A RAKISH GUIDE TO TRANSITIONAL LAYERING
季節の変わり目のレイヤード、その12のルール
February 2022
レイヤード(重ね着)をきちんと学ぶことで、季節の変わり目や、国を跨ぐ移動、気候の変化においても対応できるだろう。レイヤードにおける12のルールを伝授する。
by CHRISTOPHER MODOO
冬の終わり、春の兆しが見えてくる季節は、サルトリア的なアイテムの組み合わせを楽しめる最高のシーズンだ。オーバーコートを着なくとも暖かく、フランネル・スリーピースのウエストコートを身に着けても快適で、明るい朝ならサングラスをかけてカシミアのコートを羽織ってもってもおかしくない。
とはいえこの季節はほんの僅かな期間である。すぐに裏地のないフレスコ・スーツを着るようになり、ジーロ・イングレーゼ地の涼しいシャツを纏い、蒸し暑さに文句をいう次の季節が来るだろう。だからこそ12のルールを守って、慎重にアイテムを選んでほしい。
Giorgio Giangiulio (Photo by Rikesh Chauhan)
<ルール1>
重いダブルブレステッドのチェスターフィールド・コートはやめて、コットンのフィールド・ジャケットを手に入れよう。かさばらないし、にわか雨から身を守ることもできる。よく出来たM-65タイプのジャケットが手に入ればボーナスポイントが加算されるが、オフィスに入るときに「You talkin’ to me?(俺に用か?)」(映画『タクシードライバー』の名セリフ)を口にしたら、そのポイントはなくなる。
<ルール2>
フィールド・ジャケットや丈夫なオーバーシャツを、細身のニットの上に重ねよう。旅のスタイルとして最適だ。大小のポケットが便利で、さまざまなモノを収納するのにも便利だ。
ロンドン、ボンドストリート店をオープンしたイヴ・サンローラン。ルル・ド・ラ・ファレーズ、ベティ・カトルーと(1969年)。
<ルール3>
ジレ(1980年代には “ボディウォーマー “とも呼ばれていた)を活用しよう。テーラード・ジャケットの上にも下にも着ることができる。下に着る場合は、スリムで軽量な、無地のものがよい。ただし若い頃のようにスリムではない人は避けた方がいい。ミシュランマンと揶揄されるだろう。
<ルール4>
ジレはブレザーよりも短く、コートの丈は常にジャケットよりも長くなければならない。スーツの上着を覆うことができないウィークエンド・アノラックは見た目が最悪だが、郊外の通勤者にはなぜかとても人気がある。彼らはたいてい、無味乾燥なナイロン製リュックを手にしている。
ブラウンのカセンティーノ・ウールコート、ファインメリノ・ウール製ジレ、クリーム・フランネルのプリーツ・トラウザーズ(すべてNew&Lingwood)、オフホワイトのツイルコットンシャツとブラックのシルクニットタイ(Eton Shirts)を着用した、俳優エメットJ.スキャンラン。
<ルール5>
暖かくなってきたら、適切なウエイトのフランネル・スリーピースを着よう。オーバーコートを羽織る必要はなくなる。気温が上がってきたら、揃いのベストを薄手のウールやニュートラルな色合いのリネンのものに代えることもできる。
フォックス・ブラザーズのオーナー兼マネージング・ディレクター、ダグラス・コルドー。
<ルール6>
保守的な色のライトウエイト・フランネルシャツに挑戦してみよう。温かみがあり、ウールとシルクの混紡のネクタイと組み合わせればビジネスにも最適である。
<ルール7>
スーツにはベストの代わりに、薄手の長袖ニットを重ねてみよう。ネイビーのカシミア・カーディガンをグレイのスーツに合わせるとエレガントだ。ボトルグリーンのカーディガンを、ネイビーのブレザーやグレイのフランネルに合わせるのもいいだろう。
<ルール8>
トップコートを着ずにスカーフと手袋を身につけてみよう。スタイリッシュで実用的だ。たっぷりとしたサイズのライトウエイト・カシミアスカーフは、最小限の重さで最大限の温かさを得ることができ、非常にエレガントにまとまる。
(Photo by Rikesh Chauhan)
<ルール9>
適切なヘッドギアをチョイスしよう。効果的に寒さを防ぐことができる。旅先ではソフトなハンチングや8枚はぎのツイード・キャスケットなどがスマートだ。
<ルール10>
ベルジャン・ローファーやベルベット・スリッパーを履くにはまだ早い季節でも、ブラウンのスエード製カジュアル・シューズやオックスフォードなら大丈夫だ。これらはあらゆるスタイルにも合わせることができる。
<ルール11>
ジレ、オーバーシャツ、フィールド・ジャケットは、週末のスタイルとして最適だ。ボリュームのあるケーブルニット、チャッカブーツと合わせて、リラックスした週末を過ごしたい。
映画『ブリット』(1968年)でのスティーブ・マックイーン。
<ルール12>
明るい季節には、明るい色を合わせたい。ネクタイやポケットチーフ、ソックスなどの小物で、ポップな色を取り入れてみるのがおすすめだ。