の樽での熟成、瓶内二次発酵というこれまでにない新しい製法でこのスパークリング日本酒を完成させた。

 

「七賢のアラン・デュカス スパークリング サケは私が作り出すメニューにとてもよく合います。 ミネラルバランスがよく、食前酒からデザートまで食卓を華やかにしてくれる爽やかなパワーがとても魅力的なお酒です。ユニークな体験を発見し共有したいという思いから、豊かな自然環境と色彩豊かな生活様式を持つ山梨にたどり着いたのです。人と自然そして繊細な風景が出会い、スパークリング・サケが誕生しました。風味や食感はその風土の表現であり、五感を刺激するだけではなく、情熱的な醸造家たちの緻密な作業の結果でもあります。」

 

 そう語るのは、本格的なビストロから3ツ星レストランまで、世界11カ国でレストランを統括するアラン・デュカス氏。特に地中海の魚料理やチョコレートデザートと合わせるのがお勧めで、外観から精巧な気配が感じられる上質な仕上がりになったと言う。

 

 

 

 

 東京のイベントでは、招かれたゲストが「ベージュ アラン・デュカス東京」に集い、七賢の日本酒とのペアリングディナーを堪能。山梨県知事の乾杯のもと、まずは「アラン・デュカス スパークリング サケ」で宴がスタートした。日本酒とは思えない繊細な泡立ちの中に樽熟成ならではの淡い苦みを帯びた、心地よいのど越しの酒だ。

 

 

 

 

 この日は、ベージュ アラン・デュカス 東京の小島シェフによる「七賢xベージュ アラン・デュカス東京 コラボレーション特別メニュー」が振る舞われた。甲州牛や、キングサーモンとニジマスを交配したオリジナルブランド魚「富士の介(ふじのすけ)」など山梨の地物をはじめ、近海の一本釣り中トロ、蝦夷鮑とサザエといった極上の食材によるメニューが並ぶ。写真は「長野県七二会産ソルガム、富士の介の炭火焼き、季節野菜」。

 

 

フルコースのペアリングは、七賢自慢の6つの日本酒。左から「Alain Ducasse Sparkling Sake」、「Expression 2006」、「Expression 2020」、「ビロードの味」、「絹の味」、「甲斐駒」。

 

 

七賢・山梨銘醸株式会社 代表取締役社長の北原対馬氏(右)と醸造責任者の北原亮庫氏(左)。

 

 

 

 北原対馬氏は、「日本酒は日本料理の世界では欠かせない存在であり、フランス料理が長年にわたって情熱を傾けてきたインスピレーションの源でもあります。このプロジェクトを通じて、新しい味覚の体験を提供するとともに、両国の文化の魂を後世に伝えたいと思いました。これは、アラン・デュカスと共通する哲学であり、伝統を踏まえつつも常に革新し続けるということです。継承と革新を大切にしながら300年、400年と続く酒蔵へと成長していくことを目指しています」と語る。

 

 白州の清らかな水を使い、水と米の旨味、エレガントさと繊細さの絶妙なバランスを追求し続け、「ブドウで造る最高峰のスパークリングがシャンパンであるなら、米で造る最高峰のスパークリングを生み出していきたい」(北原亮吾氏)と、この酒を通じて日本酒文化の変革のきっかけをも生み出している北原兄弟の今後に期待したい。

 

<本連載の過去記事は以下より>

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